女性ドライバー限定のフォーミュラレース「Wシリーズ」が経営破綻に陥った。
Wシリーズはドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)のサポートレースとして2019年に初シーズンを開催。2020年シーズンはCOVID-19の世界的蔓延によって開催が見送られたが、2021年はF1のサポートレースとしてシリーズが運営された。
■特集|なぜ女性F1ドライバーがいないのか? クルサードの新育成機関が目指す未来とは
しかし2022年シーズンは資金調達の問題で早期終了を余儀なくされ、9月のシンガポール戦でジェイミー・チャドウィックの3連覇が決定した。
Wシリーズは2023年の復活を目指し、4シーズン目の開催を「極めて確信している」としていた。しかし、Wシリーズは経営破綻。6月14日(水)には、エブリン・パートナーズLLPのケビン・レイとヘンリー・シナーズのふたりが破産管財人に任命された。
管財人は「Wシリーズが将来的に再開できるよう、あらゆる選択肢を検討する」としているものの、この事業にはスタッフが1名しか残っていない状況で、その人物も含め全スタッフが解雇されることになるという。
破産管財人のひとりであるレイ氏は、次のように語っている。
「このニュースは、スタッフやドライバー、そしてチャンピオンシップの支持者を動揺させるモノだ」
「この会社は資金繰りの関係で、2023年シーズンを約束することができなかった」
「取締役は事業売却の可能性を含め、追加資金を獲得するために様々な関係者と話し合いを行なっていた」
「しかし残念ながら、これらの協議が進展することはなかった」
またシナーズ氏は、次のように語る。
「破産管財人は、将来的にWシリーズが再開できるように、あらゆる選択肢を検討する」
「我々は会社の事業と資産に対する興味を示してくれる人を探している。関心がある方は、できるだけ早く連絡をお願いしたい」
「我々が任命される前にスタッフは余剰人員に、あるいは事業を去るなどしており、残念ながら残りのスタッフも解雇する必要があった」
「破産管財人は、会社の財務状況を考慮し、管理下に置かれることで影響を受けるスタッフに対して、解雇手当の請求を行ない、それを進めるためのサポートを行なう予定だ」
Wシリーズは実質的に、今年発足した若手女性ドライバー限定のF1直轄F4レース「F1アカデミー」に取って代わられる。
F1はWシリーズの経営破綻に際して声明を発表し、次のように述べた。
「Wシリーズにこのようなことが起こったのは残念であり、女性ドライバーの認知度を高め、機会を増やすための献身は称賛されるべきだ」
「我々は、才能のある女性が適切なサポートやトレーニング、投資を受け、より上のフォーミュラへ昇格するための真のパイプラインとなるよう設計されたF1アカデミーに引き続き注力する」
「F1アカデミーは女性ドライバーに、F1直下カテゴリーに参戦して平等な条件で戦い、昇格していく機会を与えるだろう」
そしてWシリーズの諮問委員会の委員長を務めた元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、この知らせを「非常に残念だ」と語りながらも、シリーズは「変革を加速させることに成功した」と成果を讃えた。
クルサード自身も女性ドライバー支援を行なう非営利団体「More Than Equal」を運営しており、引き続き女性F1ドライバーの誕生に向けて尽力するとしている。
「コンセプトから実現までの道のりに携わった全ての人が、最近のニュースにかなり失望しているのは明らかだ」
「才能ある女性ドライバーの多くが抱える費用という障壁を取り除き、資金を持ち込む必要のない“才能に見合った”チャンピオンシップを創設するために、多大な尽力が行なわれた」
「投資や多くのサプライヤーには負担もあったが、今日戦う女性ドライバーの多くは、Wシリーズでのドライブやメディア露出を通じて、名が知られるようになった」
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みんなのコメント
それでシート取れないレベルのドライバー集めてレースしてるんだから客もスポンサーも確保大変なのは自明の理では?
この手の流れがエスカレートすると、そのうちF1シートの半分は女性を採用しろとか言い出しそう…