はじめに
間違いなくクラストップになれる方法があるとすれば、それはまったく新しいクラスを作ってしまうことだ。メルセデスは初代CLSで、4ドアクーペというクラスを産み出し、日産はジュークで、BセグメントSUVを開拓した。この2台がとくに顕著な例だ。
そして今、Bセグメント以上、Cセグメント未満で、商品としての訴求力をわずかばかり高めた高めたクロスオーバークーペという、ありそうでなかったカテゴリーが生まれようとしている。少なくとも、今回取り上げるルノー・アルカナはそういうクルマだ。
コンパクトなファミリーカーを探しているユーザーは多くても、事細かな要件まで明確に定めているひとはそう多くないだろう。このアルカナにしても、もしルーフがスロープしたSUVというスタイルによほどご執心でなければ、これに代わる選択肢はたくさんある。
日産ジュークや、同じルノーのキャプチャーであれば、もっと少ない出費で手に入る。ただし、室内の広さは多少なりとも目減りする。逆に、予算を数千ポンド上げれば、上位クラスのSUV、たとえば日産キャシュカイやヒュンダイ・ツーソンあたりが射程に入る。
今回のロードテストで、新たなカテゴリーのパイオニアであるアルカナの立ち位置をはっきり見極めたい。これは、ボディサイズと室内空間の妥協点として、クロスオーバーにおける新たな最適解なのだろうか。それとも、まったく異種のきっかけや影響をごちゃ混ぜにしただけのクルマなのか。
また同時に、Eテック・ハイブリッドの実力も探ってみたい。少し前にテストしたメガーヌのプラグインハイブリッドと同様に、フルハイブリッドとしてうまくはたらいてくれるのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
正面から見ると、ルノーファミリーの見慣れた顔つきだが、横に回るとルノーらしさは薄い。テスター陣はひとりならず、視点によってBMW X4の影響を感じられるという感想を抱いた。
発売までの経緯も、これがまたややこしい。ルノーは2019年にロシアでアルカナを発売した。このロシア仕様はルックスこそ今回のテスト車と変わらないが、インテリアは廉価ブランドのダチアに近いレベル。というのも、ベースがより設計年次の古いダチア・ダスターに用いられるB0プラットフォームだからだ。
いっぽう、英国や欧州本土で販売されるアルカナは、現行キャプチャーのベースであるCMF-Bをストレッチして使用。より新しいプラットフォームやコンポーネンツを使ったことで、乗り心地やハンドリングの洗練度が高まっていると予想される。
現行のキャプチャーやルーテシアと同じく、リアサスペンションはトーションビーム。そう聞いてちょっとガッカリするかもしれないが、そうだとしたら思い出してほしい。その兄弟分たちが、各々のセグメントでトップクラスの運動性能を発揮しているという事実を。
アルカナが設計面で、より小型のキャプチャーと密接な関係にあることを考慮すれば、生産はスペインのバリャドリッド工場だろうという推理をするだろう。ところが、このクルマを製造するのはルノー・サムスンの釜山工場、すなわち韓国製だ。そして韓国市場には、サムスンXM3として昨年から投入されている。
サムスンと聞くと、スマホや家電を作っている電機メーカーを思い浮かべるだろう。実際、創業したのは同じサムスングループで、最近までこの財閥の系列企業が株式の一部を保有していた。とはいえ、2000年の経営破綻時にルノーが全株式の80.1%を取得しており、実質的にはルノーの韓国部門となっている。
エンジンのラインナップもまた、同じプラットフォームのモデルたちとは異なり、2機種のみを展開する。ひとつが140psの1.3L直4ターボガソリンで、これはルノーとメルセデスが多くのモデルに設定しているパワーユニットだが、アルカナにはマイルドハイブリッドアシストが付加されている。とはいっても、12Vシステムで、エンジンを切った際に補器類へ電力を供給するにすぎない。
もうひとつが、今回テストするEテック・ハイブリッド145で、ルノーの最新電動パワートレイン群に属するフルハイブリッドシステムである。自然吸気の1.6L直4に、大小ひとつずつのモーターを組み合わせ、大きいほうは駆動用、小さいほうはスターター/ジェネレーターとして使用。トランスミッションは、ノンシンクロの4速クラッチレスギアボックスだ。
