■ライバル車の登場で販売低迷も、コロナのおかげで持ち直した?
日産「ノート」は、2012年に現行モデルが発表以来、約8年もの月日が経過しました。電動パワートレインのe-POWERを搭載したことにより、2018年には販売台数トップを勝ち取るものの、現在は徐々にその販売台数が低迷傾向にあります。
【画像】これが次期型ノート!? 公開された画像をささっと見る!(24枚)
ノートの直近の販売動向はどのような状況なのでしょうか。
現行ノートは2012年9月に発表以来、8年目を迎えています。発売後は、「2013年次RJCカーオブザイヤー」を受賞するなど、瞬く間に人気車となりました。
さらなる拍車をかけたのは2016年のマイナーチェンジにe-POWER搭載モデルを追加。e-POWERとは、従来モデル同様にエンジンを搭載するものの直接の駆動力として活用はせず。発電としてモーターを稼働させ、そのチカラでクルマを駆動させるシステムで、電気自動車のような走行フィーリングとなっています。
そのため、電気自動車ならではのシームレスで気持ちの良い走りと充電の要らない手軽さを持ち合わせており、多くのユーザーから人気を集めました。
こうした先進技術の搭載により、普通車の新車販売台数で2016年は5位、2017年は2位、そして2018年は見事1位に輝きます。
2019年は、トヨタ「プリウス」に次いで2位となりましたが、発売開始から7年以上が経っても11万8472台を販売するロングセラーモデルです。
しかし、2020年に入ってからはトップ10入りを逃す月もあり、苦戦を強いられています。2020年の上半期(1月から6月)では、ランキングでは5位をキープしつつも、販売台数は前年比60.8%となる4万1707台と、大きく落ち込みました。
販売下落の原因について、日産の販売店スタッフは以下のように話します。
「ノート販売が伸び悩んでいるのは、モデル単体で見ればコロナの影響もありますが、トヨタ『ヤリス』やホンダ『フィット』など新型モデルが登場したことが1番の要因です。
その2モデルが発売されてからノートに関する問い合わせは大きく減ったほか、契約を進めていた途中でキャンセルになったという例もありました」
※ ※ ※
新型コロナウイルスが経済活動に影響を与えた2020年4月以降の販売台数は、4月は前年比51.1%となる3786台、5月は43.1%となる3470台、6月は49.8%となる6010台と、大きな影響を受けています。
また、ヤリスとフィットの影響は数字にも大きく現れています。両車の新型が発売したのは2020年2月ですが、翌3月にはノートはランキング5位に、さらに4月は13位、5月は10位と大きく下落しています。
しかし、ここで注目すべきは、6月の動向でしょう。販売台数こそ前年より少ないですが、ランキングでは6位とやや持ち直しました。
では、どうして再びランキング上位に位置したのでしょうか。前出とは別の都内の日産販売店スタッフは以下のように話します。
「販売台数が減少したのは、コロナの影響で法人からの受注が止まったことが大きく関係していますが、6月に入ってからは、法人からの受注が戻ってきています。
これは、コロナにより、各企業が電車通勤ではなくクルマ通勤を推奨するケースが増加したためではないでしょうか。今だけの話ではなく、長期的にクルマ通勤にシフトするという企業もあり、大型な注文もありました」
なお、地方の日産販売店でも同様の注文は増えているとのことで、「7月は販売台数が徐々に回復傾向にあり、一時低迷していた販売を取り戻しつつある」と話しています。
また、企業側では、新型車では納期の目安が立ちにくいため、あえてモデル末期の車種を購入するというケースも多いとのことで、他メーカーに新型が登場したこのタイミングだからこそ、モデル末期のノートが注目されているようです。
ノートは、コロナとライバルの影響で販売が低迷したものの、直近はその2つの影響がプラスに作用したことで、再び販売を持ち直しているようでした。
■今後のノートはどうなる? 次期型モデルはいつ登場?
ノートは2020年秋に新型モデルへとフルモデルチェンジするとの噂が出ていますが、未だ公式な発表はありません。販売への影響に関しても、販売店スタッフは「今のところ影響はない」と話しています。
現時点の話では、新型ノートのデザインは現行型から大きく変更しないものの、プラットフォームを大幅に刷新するといわれています。
日産は、5月28日に実施した「2019年度決算」の際、「今後18か月で少なくとも12車種の新型車を投入する予定」と公表。
そこで公開された新型ノートと思われるシルエットを見ると、ボンネットを短くしてフロントウインドウを寝かせた角度にしていることが分かります。さらに、ルーフ後方まで伸びたボディラインなどがわかっています。
搭載するパワートレインは、現行モデル同様に1.2リッターエンジンのガソリン車とe-POWER車と見られていますが、e-POWERのシステムは新たに開発されたものになるようです。
また、新型ノートをベースにした3列ミニバンのような派生車も設定されるという話もあり、ヤリスシリーズ(標準ヤリス、GRヤリス、ヤリスクロス)や、フィットの5つのグレード展開(ベーシック、ホーム、ネス、クロスター、リュクス)に対抗するモデル展開になるのかもしれません。
※ ※ ※
近年の日産は、日本市場において新規モデルやフルモデルチェンジが減少傾向にあり、2010年に新規モデルとして前述のリーフを発売して以来、10年ぶりに新型「キックス」を2020年6月30日に発売したほか、7月15日には新型電気自動車「アリア」を発表(発売は2021年中頃)するなど、新型モデルへ力を入れています。
さらには、2020年末から2021年にかけて新型「エクストレイル」の投入も控えているといい、販売店から「他社と競える新型モデルが欲しい」といわれ続けた呪縛から開放され、新生日産がこれからスタートしようとしています。
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