安かろう悪かろう、でも世界では高評価
なにかとゴタゴタの多いお隣の国、韓国だけど世界的にも有名な自動車メーカーを抱えているのはご存知のとおり。現在は「現代(ヒュンダイ)自動車」に集約された感があるが、以前は「起亜(現在は現代傘下)」、「大宇(韓国GM)」、「双竜(現在はインド系)」などがあり、倒産、買収など複雑な系譜となりつつも、いくつかのメーカーは今でも存続している。
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ちなみに起亜ではロータス エランの成れの果てであるビガートが話題になったし、大宇のマティジュは輸入されていたこともある。また、過去にはヒュンダイも日本法人を作って上陸。ドラマ「冬のソナタ」のブームに乗っかって、同じ車名だった「ヒュンダイ・ソナタ」が話題になったりもしたので、まったくもって疎遠だったというわけでもない。
そもそも韓国車の創成期は日本メーカーとの提携によって成り立っていた。初の自国製とされる「ポニー」も三菱の技術が入っているし、起亜では日本で大ヒットした実質マツダ製である「フェスティバ」のセダンなんていう車種も販売。マニアックなところでいえば、三菱の「デボネアAMG」は韓国製というのもご存知の方は多いのではないだろうか(実際の開発は大半が三菱側)。
そんなイメージもあって、韓国最大手のヒュンダイも今ひとつ的な印象だったが、世界的にはいつの間にか評価は高くなり、いまや日本車を超えた感もあるのが実際のところ。その起爆剤となったのが、2000年代後半からの大きな改革だろう。欧州、日本の各メーカーからスタッフを大量にリクルート。とくにデザイナーの引き抜きには力を入れたことで一気に魅力が向上し、レクサスをもターゲットにした初代ジェネシスの完成度は目を見張るものがあり、北米カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するほどに成長した。2代目はさらに抑揚の効いたデザインで、その実力のほどを示したのである。
質を高めたにも関わらず、価格は安め(全体的に日本車の1~2割安)。長期保証にも力を入れるなどしたのも、大ヒットの後押しとなった。つまり、以前の日本車が世界で売れたのと同じ図式と言っていいだろう。
そこに日本市場での問題点がある。感情的な毛嫌いは抜きにしても、日本市場でうまくいかない感じな韓国車だが、ヒュンダイが2009年に撤退してからの空白が10年間あり、その間の認識は「韓国車はショボい」で止まったままだ。
確かに、10年以上前の韓国車は、パーツはバリだらけでよく壊れたし、デザインや内装の質感もイマイチ、走れば昔の日本車に乗っているようなもっさり感があったのも事実。冒頭で紹介したマティジュに乗っている知り合いがいたのだが、「壊れているのか、壊れていないのかわからないほど作りが悪い」と言っていたのを今でも覚えている。クルマに多感な人は別として、多くの日本人にとっての韓国車への印象は当時から止まったまま。つまり”逆浦島太郎”というわけだ。
さらに品質の向上を認めたとしても、日本人にとって日本車的なメーカーはとくに要らないというのは大きいだろう。欧米では日本車にとって代わる、安くて壊れないクルマという点で存在価値はあるだろうが、日本からみればブランド価値はないし、同じ日本メーカーに似た感じのメーカーに魅力はないというのが正直なところ。
実際、ヒュンダイはあらゆるジャンルを取り揃えているが、ほぼ日本車とガチンコ。つまり似た者どうしなわけで、日本ではめちゃくちゃ安くにでもならない限りは、あえて韓国車を選ぶ必要がないと言っていいだろう。
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