2024年の東京オートサロンで話題を集めたホンダ シビックRS。ついにそのプロトタイプに試乗できる時が来た。純ガソリンのVTECターボにMTを組み合わせつつ、普段使いにも困らないノーマル然とした外観を持つ。まさに我々が望んだスポーツモデルとなっている。
※本稿は2024年8月のものです
文:松田秀士/撮影:小林岳夫
初出:『ベストカー』2024年9月10日号
新型[シビックRS]の走りが期待超え!! 強気のMTモデルのみ!? 普通のシビックとは違うこだわりの全て
【画像ギャラリー】内装もこだわりの出来!! MT搭載でマジで乗りたいホンダ シビックRSを是非(20枚)
■サイスポでシビックRSを試す
ホンダ シビックRS。2024年の東京オートサロンで話題となったが、今回いよいよプロトタイプに試乗
シビック5ドアのガソリンモデルは、近年MT比率が高まっているのだという。特に20~30代の若者層でその傾向が顕著なのだそうだが、その期待に応えるべく登場したのが、シビックRSだ。試乗の舞台となったのは、伊豆のサイクルスポーツセンター。
走り始めてまず感じられるのがステアリングフィールのダイレクト感。転舵した瞬間にフロントタイヤの面圧が上がっていくプロセスをしっかり感じ取れる。
攻め込んでいっても限界領域がわかりやすい。さらにスムーズさが印象的だが、クイックステアにもしっかり対応するから剛性強化の効果は実感できる。
MTのシフトはストロークと重さがちょうどよく、クラッチペダルの重さとストロークもシフトにマッチした設定になっているのでシフトが楽しい。
レブマッチシステムはとても賢く、フライホイール軽量化によって回転落ちが速くなっているから、ヒール&トゥなどしなくてもスパッとダウンシフトが決まる。あえてヒール&トゥも試してみたが、ポルシェのように素早く決まる。
そのエンジンだが6500rpmでリミッターが作動。この高回転域のレスポンスもよく、中速域のトルク感もなかなかのもの。
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■MT車の楽しさが具現化したモデル
MTのシフトはストロークと重さがちょうどよく、シフトアップ&ダウンが楽しい
コースはあちこちに微妙なアンジュレーションや道路の繋ぎ目などがあり、鏡面のようなスムーズなサーフェースではない。そのため乗り心地を心配していたが、細かい突き上げなどいわゆるハーシュは想像していたほどではない。
たしかにスプリングレートやブッシュを固めたスポーティさは感じられるが、シートの減衰性がよく、それに加えてシートホールディングもよいので気にならない。とはいえ後席試乗はできなかったので、そこは未知数だ。
コーナリングでのロール感は少ないが、これはダンパーの伸び側の減衰力が強化されていて、ロールスピードが抑えられているから感じること。実際にはそれなりにロールしている。
このようなセッティングはレースでもよく行ったが、コーナーイン側のタイヤにより長い時間荷重を残すことでタイヤのグリップを最大限活用することが目的なのだ。ちなみにタイヤはグッドイヤーのイーグルF1が装着されていた。
インテリアでは赤のピンストライプとシートとステアリングに赤のステッチ。エクステリアでは各所にRS専用のブラック加飾が施され、前後にはRSの赤いエンブレムが眩しく光る。
MT車の楽しさをしっかりと具現したモデルとして、シビックRSは実に頼もしい存在といえそうだ。
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■見た目だけじゃわからない! シビックRSのこだわりポイント
ブッシュを液封からラバーに変更したことでダイレクト感がアップ
●ポイント1:ロール剛性が11%アップ。ブッシュは液封からラバーへ
足回りではダンパーとスタビライザーの剛性を高めてロール剛性を11%高めた。フロントロアアームのコンプライアンスブッシュを液封式からソリッドラバーに置き換えたことで、ダイレクト感アップに貢献している。車高は5mmダウン。
●ポイント2:フロントブレーキのローターを16インチ化
フロントブレーキのローター径を15インチから16インチに大径化した結果、熱容量が14%高められ、スポーツ走行時のキャパシティが高められた。結果的にローターを押さえるブレーキパッド側も面積と熱容量が17%アップしている。
●ポイント3:ドライブモードに「SPORT」「Individual」を設定
従来のMTモデルでは「ECON」と「NORMAL」だったドライブモードに、「SPORT」と「Individual」が追加された。後者を選ぶと、エンジンとステアリング特性、メーター表示モードを自分の好みに設定することができる。
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■まだまだこだわりポイントがあるのよ!
フライホイールの軽量化により、重量で23%、慣性モーメントで30%の削減に成功
●ポイント4:フライホイールをシングルマスの軽量タイプに
エンジンのフライホイールをシングルマスの軽量タイプに変更。重量で23%、慣性モーメントで30%の削減に成功した。これによりエンジンの吹け上がりや回転落ちのレスポンスが鋭くなり、より気持ちいいシフトワークが可能となった。
●ポイント5:誰でもシフトが決まるレブマッチ機能を搭載
タイプRが採用していたエンジン回転数のシンクロ制御をRSにも採用。高度なヒール&トゥを駆使しなくても、スムーズなシフトダウンが可能となった。フライホイールの軽量化と合わせて、スポーツドライビングに絶大な効果を生み出す。
●ポイント6:ステアリングのトーションバーレートを60%アップ
ステアリングコラムと下部のギア部分を結ぶステアリングギアボックスのトーションバーのレート(ねじれ係数)を60%高めた。これにより操舵のダイレクト感が増し、タイヤの接地感をよりリニアに感じ取ることが可能になった。
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■RSだけじゃない! シビックはマイナーチェンジでここが変わった!
フロントマスクは「おでこ」感があったボンネット前端がよりシャープで突進感のある造形に変更された
シビックの話題はRSだけじゃなく、ラインナップ全体がマイナーチェンジで新しくなった。
見た目ではフロントマスクの変更が大きい。バンパー開口部が広がって「おちょぼ口」風になり、代わりにフォグランプが廃止されている。
またMTをRSに一本化した代わりに、ハイブリッドモデルのe:HEVはグレードが2つに分岐した。ベースグレードが「LX」で、そのうえにパノラミックサンルーフを備えた「EX」がラインナップされる。より選ぶ楽しさが増えたといえそうだ。
●新型シビックRSはここがスゴイ!
・VTECの直4ガソリンターボを搭載
・トランスミッションはまさかの6MTのみ
・軽量フライホイールでMTの楽しさを追求
・足回りを専用チューン。操舵系の剛性も強化
・派手さを抑えたさりげないエクステリア
●ホンダ シビックRS予想スペック
・全長×全幅×全高:4560×1730×1225mm
・ホイールベース:2480mm
・車両重量:1330kg
・エンジン:直4VTEC 1.5L DOHCターボ
・最高出力/最大トルク:203ps/19.2kgm
・トランスミッション:6MT
・駆動方式:FF
・登場時期:2024年秋
・予想価格:398万円
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みんなのコメント
今回のRSが良い出来の車だと言うのは想像できますが、ホンダは受注停止のままになっているタイプRが今後どうなるかをはっきりさせてから発売した方が良かったのではないかと思う