秋も深まるなか、今年も恒例のナゴヤクラシックカーミーティングに行ってきました。
比較的有名どころのイベントというとどうしても改造車に厳しかったり、近寄りがたいというイメージを持たれがちな事も多々あります。そんな中、ナゴヤクラシックカーミーティングはわりとカジュアルに参加出来て、なんといってもクルマに興味のない人でも飽きさせないというイベントではパイオニア的な存在でもある事が魅力でしょう。
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まずは恒例の駐車場のチェックから
まず、筆者の目を引いたのは1956年型フォードフェアレーン、どうしても古いアメリカ車というと日本ではホットロッドやローライダー等のカスタムカー趣味の対象となる事が多く、フルオリジナルにレストアされたクラシックカー趣味の対象にする愛好者はいまいち少数派なのが寂しいです。
1950年代のテールフィンのアメリカ車といえば、戦後の復興期の日本人には羨望の対象だったと聞くのですが…。
個人的にはGMにブランド復活を願いたい「ポンティアック」のファイアバード・トランザム、先日カーアクション映画「トランザム7000」で主演を務めた「バート・レイノルズ」の訃報もまだ記憶に新しい方も少なくないのではないでしょうか。
アメリカ車の日本市場での販売不振の打開策にも、ぜひポンティアックの復活を願います。
ナゴヤクラシックカーミーティング2018
最近はクラシックカーのイベントでも1980年代のクルマを見かける事も多くなりました。
樹脂バンパー・サイドモールに異形ヘッドライト、一体成型のコンビネーションランプなど、周囲のクルマと比べてもこのくらいの時期を境に一気にモダンになった事が感じられるのではないでしょうか。オーナーの方はフルオリジナルのまま38年完所有しているそうで、今後もこのコンディションのまま乗り続けて欲しいものです。
いわゆるGノーズ。流麗なデザインのイメージが強いS30型フェアレディZですが、じつは数値上のcd値では現代のワンボックス車程度で、横風には弱いという欠点があり、その対策としてノーズコーン付きのZGが追加されたと言われています。2.4Lという国産車としては大排気量の高トルクエンジンを搭載し、その高速性能が買われ神奈川県警の高速機動隊のパトカーに採用されたというのは有名な話でしょう。
マフラーはステンで新造されていますが、このマフラーカッター部分が縦に並んでいる通称「縦デュアル」は当時実際に設定されていたオプション部品で、S30型Zのオーナーの間では現在でも人気の部品です。
しかし、前回の記事でも触れましたがこの当時、3ナンバー登録の普通乗用車の税金は非常に高額でした。そのため当時の中古車市場では2.4Lモデルの人気は低く、かえって現存率の低下につながったともいわれ、後付けのZノーズではないオリジナルの240ZGは今となっては希少モデルとなっています。
1970年代半ばに入ると当時深刻化していた交通事故や大気汚染から、衝突安全基準や排ガス規制が厳格化され、北米では衝撃吸収タイプの通称「5マイルバンパー」の装着が義務化となり、重量増加と排ガス浄化装置によるパワーダウンを補うため、排気量をアップし280Zとなります。
国内仕様のS31型は初期のS30型との外見上の変更点はさほど目立ちませんが、北米仕様の280Zを見るとこの時点でS130型の基本デザインはこの時点で出来上がっていたようにも思えます。
近年の日本ではSUVにとってかわられてしまっているようにも思えるステーションワゴンですが、国産ステーションワゴンの歴史は意外に古く、すでにH30型セドリックにはステーションワゴンモデルが設定されていました。
日本では外見が商用モデルのライトバンに似ていることから、1990年代のRVブームまで長らくステーションワゴンは市場での支持を得ることは無かったのですが、白ルーフのツートンカラーにホワイトリボンタイヤの組み合わせは、今となってはなんとも魅力的に写ります。
