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BMW新世代セダン選びでお悩みのあなたへ「3シリーズ3車3様のハイパフォーマンスを検証してみた」

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BMW新世代セダン選びでお悩みのあなたへ「3シリーズ3車3様のハイパフォーマンスを検証してみた」

Dセグメントのベンチマークとして、セダン&ステーションワゴンのマーケットで圧倒的な完成度を誇り君臨し続けているBMWの3シリーズモデル。その特徴ある最新ガソリンエンジンモデル3台を改めて試乗した。M340i xDrive x 330e Mスポーツ xDrive x M3コンペティション M、3台それぞれの真骨頂とは?(Motor Magazine 2023年4月号より)

BMWのルーツをあえて振り返ってみる
車体以外に使うエンブレムも一新されたことだし、ここでいま一度、BMW史を軽くひも解いておきたい。創業時のBMWといえば、ファンならずとも耳タコで「バイエルンのエンジン製造会社」だった。しかしながら、そのルーツはなかなかに複雑だ。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

グスタフ・オットーの航空機製造会社は1910年に創業したものの年に倒産しBFW(バイエルン航空機製造)として再出発していた。同じくエンジン製造会社として年に「ご近所」で興ったRAPPはというと、17年にBMWという名に実は改称していた。ちなみにRAPPがBMWになったとき、現在のエンブレムの元祖が生まれている。

第一次世界大戦の結果、航空機製造を禁じられると、後者はベルリンのブレーキ会社、クノール・プレムゼに吸収されて、一時的にBMWの名は表舞台から消えた。22年、BFWとクノール・プレムゼ両社の主要な株主だったカミッロ・カスティリオーニがBMWの名称を購入すると、BFWの方を現本社地ミュンヘンはミルバーツホーフェンへと移転、BMWという名で再スタートさせて二輪車(23年)の、さらにはディキシーを買収して四輪車(28年)の製造へと乗り出した。

いずれにしても、エンジンと乗り物の製造をメインビジネスとする会社として誕生したことは間違いないので、通常はそこまで細かく歴史を振り返ったりはしない。

それにもうひとつ。混乱に満ちた黎明期を振り返っただけでは、BMWの現在地へと至る直接的なルーツを辿ったことにはまったくならないから、という理由もある。いまあるBMWと第二次世界大戦前後のBMWとの間には、法人としての継続性こそあったものの大きな溝が横たわっている。

現代のBMWにつながる転換点がノイエクラッセ
戦後のBMWラインナップといえば、今のビジネスに例えるなら7&8シリーズとMINIだけといった極端さ。自動車販売がこれから伸びようとする正にその瞬間に、売れ筋となるモデルがなかった。経営は一気に傾き倒産寸前、ライバルによる買収かとなった時に、それを救ったのが現オーナーのクヴァント家だ。

そして大いなるテコ入れで誕生したのが、32年のノイエクラッセ(=ニュークラス、後の5シリーズ)であり、66年の02シリーズ(後の3シリーズ)だった。ここにキドニーグリルとホフマイスターキンクの両方をもつサルーンが誕生したというわけで、現代のBMWビジネスは事実上、キドニーグリル以外は60年前から始まったと言える(キドニーグリルの重要性も、強調してし過ぎることはない)。

なかでも3シリーズは、BMWのビジネスの主力であり続けてきた。日本マーケットのこの年間において、もっとも売れたセダン&ワゴンのひとつであったことは間違いない。3シリーズは、ブランドにとっても日本のファンにとっても最重要なモデルである。

3シリーズとしては7世代目となる現行型=G20シリーズのワールドプレミアは2018年秋、パリサロンだった。翌年から生産が始まって、当然のようにベストセラーカーの仲間入りを果たす。「当然のように」ということは、極端な失敗作がこれまでなかったことを表す。逆に言うと、作り手にとって3シリーズほどモデルチェンジの難しいモデルはない。

その後、20年にプラグインハイブリッドグレードの強化などわりと大掛かりな改良が行われた。

内外装の変更で印象をリフレッシュした最新型
なにしろ直前まで好調に売れていたからだろう、22年のビッグマイナーチェンジでは主に内外装のデザイン変更と装備のアップグレードがメインとなった。それが証拠に、パワートレーンのラインナップそのものは変わっていない。