ドライブトレインとの接続を断つためには、エンジンをニュートラル状態にしなければいけないので、発進は必ず電力で行われる。そのためにはバッテリーの十分な充電量が必要なので、エンジンは接続を切られているときでも、発電のために回すことができる設計だ。
いっぽうで、一般的なクラッチを用いなくても変速できるように、ギアボックスにはシンクロメッシュではなくドグクラッチが与えられる。さらにスタータージェネレーターを増減速することでクランクシャフトの回転速度を調整し、ギアがスムースにつながるよう回転合わせをする。
ルノーのEテック・フルハイブリッドに用いられるモーターは、プラグインハイブリッド版の65psより低出力な49ps仕様。駆動用バッテリーも1.2kWhと、PHEVの9.8kWhよりだいぶ容量が少ない。
内装 ★★★★★★★☆☆☆
アルカナとキャプチャーの関連性がもっとも明らかなのはインテリアで、ダッシュボードはまさに同じようにみえる。しかしながら、テストした中間グレードのSエディションでも、キャプチャーを特徴づける奇抜な要素が失われている。
ダッシュボードはソフトタッチなインサートに代わり、メタル調のパネルが広い面を覆う。一見するとエンジンターン加工したアルミのようだが、すぐにテカテカしたプラスティックだとわかってしまうそれだ。
キャプチャーのようなフローティングセンターコンソールも、アルカナにはない。MTの設定がないのだから、下部にギアボックスへのリンケージを配置する必要もないのに。
また、明らかなコストカットの痕跡も見て取れる。たとえば、シフトポジションを示す「PRNDB」にはバックライトが備わらない。暗くなってからの運転中には、間違えたポジションに入れてしまいかねない。
センターアームレストの小物入れなど、チープさがかなり際立っている部分もある。ただし、手が触れる箇所のほとんどはレザーで覆われていて、デザインは現代的なので、少なくともクロスオーバーの水準としては立派な質感だ。
それでも、より小さくて低価格なキャプチャーより、質感が落ちるとは予想していなかった。その差はわずかなものではあるのだが。
少なくとも、キャビンのスペースで上回っているのはうれしいところ。室内幅がキャプチャーより目に見えて広がっているようには感じないが、後席のレッグルームはアルカナより大きいクロスオーバーSUVの水準に照らしても広いといえる。実際、キャシュカイやツーソンを凌いでいるのだ。
その広さは、荷室にも当てはまる。スクエアな形状とフラットなフロア、開口部の低い段差もさることながら、スペースそのものがとにかく広く、奥行きと幅は中型SUVすら優に退けるほどだ。
荷室容量はキャシュカイとほぼ同じで、ラゲッジルームの床面は一般的なSUVほど高くはない。それでも、テスト車に積まれていたオプションのスペースセーバーを選択しなければ、フロア下に更なる収納スペースが生まれる。
スロープを描くテールゲートは、後席ヘッドルームをわずかに侵食するが、もっとも下り勾配がきつい部分はヘッドレストの直後なので、それほど大きな欠点にはならない。
それよりも、低いルーフラインのせいで、後方視認性がひどく乏しいほうが問題だ。後席ヘッドレストを立ち上げると、ルームミラーの大部分に映り込んでしまう。事態をさらに悪化させるのが、リアワイパーの設定がないことだ。雨が降ると、ガラスを水の膜が覆って、さらに後方視界を奪ってしまう。
走り ★★★★★★☆☆☆☆
数週前にテストしたプラグインハイブリッドのメガーヌで、われわれはルノーのEテックシステムの好ましい点を数多く見出した。基本的にはアルカナのハイブリッドとおおむね同じシステムだが、同一というわけではない。
エンジンは共通の1.6L自然吸気だが、電気モーターは16psのマイナス。車両重量が160kgも軽いのだから埋め合わせできるだろう、と思うかもしれないが、実際に走ると、アルカナのほうが目に見えて遅い。
路面の湿ったテストコースで計測した0−100km/h加速タイムは11.6秒で、公称値より0.8秒遅かった。絶望的というまでではないが、それでも馬力荷重比を考えると残念な数字だ。メガーヌと比較すれば1秒以上のビハインドで、日常使いではパフォーマンスに物足りなさを痛感することになるかもしれない。
高速道路の合流や、混み合ったジャンクションから脱出するときには、エンジンが回りはじめがちだ。さらに、加速時には低いギアをホールドする傾向がある。洗練性の観点からすれば、あまりよろしくない。
