現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > ジョーカー投入。4輪駆動勢と戦うためにBBSがタイプR用に新サイズをラインアップ/富士24時間

ここから本文です

ジョーカー投入。4輪駆動勢と戦うためにBBSがタイプR用に新サイズをラインアップ/富士24時間

掲載 6
ジョーカー投入。4輪駆動勢と戦うためにBBSがタイプR用に新サイズをラインアップ/富士24時間

 ハイパワーFF車にとって駆動にも操舵にも妥協は許されない。結果、導き出された答えはホイール幅のサイズアップ。市販が前提となるためその改良は簡単なものではなかったが
“12.7mm増”は、想定どおりのメリットをチーム&ドライバーにもたらした。

* * * * * *

ホンダ・レーシングのシビック・タイプR CNF-Rが2024年もS耐に参戦。毎戦ごとに異なるドライバーを起用へ

「自動車」を形作る各要素は複雑に関連しあう。路面からの入力ひとつとっても、タイヤからホイール、ホイールからハブやアップライト、そしてサスペンションを経由して車体に伝わる。
 
 さらに細かく言えば、タイヤ内のエア、ハブに用いられるベアリング、サスペンション内のオイルなども媒介していて、おそらくすべての関連性を数字として正確に紐解くことは不可能だろう。

 そしてレースでは、その各要素を極限の状態で使いつつ、バランスさせて運用することが求められる。

 昨年、スーパー耐久のST‐2クラスで、最終戦に大逆転の末チャンピオンを獲得したホンダR&Dチャレンジだが、ライバルの躍進により2024年に向けては危機感を強く持っていた。
 
 ハイパワーFFで4輪駆動勢にも対峙しなければならないため、タイヤをさらに適切に使うことが必要とされたのだ。

 第2戦富士24時間からはタイヤがブリヂストンに変更になったこともあり、チームは車両のセッティングに加え、バランス向上のため使用するホイール「RI‐A」の仕様変更をBBSに相談をする。年末に打診し、今年3月31日にSUGOで行なわれたテストに試作品が届いた。

■違いをもたらす半Jアップ

「コーナーへのターンインから、旋回中のリヤの踏ん張りまで、すぐに違いが分かりました。旋回速度も上がりましたね。タイヤの剛性感にも影響して、これまでと異なり路面に引っかかってグリップが増すようなイメージです」と語るのは、同チームのCドライバー木立純一だ。

 Aドライバーの石垣博基も同様の意見を述べる。「ブリヂストンのタイヤに対してこれまではリム幅が少々狭すぎました。新型シビックを投入するにあたって、ホイールのリム幅についてはそこまで攻めきれなかったんです」

「テストではこれまでのホイールの延長線上でリム幅を拡大したものと、幅のアップに加え剛性も高めたものを試し、結果的には後者を選択しています。ダイレクト感が増し、タイヤの状況がつかみやすくなりました」

 ホイールはリム幅をST‐2クラスの規定上限となる10Jに変更。それまでの9.5Jと比べると12.7mm増となったが、これが操縦性にもタイヤの保ちにもポジティブな効果をもたらすことがテストで確認できた。

 実はリム幅の決定には、レースだけを意識したものとできない理由があった。スーパー耐久で使用されるRI‐Aそのものが市販化もされるため、攻めたサイズ設定とすることが難しかったのだ。

 しかし、レースでの使用でボディやサスペンションとの干渉など、まったく問題ないことが確認されたためリム幅のサイズアップに踏み込んだ。

 BBSジャパン開発本部の村上貴志氏はこう語る。

「軽さを追求して20年、30年とやってきましたが、今は『剛性』と、ホイールの粘り強さを示す『靭性』の二面の強さをどう持たせるかが重要になっています。そして、ホイールが車体のバランスを崩してもいけません」

「近年はその取り組みが特に重要となっていますが、現代のクルマは電子制御なども含めて複雑に成り立っていますので、そこが我々開発陣にとっては難しくあり、面白くもあるところです」

 ホイールの開発において、データやタイヤの状況を見て、ひとつの答えを導き出すことは可能だというが、レーシングカーは常々進化を続ける。チームやドライバーとの密なディスカッションは欠かせない。

「いかに勝負している方たちのフォローをできるか。サスペンションなどと異なり、レース現場でどうこうできるパーツではないですからね。チーム側と常々キャッチボールさせていただけている状況はありがたいです」

* * * * * *

■参戦初年度から使用するHonda R&DのBBSへの信頼度

Honda R&D Challengeでは、先代のFK8シビックでの参戦時からBBSを使用。「タイヤの重要性はもちろんですが、その次に大事なパーツがホイールだと思っています。タイプRは300馬力を超えるFFというある意味特殊な車両なので、いまだに我々も勉強していますし、性能向上について何かやれることがないかと考えたときに、相談して生まれたのが今回のホイールです」と木立。BBSとは共闘というかたちで課題解決に取り組む。



