現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > F1人気、回復への課題 AUTOCAR英スタッフの意見 タイヤの耐久性が鍵

ここから本文です

F1人気、回復への課題 AUTOCAR英スタッフの意見 タイヤの耐久性が鍵

掲載 更新
F1人気、回復への課題 AUTOCAR英スタッフの意見 タイヤの耐久性が鍵

ジェームズ・アットウッドの意見 AUTOCAR編集次長

最近のF1は先が読めすぎる。過去の132戦において、優勝したのはわずか3チームだ。メルセデスAMG(87勝)、レッドブル(27勝)そしてフェラーリ(18勝)だ。もともとF1は限られたチームに支配されていたが、予想もしなかった中堅チームが勝つこともあった。しかし今やマシンの信頼性が高くなりすぎており、高価な部品の使用を制限したらどうだろうか。

【画像】人気回復図るフォーミュラ1 全23枚

さらに不確実性を増やすのも有効だろう。現在、毎回のレースはパターン化しており、3日間で3回のプラクティスの後予選を行い、320kmまたは2時間のレースという構成だ。レースの長さのバリエーションを増やしたらどうだろう。例えば、高速コースのモンツァで行われるイタリアGPは1時間15分程度で終了している。さらに161kmほど追加したとしても2時間でおさまるだろう」

それにたとえばシンガポールGPを1時間のスプリントとしても、誰からも文句は出ないだろう。そしてバーレーンGPのプラクティスで、グランドスタンドに観客がいるのを見たことがあるだろうか。わたしはない。そこでこれを2日間にしてプラクティスと予選を土曜日に、本戦を日曜日にしたらどうか。もしくはダブルヘッダー型として、0.5ポイントのスプリントと、より長い本戦という形式も考えられる

(英国GPを含め)変える必要のないレースもある。しかし1年のうちいくつかのレースにバラエティを持たせることで、チームがコンフォートゾーンから抜け出さざるを得ないようにしたら、面白くなるのではないか。

マット・プライアーの意見 AUTOCARエディター・アット・ラージ

もともと自動車レースとはクルマの性能を示すためのものであり、ドライバーのスキルを競うものではなかった。しかしその両者は対等に考えられるようになり、追い越しやスリルがレースの醍醐味となったのだ。一部のシリーズではマシンの性能に制限を設けることにより、さらにレースが白熱するようにした。しかしF1は例外だ。

F1は最も速く、技術的にも進んだレースだ。このルールの元では、資金力のあるチームが圧倒的に有利なのだ。F1はコスト上の問題から過度なテクノロジーの使用を禁止したが、これではまだ追い越し合いを伴うようなバトルを増やすには不十分だ。

しかし、自由なデザインや技術革新などを制限しては本当のレースの楽しみが得られないのではないか。ドライバー同士の対決を見たいのであれば、技術的な制限を設けるべきだ。しかし地球上で最も速いレースを作るのなら、そんな制限は不要だろう。F1はどちらに舵を取るかを決める時がきている。

クリス・カルマー

F1が『おかしくなった』と感じる理由はなんだろうか。メルセデスの圧倒的速さなのか、衝撃の結果の少なさなのか、それともオーバーテイクの少なさなのか。

しかし、このような限られたチームによる支配的状況はモータースポーツの歴史上珍しくない。もちろん予算制限は良いアイディアだが、レースとはそもそもメーカーのマーケティング手段の1つであり、それがなければF1は成立しないのだ。

中堅チームの表彰台獲得の少なさは、マシンが複雑化する中での信頼性の高さが理由だ。そしてマシンが運転しやすくなったことから事故やスピンが減った。さらに1970年代と比べると空力の追求のため空気抵抗が増えている。

地面効果によるグリップを重視する方向にシフトするとともに、タイヤも超ハイグリップで寿命の短いものを避けたらどうか。これにより、ドライバーがタイヤ管理にとらわれることなく、レース全体を通してプッシュできるようになりそうだ。

ダミエン・スミスの意見 AUTOCARマネージング・エディター

F1については、みなさんさまざまな意見をお持ちだろう。しかし『直す』というと、F1が壊れているかのようだ。あいにくわたしはそうは思っていない。

レースは眠くなるほど退屈なこともあれば、非常に白熱することもある。ドライバーはしばしば小さなことで激昂したり、馬鹿げたことをしでかすこともある。しかし、彼らはわれわれが夢に見ることしかできないことをしているのだ。

