台湾の事故では横転したトラックを認識できなかった
台湾で撮影された交通事故の映像が話題となっています。
高速道路の追い越し車線で横転したトラックに「テスラ モデル3」が躊躇なく突っ込んでいくというもので、トラックが目の前で横転したわけではなく、明らかに減速・回避できる距離があるにもかかわらず事故になっているという衝撃映像です。
これはオートパイロットなどと呼ばれる自動運転テクノロジーを利用中に起きた事故だというのです。
動画共有サービスなどでは、様々な角度からの監視カメラ映像が確認できます。最終的にはドライバーが急ブレーキをかけたそうですが、システムが横転しているトラックをギリギリまで認識できなかったために起きてしまった事故に見えます。
幸い、トラックの荷台部分がクッションとなったようで、モデル3のドライバーは軽傷で済んだようですが、自動運転テクノロジーに不安を抱かせるには十分な、インパクトのある映像として世界中に拡散されています。
現時点で自動運転を実現している市販車メーカーはない
そもそも、現時点で自動運転を実現しているメーカーは世界にありません。メーカー自身が、まるで自動運転と勘違いさせるような宣伝をしていたとしても、技術的にも法的にも「自動運転レベル2」といって、あくまでも「運転支援システム」に留まっています。(2番目の表参照:官民 ITS 構想・ロードマップ 2018より)
たしかに条件が整っているのであれば、レベル2の運転支援システムでも、あたかも自動運転のような振る舞いをすることはあります。日産スカイラインに搭載されている「プロパイロット2.0」はハンズオフといって高速道路での手放し運転が可能になっていますが、これでも自動運転テクノロジーの分類としてはレベル2で、ドライバーが主体であることが前提。ドライバーは常に周囲を監視して、適切な操作をする必要があります。
運転中にスマートフォンを見ることができるレベル3の自動運転はそろそろ登場しそうな気配ですが、まだまだ居眠りしていても安全に走ることができるレベルには達していないのです。
無謀なチャレンジは技術開発の足かせになっている
しかし、アーリーアダプターと呼ばれる「先進テクノロジーが大好きで、その可能性に期待するクラスタ」の一部は、まるでレベル4以上の自動運転テクノロジーを採用しているかのような使い方を試し、動画を得意気に公開する人も少なくありません。
特定メーカーのユーザーに目立ちますが、この手のアーリーアダプターの行為に触発されて、真似をする人もでてきます。今回の事故の原因についても、運転支援システムと自動運転システムをはき違えたドライバーが前方監視を怠っていたわけです。
こうした衝撃映像が拡散されることで、一般ユーザーに自動運転テクノロジーに対する不安が高まると、ステップバイステップで進んできた自動運転に対して逆風となることは間違いありません。
その意味で、自動運転テクノロジーを“過大”評価するアーリーアダプターが、自動運転の普及を妨げることになってしまう可能性もあるのです。
もちろん、彼らのチャレンジングな利用法で起きるトラブルを解消することは、技術進化を加速する面もあります。しかし、それは一般ユーザーが公道で、他人や自分の命をかけて行なうものではないもの事実でしょう。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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