とはいえ、もっと穏やかに走っていると、パワートレインの切り替えはスムースに行われる。モーターからエンジンへ、また発電機としてのエンジン稼働と、ボンネットの下で今なにが起こっているのかほぼわからないくらいみごとだ。
実際、回転計は備え付けられず、手動変速する手段はなにひとつ用意されていない。電動アシストのパンチは、とくに市街地では満点で、開けた道でも、少なくとも普通の使い方で日々走らせるのであれば十分だ。
フルハイブリッドの多くがそうであるように、EVドライブボタンはある。しかし、1.2kWhのバッテリーではたいした航続距離は望めない。エンジンをかけるのがはばかられる時と場所を選んで使うのが得策だ。シフトセレクターにはBレンジがあり、回生ブレーキの効きを強くできるが、ワンペダルドライブができるほどではない。
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
インフォテインメント
エントリーグレードのアイコニックには7.0インチのタッチ式ディスプレイと、ルノー最新のイージーリンクシステムが備わり、Android AutoとApple CarPlayの有線接続に対応する。
上位機種のRSラインとSエディションでは、画面が9.3インチに拡大。ルノーは車内テクノロジーで他をリードするメーカーではないが、最新システムのクセをつかんでしまえば、じつによく機能してくれる。
音量調整はタッチパネルで行うが、運転席にはステアリングホイールの背後にオーディオ操作系を配置したメディアストークが備わる。1990年代以来、ルノー車ではお馴染みのデバイスだ。
ショートカット用の実体スイッチがもっとあればうれしいのだが、スマートフォンのミラーリングと車載インターフェースとの切り替えは、メインディスプレイの上部に突き出したボタンで行える。
充電用の出力ポートは数多く設置される。前席には12Vソケットが備わり、USB−Aポートは前後に2口ずつ配置されている。ただし、ワイヤレス充電器はオプションとしても用意されていない。
燈火類
LEDヘッドライトの明るさは強いが、自動減光はうまくいくときとそうでないときがある。マトリックスタイプは選択できないが、そもそもこのクラスで設定されていることのほうが珍しい
ステアリングとペダル
ペダル配置におかしなところはない。ドライビングポジションのアジャスト量も妥当なものだが、これ以上のクルマがあるのもまた事実だ。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
クロスオーバーハッチバックに、一体感を味わえるドライバーズカーを期待することはないだろう。ところがルノーは、アルカナにそれなりのハンドリングの正確さとバランス、そして全般的なレスポンスのよさを与えた。
ステアリングはほどよいギア比で、ロックトウロックは2.6回転。やや軽めだがナチュラルで、リニアな反応をみせる。215セクションのクムホ製タイヤはそれなりにグリップし、自信を持って市街地を駆け抜けたり、曲がりくねったB級道路を走り回るのに十分な俊敏さを発揮する。
ミルブルックの山岳路を模したテストコースで飛ばすと、アルカナはこの手のクルマの中では活きのいいほうのハンドリングを見せつけ、テスト時の滑りやすい路面状況では、ときとしてスロットルオフでオーバーステアが顔をのぞかせた。
挙動は安全志向で、スタビリティコントロールの制御はどことなく不器用だが、ほとんどのドライバーはその傾向に気づくこともないだろう。高速出口を間違えたようなときに、不注意なドライバーは怖い思いをするかもしれない。
しかしながら、はっきり感じられるシャシーバランスといい意味での無感覚さからくる控えめな身のこなしは、そうだとわかるとうれしくなるような類いのものだ。
濡れた路面での制動性能は、113km/hからのフルブレーキが完全制止まで56.7m、97−0km/hのタイムが3.07秒。キア・ニロ・ハイブリッドやヒュンダイ・ツーソン・ハイブリッドを上回るものの、まったくドラマティックなところはなかった。
そのうえ、メガーヌEテックでは怖くなるくらいソフトで、ストロークが長かったバイワイヤ式ブレーキペダルだが、アルカナではそういう問題はなかった。その代わり、しっかりしていて十分な安心感があり、調整するのも楽で、スムースにクルマを止めることができる。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
