新たな顧客体験プログラムを開始
ベントレー本社が2023年9月1日より新たな顧客体験プログラムを提供する。最新のデジタル技術を用いた没入体験型3Dプログラムなども用意されるようだ。この真の目的はいったい何なのであろうか?
「ミュルザンヌ」から「ベンテイガEWBマリナー」へバトンタッチ! ベントレーの新たなフラッグシップが発表されました
ベントレーの本社クルーとは?
ベントレーの本社はチェシャー州の「クルー」という町に位置する。ベントレーの製造工場はこの1箇所しかなく、世界中のベントレーはここでデザインされ、設計され、製造される。「ホーム・オブ・ベントレー」と呼ばれるこの工場は1946年から自動車の製造が始められた歴史ある工場である。4000人の従業員により年間15000台程度の車両が時間をかけて製造される。
パーソナライズドカスタマーツアー
これまでもベントレーは顧客向けの工場見学を実施していた。まずは「リニアージ」と呼ばれる博物館に案内され、歴史的なベントレーモデルやレーシングカーなどを見ることができる。W.O.ベントレーが設計した星型9気筒の航空機エンジンが展示されていたり、フライングBと呼ばれるベントレーマスコットのデザインの変遷などを見ることができ、ベントレーファンにはたまらない空間である。
その後に、ウッドショップ、レザーショップ、組み立てラインに案内され、ベントレーの誇るクラフトマンシップを身近に感じることができる。実際にクラフトマンから直に話を聞くことができる点もこのツアーの面白さだ。
ベントレーはこのような工場見学をさらに充実させたカスタマーツアーを9月から開始する。ショールームである「CW1 ハウス」ではデジタルの技術を使った没入体験型プログラムでの3D博物館体験ができ、ベントレーの豊かな歴史をより深く理解することができ、またお客様はタッチスクリーンを使ってお好みのファクトリーツアーをカスタマイズすることもできる。
最も難しいプロセス、仕様決めの心強い味方とは?
工場エリアに移動すると専属のホストがお客様をお迎えし、実際の素材を紹介しながらお客様のクルマの仕様選びのサポートが行われる。
例えば車両の最終仕上げ工程の場所には新たカスタマーエクスペリエンスエリアが作られ、そこでは塗装の仕上げ、サステイナブルハイド、ステッチデザイン、ウッドパネル、ボンネット、カーペット、シートベルトの種類などを数ある選択肢の中から選んでいただくことができる。
世界中から集めた9種類以上の持続可能なウッド・フィニッシュを取り揃えた専用のウッド・ショップでは、顧客が自分でウッドパネルを選び、自分のクルマがどのように精密なブック・マッチングやミラー・マッチングをされるかを知ることができるのだ。
また、デザインコンサルタントが常駐し、お客様の夢の車を実現するための組み合わせや最終的な美しさに関するアドバイスを提供することもお客様にとっての特別な体験となるだろう。
カーボンニュートラルな工場
そして、このツアーはブランドの歴史や製造工程だけではなくベントレーが行っているさまざまなサステイナブルな活動についても紹介している。クルー工場はすでに100%自然エネルギーを使用したカーボンニュートラルな工場に生まれ変わっているが、2030年までには更に進化しカーボンポジティブな工場に変貌しようとしている。そのなかでベントレーが現在行っている倫理的な材料調達だけでなく、太陽光発電の活用、敷地内の植栽による環境保護、ミツバチの飼育などを含む生物多様性に関するサポートなどをしていることを来訪者に知っていただくことも重要な活動となる。
AMWノミカタ ベントレーは「エクストラオーディナリー(類まれな)」顧客体験の提供にここ数年力を注いでいる。自動車を単に製造・販売するだけではなく、ブランドを取り巻くさまざまな体験を提供することで、顧客の興味関心を生み、ブランドに対する理解・共感を深め、ファンを醸成することを目指す。そしてその体験を顧客が語り、さらなるファンを増やす。一見地味に見えるこのような活動を継続することで、来たるべくBEV投入の大変革時代に向けての顧客の地盤固めをしているように思える。
もしかするとそんな大きな話ではないかも知れないが、ブランドと顧客の距離がぐっと縮まるのは確かだ。小規模生産の高級車ブランドだからなせる技なのかも知れない。
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