BBS Japan https://bbs-japan.co.jp

2024年6月29日発売 autosport No.1598より転載

関連タグ

こんな記事も読まれています

ホンダ、電動二輪車2機種をインドで発表…交換式バッテリーの『ACTIVA e:』とモペッドタイプの『QC1』
ホンダ、電動二輪車2機種をインドで発表…交換式バッテリーの『ACTIVA e:』とモペッドタイプの『QC1』
レスポンス
180万円! トヨタが「“新”ライズ」発売! 全長4m以下の小型ボディに迫力顔がスゴい! 「最小SUV」6年目の進化とは?
180万円! トヨタが「“新”ライズ」発売! 全長4m以下の小型ボディに迫力顔がスゴい! 「最小SUV」6年目の進化とは?
くるまのニュース
全長4.1mで600馬力! 日産「超“コンパクト”GT-R」がスゴい! 「V6ツインターボ」×4WDでまさかの“市販化”実現! 4ドアボディの「スーパースポーツSUV」どんなモデル?
全長4.1mで600馬力! 日産「超“コンパクト”GT-R」がスゴい! 「V6ツインターボ」×4WDでまさかの“市販化”実現! 4ドアボディの「スーパースポーツSUV」どんなモデル?
くるまのニュース
進化したアドベンチャースポーツ BMW Motorrad「F900XR」新型モデル発表
進化したアドベンチャースポーツ BMW Motorrad「F900XR」新型モデル発表
バイクのニュース
DIYスキルやカスタムセンスが光りまくり! 「オーテック里帰りミーティング2024」に参加したオーナーカーが個性的すぎた
DIYスキルやカスタムセンスが光りまくり! 「オーテック里帰りミーティング2024」に参加したオーナーカーが個性的すぎた
WEB CARTOP
トヨタ、SUV「RAV4」を一部改良 全グレードを4WDに 装備充実で価格は上昇
トヨタ、SUV「RAV4」を一部改良 全グレードを4WDに 装備充実で価格は上昇
日刊自動車新聞
首都高羽田線「大改造計画」いよいよ本格化へ!? 羽田トンネル「上下線分離」で渋滞緩和!? 「謎の高架橋」復活で「5車線化」のスゴさとは
首都高羽田線「大改造計画」いよいよ本格化へ!? 羽田トンネル「上下線分離」で渋滞緩和!? 「謎の高架橋」復活で「5車線化」のスゴさとは
くるまのニュース
フェラーリ、スキッドブロックの変更で予算にダメージ「技術指令が来たのが直前だったから……」
フェラーリ、スキッドブロックの変更で予算にダメージ「技術指令が来たのが直前だったから……」
motorsport.com 日本版
朝ドラで注目の【平成文化】バブル崩壊後におきた「RVブーム」で 1994年に登場した“記憶に残る日本車”3選
朝ドラで注目の【平成文化】バブル崩壊後におきた「RVブーム」で 1994年に登場した“記憶に残る日本車”3選
VAGUE
タクシーが儲かるかどうかは「アプリ加盟」が鍵! 年収900万円もあり得るイマドキのタクシードライバー事情
タクシーが儲かるかどうかは「アプリ加盟」が鍵! 年収900万円もあり得るイマドキのタクシードライバー事情
WEB CARTOP
“アルファードミニ!?” スズキ「新型ワゴン」1月発売? デザイン大幅刷新! 「ソリオ」何が変わる? 既に先行パンフ配布! ユーザーの声は
“アルファードミニ!?” スズキ「新型ワゴン」1月発売? デザイン大幅刷新! 「ソリオ」何が変わる? 既に先行パンフ配布! ユーザーの声は
くるまのニュース
インドならではの色彩美!? ロイヤルエンフィールド新型モデル「GoanClassic350」発表
インドならではの色彩美!? ロイヤルエンフィールド新型モデル「GoanClassic350」発表
バイクのニュース
純正から卒業! オリジナル感を極めるホイール交換完全ガイド~Weeklyメンテナンス~
純正から卒業! オリジナル感を極めるホイール交換完全ガイド~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
【後方視認性を確保する】データシステムからデジタルルームミラー「DRM6030」が発売
【後方視認性を確保する】データシステムからデジタルルームミラー「DRM6030」が発売
driver@web
ポルシェ 911 カレラT【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
ポルシェ 911 カレラT【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
10月SUVマーケットはトヨタ・ライズが2カ月連続首位、ヤリスクロスが2位に浮上!(24年10月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
10月SUVマーケットはトヨタ・ライズが2カ月連続首位、ヤリスクロスが2位に浮上!(24年10月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
カー・アンド・ドライバー
ホンダ新型「コンパクト“セダン”」発表! 顔面刷新で“超カッコイイ”「シティ」! 全長4.5m級のちょうどイイサイズ感な「新モデル」伯国に登場
ホンダ新型「コンパクト“セダン”」発表! 顔面刷新で“超カッコイイ”「シティ」! 全長4.5m級のちょうどイイサイズ感な「新モデル」伯国に登場
くるまのニュース
トヨタ「“9人乗り”ミニバン」がスゴイ! スライドドア&「カクカク」広々ボディでめちゃ便利! “2階建て”「車中泊」仕様もある「プロエース」とは
トヨタ「“9人乗り”ミニバン」がスゴイ! スライドドア&「カクカク」広々ボディでめちゃ便利! “2階建て”「車中泊」仕様もある「プロエース」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

6件
  • エガちゃんねらー
    885
  • hab********
    闘う相手は、四駆とはいえ1.6のGRヤリスと、もう伸び代が見込めないエボX。
    これでもう対等以上かもね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村