■「ヴィジョンQe」が想像させる次期「スカイライン」の姿
日産が主に北米を中心に展開する高級車ブランドである「インフィニティ」は2023年10月24日、バッテリーEVのコンセプトカー「ヴィジョンQe」を発表しました。
背が低く、なだらかなルーフラインのクーペ風セダンスタイルのヴィジョンQeは、その姿から、「これが次期型のスカイラインなのでは!?」とSNS上で話題となっています。
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海外専用ブランドであるインフィニティのコンセプトカー、ヴィジョンQeが、神奈川県横浜市にある日産グローバル本社ギャラリーに展示されていると聞き、筆者(くるまのニュースライター 河馬兎)はさっそく実車を確認してきました。
目の当たりにしたヴィジョンQeは、(生産終了となった)日産の高級セダン「フーガ」と、スポーツセダン「スカイライン」のちょうど中間といったサイズ感。
ブラックカラーの低くワイドで流れるようなフォルムで、デジタルピアノキーライトという発光グラフィックを使用したフロント周りは実にカッコ良く、立体的なマシンドフィニッシュの大径ロードホイールのほか、ホイールに描かれた水引デザインがタイヤ側にまで食い込んでいるのも印象的でした。
インテリアについては窓ガラスのスモークが強く、残念ながら車内を見ることはできませんでしたが、未来のスカイラインとして、ふさわしい存在感を放っていると感じました。
さて、これが次期スカイラインなのかという本題についてですが、筆者は、その可能性は十分にあると考えています。
日産とインフィニティはこれまで、同一モデルの名称を変えて共有してきました。
スカイラインはインフィニティ「Q50」として、フーガは「Q70」として、それぞれ兄弟車のような関係性を保っていたのです。
このヴィジョンQeがいずれ次期インフィニティQ50として登場するのなら、それはすなわち次期スカイラインでもある、ということになります。
しかしながら、これが次期スカイラインだとすると心配な点が1点あります。
ヴィジョンQeには、スカイラインとしてのシンボルがひとつも見当たらないのです。
■日産副社長の「スカイラインを諦めません」宣言はどこへつながっていくのか
2001年6月、日産は国内専売のR34型(10代目スカイライン)から、海外を視野に入れたV35型(11代目)へとフルモデルチェンジをした際、新型をみたファンから「これはスカイラインではない」と激しく抵抗されました。
エンジンがこれまでの直列6気筒からV型6気筒へ切り変わったことや、テールランプが丸目4灯でなくなったことなどによって、新しく生まれ変わったスカイラインは、従来からのファンには受け入れられないものだったのです。
モデルチェンジを機に、クルマのスタイルが大きく変わった点はともかくとして、せめて細部にR34型まで続いていた“スカイライン”を象徴するデザインを残して欲しかったというのが、ファンの偽らざる気持ちだったようです。
そのため日産では、マイナーチェンジですぐに丸目4灯のテールランプを採用し、軌道修正を図っています。
1957年の初代以来、長い歴史を持つスカイラインのファンにとって、これまでスカイラインが構築してきたイメージを守ることは、何よりも重要なことだったということがわかるエピソードといえます。
2014年に登場した現行型(13代目・V37型)スカイラインも、2019年の大規模なマイナーチェンジのタイミングで丸目4灯へ変更した際、「スカイラインが帰ってきた!」と国内のファンから歓迎されていました。
このように現行のQ50とスカイラインにおいても、テールランプは異なるデザインへと造り分けされています。
このことから次期型でも、国内向けにはスカイラインのシンボルをしっかりと取り入れてくることが必須条件になると考えられます。
それがこのヴィジョンQeにおいてどのように表現されるのかは、気がかりなところです。
※ ※ ※
スカイラインは、2021年6月に経済新聞などが「モデル廃止か!?」と報じ、大きな話題となりました。
その際、日産の星野朝子副社長は報道を否定し「日産自動車はスカイラインを諦めません」と宣言。スカイラインファンは今もその言葉を信じ続けていますが、すでにそれから2年以上が経過し、現行モデルはデビュー10年目を迎えています。
このヴィジョンQeが、そのまま次期型(V38型!?)スカイラインとなるとは考えにくいですが、ともあれ次期型らしき姿をみることができたのは、スカイラインファンとしては大変喜ばしいことでしょう。
2023年はあまり大きな動きのなかった国内の日産ですが、2024年はどのような活躍を見せてくれるのか、スカイラインの今後とともに注目です。
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みんなのコメント
フーガFMCには本当に期待していたのにもう日産には何も期待していない。