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AMG S63カブリオレ、2017年型も前進 S65/S560と近接も存在感発揮 試乗

掲載 更新
AMG S63カブリオレ、2017年型も前進 S65/S560と近接も存在感発揮 試乗

もくじ

どんなクルマ?
ー S63マイチェン 外観より技術面に注力
ー 外観の識別点 クーペとの価格差

メルセデス-AMG EV時代をどう生き抜くか 開発責任者の声

どんな感じ?
ー コーナリング時、車重の影響は感じず
ー 快適、洗練、先進性も特筆すべき

「買い」か?
ー DB11/コンチネンタルGTの誘惑

スペック
ー メルセデス-AMG S63カブリオレのスペック

どんなクルマ?

S63マイチェン 外観より技術面に注力

2014年に導入され、今回小変更を受けた、このメルセデス-AMG S63カブリオレに施された変更箇所をみつけるのは至難の業であろう。

開発責任者のダーク・フィッツァの説明によれば、このクルマのスタイリングは幅広く受け入れられているため、今回のフェイスリフトを行うに当たって、AMGは技術面の刷新に注力すべきと判断した結果だという。

よって、目にみえない多くの箇所に変更が施された。5.5ℓエンジンに代わって搭載されるのは4.0ℓV8ツイン・ターボ・エンジンであり、変速機は湿式クラッチの新型9速オートマティックを採用、Sクラス・サルーンに導入された数々の愛玩性の高いテクノロジーの受け皿にもなっている。

外観にも幾ばくかの変更がある。

外観の識別点 クーペとの価格差

エクステリアの変更は、新しく導入されたAMGパナメリカーナ・グリル、ウイング付きのフロント・エプロン、新しいデザインのサイド・スカートに、OLED(オーガニックLED)テールライトである。

S63のパナメリカーナ・グリルの採用は、S560と最高位モデルのS65のカブリオレとの差別化を図るためである。

販売価格は未だ発表されていないが、クーペの同等のモデルが12万7515ポンド(1912万円)からスタートすることと、間もなく生産が終わるS63カブリオレが13万5675ポンド(2035万円)することから、このモデルが英国に入ってくる際、14万1000ポンド(2115万円)程度となることが予想される。

メルセデスよりも上位のクラスに属する、アストン マーティンDB11やベントレー・コンチネンタルGT等のライバルを視野に入れると、このクルマはより多くの主張をしなければならないだろう。

アメリカでの試乗車はS63のみに設定されるオプションの4MATICと呼ばれる4輪駆動車であったが、イギリスでは、後輪駆動車のみの導入となる。

どんな感じ?

コーナリング時、車重の影響は感じず

モデル末期のS63カブリオレは好感されているが、AMGはこのアップグレード・モデルにおいて望まれる箇所を改良し、同時により幅広い層へのアピールを目指している。

ライバルと目されるDB11に乗り込むとキャビンはややタイトで、圧倒的にスポーツカーの様相である。しかし、S63のハンドルを握ると、そこには難しいことを考えずに済む空間があり、言ってみれば究極的なグランド・ツアラーを具現化しているのである。

必要なグリップと柔軟な操作性がそこにあることを感じられるし、コーナーへ飛び込んでも沈着冷静でいられるのである。

DB11の重量は1760kgあるのに対して(後に追加されるボランテは若干重くなるが)、このクルマの重量は2185kgである。その重量にも関わらずコーナーリングへの影響はないと言い切れる。

アクセルを踏み込んだ時、その驚異的な加速をアピールするクルマでもある。620ps(対旧モデル比、26psの向上)と91.8kg-mのトルク、四輪駆動、E63で導入された新開発の9速オートマティック変速機を動員して、0-100km/hをたった3.3秒で駆け抜ける。

つまりこのクルマは、DB11よりも0.5秒速く、先代モデルよりも0.7秒速く、そして新型のS65カブリオレよりも0.7秒速いのである。

メルセデスによると、この違いは主にS63の4輪駆動システムによってもたらされたという。ちなみにS65は、後輪駆動である。イギリスには後輪駆動のS63カブリオレのみが導入されるが、このモデルの0-100km/h加速は、4.2秒である。

快適、洗練、先進性も特筆すべき

特筆すべきは、このクルマの快適性や洗練度である。このような加速やハンドリングのパフォーマンスを売りにする、しかもオープントップ・モデルのクルマでありながら、このクルマのそれらは素晴らしい完成度を実現している。

メーカーによると、3つの主要モードのなかでコンフォート・モードが、このクルマのドライバーに最も多用されるドライビング・モードであるという。そして、このモードはS63をAMGでない標準モデルの様に振る舞わせる。しかもすこぶる上等に。

コンフォート・モードで最も大きな不満は、そのステアリングの応答性がスーパー・シャープでないというものである。しかし、それは他のふたつのモードであるスポーツとスポーツ+と比較したもの。

これらのドライビング・モードは、シフト・マッピング、ステアリングの重さ、ダンパー、そしてエンジンのレスポンス等の度合いを、モード毎の味付けに応じて変更している。スポーツ+を選択した時に、このS63は、DB11の真のライバルに豹変する。

インテリアでは、新しいワイドスクリーン・コックピットが導入され、ナビやクルーズ・コントロールも当然ながら装備する。そして、是非追加したいオプションが、1600ポンド(24万円)のドライバー・アシスタンス・パックである。これは、Sクラス・サルーンに搭載される、とても賢い準自動運転技術の結晶である。

法が許せば、30秒までステアリングから手を離すことができるアクティブ・ディスタンス・コントロールとアクティブ・ステアリング・アシストの組み合わせをテストしてみた。これはスピードの変化に対応するだけではなく、カーブにも対応する。

ドイツ勢がテスラに対して重い腰を上げたところだということを考慮すると、これは感心すべきデキである。

「買い」か?

DB11/コンチネンタルGTの誘惑

ここでの最大のジレンマはブランドの選好であろう。多くのひとにとって、メルセデスよりもベントレーやアストン マーティンのほうがプレステージ性を感じるであろう。前者は比べものならないほど、多くを売るが。

驚異的に良くできたクルマであり、快適性とパフォーマンスを絶妙に両立しているという意味では、ライバルは存在しない。

ただし、Sクラス・カブリオレを好感する向きには、11万6000ポンド(1740万円)のS560も考慮すべきであろう。S63ほどのシャープさは期待できないが、ドライバーの多くを失望させることはないであろう、費用を考えれば特に。

メルセデス-AMG S63カブリオレのスペック

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