その界隈の方にはたまらないであろう「高速有鉛」のステッカー。日本では1960年代から深刻化した大気汚染から、当時オクタン価調整に使われていた鉛成分による鉛害が指摘され1970年代からガソリンの無鉛化対策が始まります。まずはレギュラーガソリンの無鉛化から始まったのですが、当時のバルブシートはガソリンに含まれる鉛成分で保護される事を想定して設計されていたので、無鉛化対策前のバルブシートを保護するため、シリンダーヘッドに負荷のかかる高速走行や山岳路では、レギュラー仕様の車両でも無鉛化されていないハイオクガソリンを使用するように推奨していました。しかし、実際には無鉛化対策前のバルブシートで無鉛ガソリンを使用しても問題になるほど異常摩耗が進むということは無かったようです。
希少な三河5ナンバーもさることながら、アイシン精機とボルグワーナーの合弁企業「アイシンワーナー(現在のアイシンAW)」製2速AT「トヨグライド」を搭載したモデルです。クラウンのイージードライブ装備はこの時代からの伝統とも言えるでしょう。
この立体造形のフロントグリルはオーナーの話によるとダイキャスト製とのこと、こういった部品一つ一つの贅沢な作りこみの良さもまたクラシックカーの魅力です。ちなみに、クラシックカーと言えども「ノークラッチ、ノーチェンジ」のクラウン、さぞかしイージードライブでクラシックカーを堪能できるかと思ったら、2速ATでは変速ショックが酷すぎて全然快適ではないとのことでした。
空冷VWといえばどうしてもキャルルックや6Vルックと呼ばれるヴィンテージモデルばかりが注目されがちですが、個人的には鉄道線路バンパー、ビッグテールと呼ばれるモデル末期のフルノーマルのVWが一番馴染みのあるモデルです。右ハンドルなのでヤナセの正規輸入モデルでしょうか。
1960年代VW社はビートルに代わる新型モデルを模索しますが、なかなかビートルに代わるモデルを送り出すことが出来ず、基本設計が1930年代のビートルが次第に旧態化する中、初代ゴルフの登場まで代替モデルを送り出すことが出来ないでいた1970年代はVW社にとっては苦能の時代だったとも言われています。
スバル360が好きな筆者の目を引いた一台、現存するスバル360の大半は丸型ミラーなのですが、こちらのスバル360は角型ミラーにもしやと思い後ろに回るとエンジンフードが横スリットの混合給油モデルでした。
このテールランプ(厳密には上の2つのランプはストップランプ兼ウィンカー、テールランプとして機能するのはナンバー灯に付けられた赤レンズ)は、形状から「石鹸箱」「ウルトラマン」と呼ばれています。
エンジンフードには「OverTop」のバッジがありますが、この年式のオーバートップはオプション装備の副変速機付き3段×2段の6速ミッションとなります。
こちらのスバル360は「アイシンコムクルーズ」という、アイシン精機系企業の有志が集まってレストアしたスバル360、アイシンでもこういった形で技術継承のに取り組んでいるようです。
アイシンと言ってもコムクルーズは制御ソフト関連の会社のため、2ストロークエンジンのOHや鈑金作業は「素人作業」とのこと、年式もバラバラの部品が付いているようで苦労の跡がそこかしこに見えました。
とはいえ、アイシンもまたこういった事に取り組んでいるというのは色々余計な期待をしてしまうというもの。思わず筆者も「トヨタ博物館の布垣館長は、昔のクルマの部品は自動車メーカーではなくサプライヤーが独自に供給する形になればよいという旨の事を言っていたので、アイシンが昔のクルマのトランスミッションのリプロ部品を作って直接ユーザーや整備工場に販売すれば、部品サプライヤーではなく元請け企業になれますよ」と言っておきました。
本当は、筆者も自分のクルマで参加したかったのですが、スバル360はようやく塗装に入った所(何分、場所の問題で苦労しています)。セリカLBは長期修理中とあって参加は叶わず、いいとこ来年のニューイヤーミーティングに間に合えば…といった感じでしょうか。主催のクラシックカーナゴヤの樋口さんには部品でなにかとお世話になっているので、来年こそは自分のクルマでエントリーしたいものです。
[ライター・カメラ/鈴木 修一郎]
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