いくつかのサーキットはひどいものだ。しかし、オースティンやシンガポール、それにバクなどの新しい場所はクールである。しかしF1はシルバーストン、スパ、モンツァなどをそのままにしている。F1幹部らはあぐらをかいているのだろう。一方それぞれのチームは常にチャンスをうかがい、パワーを追い求め続けている。監督やエンジニアらは0.1秒のためにどんなことでもやるのだ。

F1は手を加える必要があるのだろうか。F1はいつの時代も複雑でお金のかかるものだった。わたしはこれが好きなのだ。少し変なのかもしれないが。

マーク・ティショーの意見 AUTOCARエディター

平日夜の10時10分ごろ、10時のニュースのトピックス紹介が終わりブレクジットのシナリオ解説や政治家の質疑応答が始まると、わたしはチャンネルを回す。大抵チャンネル406のスカイF1を見るのだ。そのころはクラシックF1が放映されている。

ここ20年ほどのレースをランダムに放送しているのだが、とても面白くついつい夜更かししてしまう。ある日気づいたのは、昔のレースの方が雨が多かったのだ。

F1を改善するには、雨を増やしたら良いのではないか。中盤はドライで、最後に雨が降ったら面白くなりそうだ。最近では2019年のドイツGPがそれに該当する。すべてのレースを湖水地方で開催するというのは現実的ではない。しかし雨の後のタイヤ選択が勝負を面白くするのだ。

一般的にいって、F1は部外者が口出しをする余地がなく、内向的すぎるのである。タイヤ1つとっても、議論がなかなか進まないではないか。まずはタイヤのメカニカルグリップを減らしてでも耐久性を高めるべきではないか。ドライバーがタイヤの消耗を気にしすぎることなく長時間プッシュできるようになれば、レースがさらに白熱するだろう。

アンドリュー・フランケルの意見 AUTOCARシニア編集者

F1は誰のためにあるのだろうか。チームでもドライバーでもサーキットのオーナーでも、利権者にためでもない。チケットを買って見にくるファンのためにあるのだ。F1がそれを無視すれば、その結果は明白だ。

コストを削減するとともにダウンフォースを減らし、メカニカルグリップを高めれば、マシンは運転が難しくなり、ミスも増えるだろう。ハイブリッドやターボをやめ、もしそれで撤退するメーカーがあれば、それでも良いではないか。もう一度ドライバー志向のスポーツにしようではないか。ヒーローはマシンではなくドライバーなのだ。

この考えは以前から何も変わらないどころか、多くの人が求めてきたことだ。F1はこれを耳にしているにも関わらず、取り入れて来なかったのだ。F1が技術の展示会であるべきと考える人などいないはずである。われわれはピットではなくコース上で繰り広げられるレースを求めているのである。

F1はその将来を決める時期に差し掛かっている。何年もかけて考えている場合ではないのだ。進むべき道は既に見えており、究極的に言えば必要なのはそれを選択する意思だけなのである。

ジム・ホルダーの意見 AUTOCAR論説員

F1はそのマシンを速くすることよりも、走らせるのを難しくすることに注力すべきだ。もちろん、両者が伴えばなお良いのだが。

これはただ単にタイヤを硬くし、パワーユニットを扱いにくくすれば良いだけだ。結果として、雨が降らずともウェットのようなレースが展開されるだろう。ヒーロードライバーはグリップの限界に苦戦し、スリップやパワースライドを繰り返すだろう。

そして本当に雨が降ったらどうだろうか。素晴らしいタイヤは存在するが、依然としてパワーは過剰だ。その勝負は常に右足にかかっているべきなのだ。過剰なグリップをもたらす技術や、巨大なウイングによって勝敗が左右されてはならないのである。

とは言えこれはレースであり、運動会のかけっこではない。各メーカーは見た目やサウンドで訴えかけることにより、さらに多くのファンを獲得することを目指すべきだ。その観点では、燃料供給の制限など、意味のわからないレギュレーションは不要である。

こんな記事も読まれています

レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
カー・アンド・ドライバー
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
くるまのニュース
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
くるまのニュース
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
くるまのニュース
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
Merkmal
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
ベストカーWeb
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
AUTOSPORT web
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
AUTOSPORT web
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村