世界のベンチマーク、VWゴルフ
text:Toshimi Takehana(竹花寿実)
【画像】ゴルフGTI ライバルと比較 新型画像も【詳細】 全118枚
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
ドイツが世界に誇るコンパクトカーであるフォルクスワーゲン・ゴルフは、1974年の初代デビュー以来、優れた走行性能と高い実用性で世界のベンチマークであり続けている。
特に伝統的にコンパクトカーのシェアが大きいヨーロッパでは、数十年にわたり販売台数ナンバー1の地位を守り続けてきた。
ところが今年2月、ヨーロッパにおける販売台数首位の座が突然崩れた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新世代のゴルフ8に切り替わったばかりの生産や販売がストップしたためだ。
ゴルフに代わって首位に立ったのはルノー・クリオで、販売台数は2万4914台。ゴルフは2万4735台だったので、差はわずか179台だが、今回ばかりは運が悪かったと言うしかない。
むしろこれまで何度もモデルチェンジを重ねながら、世代交代のタイミングでも首位を守り続けてきた事が驚異的だ。
近年は身内のフォルクスワーゲン・グループ内も含めて市場に競合モデルが増えた事もあり、以前ほどの圧倒的な強さは失われつつあるが、これまで3500万台以上がオーナーの手に渡ってきたゴルフの実績は、今もライバルを圧倒する。
そんなゴルフには、初代からスポーティバージョンのGTIが存在する。
新型ゴルフ8もGTI設定 決定済み
新しいゴルフ8にもGTIが設定されることはすでに発表済みだ。
この「GTI」という3文字のアルファベットは、もはやゴルフの代名詞と言っても良いほど世に知られている。
改めてどんなモデルなのか振り返るべく、現在日本で販売されているゴルフ7のGTIに試乗してみた。
今回乗ったのはゴルフGTIパフォーマンスという、標準仕様のゴルフGTIより15psと2.0kg-mも強力な、245psの最高出力と37.7kg-mの最大トルクを発揮するハイチューンの2.0L直4ターボエンジンを搭載したモデル。
エンジン以外にも、7速DSG(標準仕様は6速DSG)や19インチ・アルミホイール&225/35R19タイヤ(同17インチ・アルミホイール&225/35R17タイヤ)、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロック(同電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」)、アダプティブシャシーコントロール「DCC」などが標準搭載。
さらに専用のマイクロフリースシートやデジタルメータークラスター「Active Info Display」、ダイナミックターンインジケーター付きのLEDテールランプなども奢られた、GTIのスポーティネスをさらに際立たせた仕様である。
公道 もはやポテンシャル引き出せず
まずルックスは、ノーマルのゴルフ7とは周囲に放つオーラがまるで違う。
専用デザインの前後バンパーや、フロントグリルからヘッドライト内部まで伸びるレッドのストライプ、ダークテールランプ、専用の19インチアルミホイールなどが、いかにもスポーティグレード然とした雰囲気を醸し出している。
走り出しても硬派な印象は変わらない。
引き締まった足回りとレスポンスが良くパワフルなエンジン、適度に手応えのあるステアリングホイール、強力でコントローラブルなブレーキペダルのタッチが、スポーティモデルを操っている事をドライバーにはっきりと伝えてくる。
高速道路では、そんなスポーティネスが一層際立つ。パワーに余裕があるので首都高の短い合流でも全く不安を感じない。
DCCでスポーツモードを選ぶと、足回りはビシッと引き締まり、DSGは低めのギアが選択されて、さらにダイナミックな走りが楽しめるが、日常の移動ではやや過剰に感じる。
正直言って、一般道が60km/h、高速道路は一部のみ120km/hで他は100km/hの日本では、法を犯さないかぎり、サーキット以外でこのクルマのポテンシャルを引き出すことは不可能だ。
ゴルフGTIとは今やそんなクルマなのである。
GTI TCRやゴルフRも 存在意義は
とはいえ、かつてドイツでフェイスリフト前のゴルフ7のALLSTAR(1.4 TSIを搭載した特別仕様車)に3年ほど乗っていた身としても、今回のGTIパフォーマンスは、やはり魅力的に感じた。
ゴルフというクルマをドイツで使っていると、その動力性能や高い快適性能、優れたパッケージングに、本当に感心させられるのだが、GTIはそんな「身近なクルマ」ゴルフの最高峰なのである。
ゴルフGTIパフォーマンスは、スポーツモードの乗り心地は確かに硬いが、パワフルでリニアな加速やハンドリングの正確性、シャシーの剛性感などが、ノーマルのゴルフより明らかに高く、スポーティである事以上に「良いクルマ感」に溢れている。
工業製品としてクオリティが抜群なのである。「このクルマでドイツのアウトバーンを走ったら、さぞ気持ち良いだろうな」と、思わず想像してしまった。
ゴルフ7のGTIには、290psと38.7kg-mを絞り出す2.0L直4ターボを搭載したGTI TCRも登場し、さらには310psと40.8kg-mまで性能を引き上げ、駆動方式を4WDとした史上最強のゴルフRまである。
つまり、もはやGTIはトップパフォーマンス・バージョンではないのだが、その存在感は全く薄れていない。何故なのだろうか。
GTI 存在感が全く薄れぬワケは?
理由はやはり、ゴルフGTIが「一番良いゴルフ」だからではないだろうか。
GTI TCRやゴルフRは、確かにGTIより速い。
だがデイリーユースでそこまでの速さは必要ないというのが正直なところ。またそれらのモデルを手に入れることが出来る経済的余裕がある人は、ピュアスポーツカーなど他に多くの選択肢がある。
ゴルフGTIは「最も完成度が高い実用コンパクトカー」だからこそ、ゴルフのイメージリーダーとして今も輝いているのだ。
じつは5月13日に、ドイツのフォルクスワーゲン本社は、世界中のジャーナリスト向けに新しいゴルフ8のGTIに関するプレゼンテーションをリモートで行った。
そこでは新型GTIが、より低く、ダイナミックなデザインを纏い、エアロダイナミクスもさらに磨き上げられ、標準モデルで245psと37.7kg-mを発揮する2.0L直4ターボが搭載される事が明らかにされている。
またシャシーは、ウィッシュボーンやベアリング、スプリング、油圧ダンパーなどが見直され、一層の剛性アップや軽量化を実現。
また、電子制御式フロントアクスルロッキングディファレンシャルと電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」に加えて、アダプティブシャシーコントロール「DCC」を統合制御する「ビークルダイナミクスマネージャーコントロールシステム」と呼ばれる新開発シャシー制御システムも採用し、極めてニュートラルなハンドリングを実現したという。
このような進化はとても気になるが、もはやゴルフGTIにとって絶対的な速さは問題ではない。
確かに走りがスポーティである事は、ゴルフGTIにとって重要なキャラクターではある。
だが、それらがどのように調和し、毎日の移動をどれだけ豊かなものにしてくれるのかが大事なのだ。新型ゴルフGTIの日本上陸を大いに期待して待ちたい。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTIパフォーマンスのスペック
価格:484万円
全長:4275mm
全幅:1800mm
全高:1470mm
最高速度:218km/h
0-100km/h加速:-秒
燃費:14.0km/L(JC08)
CO2排出量:166g/km(JC08)
車両重量:1430kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:245ps/5000-6700rpm
最大トルク:37.7kg-m/1600-4300rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
プアマンズポルシェと言われた価格も
本家ポルシェ911が軽く2000万オーバー
時代は変わりましたね。