重心が高く、ドライバーへの訴求力をある程度持たされたクルマは、そこそこ硬めにチューンしたサスペンションが必要だ。その点では、アルカナも例外ではない。
バンプを乗り越える際の乗り心地は、もっと一般的なクロスオーバーSUVほど落ち着いてはいない。ここでも、ふたつのクラスを股にかけているようなところがある。より小さいクロスオーバーに比べれば、快適性は絶対的に優れている。しかし、もっと上質で熟成されたクルマ、たとえばトヨタC−HRや日産キャシュカイに対しては、やや動きが多く、ちょっとうるさく、衝撃もある。
一般的に、フランス車といえばスムースな乗り味を思い浮かべるのだが、アルカナはそういうものにはなっていない。しかしルノーは、少なくとも静粛性に関しては、ほめるに足る仕事をしている。期待通り、EVモードが使える市街地では、エンジン音を排除できるので非常に静かだ。
ところが、高速巡航するような場面でも、エンジンが介入せざるを得ないにもかかわらず、かなり静かに走るのだ。最大加速で145km/hに到達しても、室内騒音はライバル車より数dBA低い。
そうはいっても、ほどほど以上の加速で高回転まで回すと、エンジンノイズが感覚的な洗練度を多少ながら損ねる。たとえ客観的な計測値には、大きな影響が表れていなくてもだ。
シートもまた、長距離の巡航を楽しめる要因のひとつ。ありふれた黒い布地で覆われ、ランバーサポートや座面の角度と長さの調整機能は備わらないが、ソフトなパッドを使っているおかげで非常に快適だ。
ドライビングポジションと、ステアリングコラムの調整幅は上々。それでも、フォルクスワーゲングループのライバルたちは、もっと広範囲に調整が効くし、より手が込んでいる。
やや特異な設計だといえるのが、運転席をもっとも低く下げても、まだかなり高いことだ。それでいて、ルーフは比較的低い。身長が2mもあるのでなければ気にならないだろうが、それでも比較的背の高いクルマに期待するほどの広さはない、という印象を受けてしまう。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
テスト中の平均燃費は18.0km/Lで、キャプチャーの1.3 TCe仕様より3.5km/Lほど低燃費だった。ちなみにこの1.3Lターボエンジンは、アルカナにも設定されている。さらに、アルカナより小さく、安く、速かったキア・ニロ・ハイブリッドにもわずかながら勝っている。
アルカナのハイブリッド仕様は荷室フロア下に駆動用バッテリーを積み、燃料タンク容量は50L。満タンでの航続距離は、900kmほどになる計算だ。
スタイリングがそうであるように、価格設定もふたつのセグメントの間に位置する。テスト車は中間グレードのSエディションで、価格は2万8600ポンド(約400万円)からとなっている。
この金額、Bセグメントのハイブリッドシステムを積むクロスオーバー、たとえばキャプチャーEテックやトヨタ・ヤリスクロスに比べれば3000ポンド(約42万円)ほど高く、ヒュンダイ・ツーソンなどのCセグメントSUVのハイブリッド仕様よりは同じくらい安価だ。
もしも燃費に多少は目をつぶるなら、この予算でより大きく、装備が充実したガソリン車のSUVが手に入る。そのほうが、ドライビングも文句のないものを味わえるはずだ。なお、これらの価格差がローンの支払い金額にも反映されるのは、言うまでもない。
間接的に競合する車種は数多い。しかし、スペースとヴァリュー、そして燃費がどれも同等なものを探すと、ディーゼル車でないとまず見つけられない。18km/Lという燃費はみごとだが、これに近いクラスでは減りつつあるディーゼル車なら、同じような経済性を、ここまで複雑ではないメカニズムで達成できるはずだ。
スペック
レイアウト
アルカナのプラットフォームは、これよりボディの小さいキャプチャーと同じCMF−Bをストレッチし、わずかながら拡幅したもの。サスペンションは前ストラット/後トーションビームだ。
1.2kWhの駆動用バッテリーは、荷室床下に搭載。駆動方式は前輪駆動で、トランスミッションは4速のクラッチレスギアボックスだ。
エンジン
駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列4気筒1598cc、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ78.0×83.6mm
圧縮比:10.8:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:94ps/-rpm
最大トルク:15.1kg-m/-rpm
ハイブリッドアシスト:永久磁石同期電動機+ISG
モーター最高出力:49ps+20ps
モーター最大トルク:-kg-m
システム総合出力:143ps/-rpm
システム総合トルク:-kg-m/-rpm
馬力荷重比:99ps/t
トルク荷重比:-kg-m/t
エンジン比出力:59ps/L
ボディ/シャシー
全長:4568mm
ホイールベース:2720mm
オーバーハング(前):878mm
オーバーハング(後):970mm
全幅(ミラー含む):2070mm
全幅(両ドア開き):3600mm
全高:1576mm
全高:(テールゲート開き):2160mm
足元長さ(前席):最大1065mm
足元長さ(後席):775mm
座面~天井(前席):最大1025mm
座面~天井(後席):890mm
積載容量:480~1263L
構造:スティールモノコック
車両重量:1435kg(公称値)/-kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前・後:8.0Jx18
タイヤ前・後:215/55 R18 95H
クムホ・エクスタHS51
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット[スペースセーバーをオプション設定])
変速機
形式:4速クラッチレス・ノンシンクロAT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
電動時:
1速:2.26/11.7
2速:0.87/30.4
エンジン走行時:
1速:2.20/12.1
2速:1.27/20.9
3速:0.77/34.3
4速:0.58/45.9
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:18.0km/L
ツーリング:20.6km/L
動力性能計測時:8.0km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:20.9km/L
燃料タンク容量:50L
駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー、- kWh(グロス値)/1.2kWh(ネット値)、230V
EV走行可能距離:- km
エンジン走行可能距離:-km
現実的な航続距離:約900km
CO2排出量:108g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:トーションビーム/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.6回転
最小回転直径:11.2m
ブレーキ
前:296mm通気冷却式ディスク
後:260mmディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、スイッチ(センターコンソールに設置)
静粛性
アイドリング:-dBA
全開時(145km/h):70dBA
48km/h走行時:56dBA
80km/h走行時:62dBA
113km/h走行時:67dBA
安全装備
ABS/ESP/ドライバー疲労警告/車線維持支援/死角警告/6エアバッグ/AEB
Euro N CAP:5つ星(2019)
乗員保護性能:成人96%/子供83%
交通弱者保護性能:75%
安全補助装置性能:74%
発進加速
テスト条件:湿潤路面/気温15℃
0-30マイル/時(48km/h):4.2秒
0-40(64):6.1秒
0-50(80):8.4秒
0-60(97):11.0秒
0-70(113)14.3秒
0-80(129):20.5秒
0-90(145):31.6秒
0-402m発進加速:18.3秒(到達速度:123.4km/h)
0-1000m発進加速:34.0秒(到達速度:146.8km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
キア・ニロハイブリッド2(2016年)
テスト条件:やや湿潤路面/気温16℃
0-30マイル/時(48km/h):3.5秒
0-40(64):5.0秒
0-50(80):7.2秒
0-60(97):9.7秒
0-70(113):13.0秒
0-80(129):17.3秒
0-90(145):22.5秒
0-402m発進加速:17.5秒(到達速度:129.4km/h)
0-1000m発進加速:31.8秒(到達速度:164.5km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):3.6秒
30-50(48-80):4.3秒
40-60(64-97):5.0秒
50-70(80-113):5.8秒
60-80(97-129):9.5秒
70-90(113-145):17.4秒
制動距離
テスト条件:湿潤路面/気温15℃
30-0マイル/時(48km/h):10.3m
50-0マイル/時(64km/h):28.0m
70-0マイル/時(80km/h):56.9m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.07秒
ライバルの制動距離キア・ニロハイブリッド2(2016年)
テスト条件:やや湿潤路面/気温16℃
30-0マイル/時(48km/h):11.0m
50-0マイル/時(64km/h):30.7m
70-0マイル/時(80km/h):59.6m
各ギアの最高速
1速:59.5km/h(5000rpm)
2速:104.6km/h(5000rpm)
3速:172.2km/h(5000rpm)
4速(公称値):172.2km/h(3756rpm)
4速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2459rpm/2811rpm
結論 ★★★★★★★☆☆☆
初見では、アルカナは流行りのクロスオーバークーペとして、十分な成功を収められるとは思えなかった。というのも、そのデザインにも、内装の質感のレベルにも、そしてパフォーマンスにも、とくに際立ったところがなかったからだ。
背の高い、実用性重視のクルマとしてみれば、ハンドリングはそこそこ鋭い。しかし、そのために乗り心地の快適性は多少なりとも犠牲になっている。
インフォテインメントは妥当だが、それ以上ではない。装備面を見ると、有用な安全装備の中には上位グレードでないと設定されてないものがいくつかある。
それでもアルカナは、ルノーが長年にわたりスコダの独壇場だった分野に切り込む契機となった。それは、あるクラスのプラットフォームをベースに、1クラス上の競合モデルと渡り合える実用的なスペースを持たせ、しかも引きがある価格設定をするクルマ造りだ。
そうした視点で判定すれば、アルカナは最初の印象よりもう少し魅力的なクルマに見えてくる。後席と荷室には広い空間があり、長距離での快適性は良好。斬新でかなり巧妙なハイブリッドシステムにより、すばらしい経済性も実現している。
そのデザイン的なポジショニングを考えると皮肉なことだが、アルカナは、エモーショナルなクルマというより、合理的な選択肢としてのほうが評価できる。自動車史に新たな1ページを刻むかと問われれば、それは難しいと言わざるをえない。むしろ、ごちゃ混ぜ感のほうがずっと強い。
担当テスターのアドバイス
イリヤ・バプラートアダプティブクルーズコントロールを切っていても、ドライバーズディスプレイには先行車との車間が、秒数で表示される。玉突き事故防止のためにも、車間を詰めすぎるドライバーへ、車間距離がいかに近いか教えてくれるこうした装備は歓迎したい。
マット・ソーンダースBMW X4風のスタイリングで目を引こうと相当努力したのは認めるが、個人的には普通のクルマに見える。実用性は低いが、ルックスだけならトヨタC−HRに1票を入れたい。
オプション追加のアドバイス
中間グレードのSエディションがおすすめ。ディスプレイは大きいほうになり、安全装備も充実する。下位グレードのアイコニックと違って、選べるオプションも多い。RSラインにスポーティなスタイリングで、他グレードのオプションアイテムのいくつかが標準装備される。
改善してほしいポイント
・インテリアをもっと明るい雰囲気に。おもしろみのあるダッシュボードと、もっとうれしくなるような素材遣いをしてくれたらなおよし。
・リアワイパーを付けてほしい。
・もっとパワフルなモーターを積めば、ドライバビリティが全般的に改善されるはずだ。
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