エクステリアの変更点はフロントマスクに顕著だ。バンパーグリルまわりの立体感が強く表現され、押し出しが増した。LEDヘッドライトもより薄くシャープに。前期型と見比べたなら幅広になった印象さえ抱く。リアのコンビネーションランプもワイド感をより強調するデザインとなり、バンパーまわりも車体を低く見せる造形へと変更された。

デザイン面でより注目すべきはインテリアである。新型7シリーズと同じBMW最新のデザイン言語が導入された。見るべきポイントはふたつある。まずはダッシュボードの巨大なカーブドディスプレイだ。12.3インチのメーターディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイを一体に組んで湾曲させ、BMWの伝統というべき「ドライバーオリエンテッド」なダッシュボードデザインをモダンに再構築する。

もうひとつが、Mモデル以外は長らく使われてきたシフトセレクターを小さなレバースイッチに変更、指先で操作できるようになったことだ。積極的にギアチェンジしたい向きのため、全グレードにパドルシフトを装備した。

このG20(ワゴンはG21)を代表するグレードといえば、多くの人が4WDの320d xDriveかM340i xDrivex、もしくはFRでOHEVの330eをピックアップするだろう。これらにM3を加えれば、日本における3シリーズのイメージはほぼ完成する。今回は、とくにパフォーマンス重視のガソリンエンジン搭載3車を選んでテストした。

電動化の時代に向けてエンジンの価値を再提示
まずはPHEVの330e Mスポーツだ。その「電気自動車性能の高さ」で20年の追加以来、注目を集めている。改めてそのシステム概要とスペックを記すと、B型2L直4DOHCターボエンジンに電気モーター+リチウムイオンバッテリー(12.0kWh)を加えたパワートレーンで、システム最高出力292ps/同最大トルク420Nmである。満充電時のEV走行可能距離は56.4km(等価EVレンジ[WLTCモード])だが、実質的には40km前後だろう。

以前、330eの前期型を試した際の印象では「日常生活は案外、EV走行のままで行ける」だった。40kmも走ってくれれば、買い物や送り迎えなどの普段使いには十分。何より電欠しない(=先はガソリンで走る)安心感は大きい。

EVとして走行中のドライブフィールが、エンジンモデルとほぼ変わらないというのも魅力のひとつ。これは電動化時代を見据えた進化というべきだが、逆に言うと新しい乗り味を期待する向きには物足りないかもしれない。

ワインディングロードでは電気モーターの瞬発力を活かした走りを堪能した。前後重量バランスとバッテリー配置が絶妙で、重量増による嫌味をほぼ感じさせない。シャシとサスペンション、ステアリング系統が成熟し、ハンドルと前輪とが非常に滑らかにつながっているという印象を強く持つ。

3シリーズは、そもそもスポーティなサルーンとして鳴らす名だが、いっそう正確に動かせるようになった。その上でより懐の深い乗り心地を実現する。重いモデル(大バッテリーを積む電動車など)の開発に積極的に取り組んできた成果が、比較的軽いモデルにも好影響を与えているように思う。

操舵感でも味わう官能性BMWとして不変のあり方
エンジンも良かった。普通の4気筒ガソリンエンジングレードと直に比べたわけではないけれど、力がある分、アクセルペダルのコントロールで走らせやすい。

これ以上、いったい何を望むというのか。望むとすればストレート6の官能性くらいか。いや、この4気筒だって今となっては耳に心地よく、十分に官能的なフィールを持っている。なるほど330eは紛れもなく上等な3シリーズだ。電動の時代が来ようとも、BMWらしいサルーンのあり方は変わらないという、それは強い意志の現れだと受け止められる。

高性能と実用性を高いレベルで実現した(予算が許すのであれば)もっとも好ましい3シリーズとし
てのM340i xDriveの立ち位置は、マイナーチェンジ後も変わらなかった。B型3L直6DOHCターボのカタログスペックは387ps/500Nmで、20年前ならM5クラスの値だ。

330eに比べるとフロントヘビーな印象は確かにある。そのうえ操舵感は強烈に「頑固」で、ハンドリングに強い意志を持たないドライバーを拒否するが如くだ。

そのリムの極太さと相まり、腕力が弱いか、手の小さいドライバーには正直、乗りづらいグレードかもしれない。けれども当然のことながら、それは一徹に重いわけではない。意志を持って操作し、フロントアクスルがそれに応えた瞬間から、動きにストレスはなくなり、自在感に満ちていく。

ハンドルの切り初めから途中での修正、そして直進へと戻る寸前まで、その操舵フィールは滑らかかつ上質で、前輪との一体感は(前の軽い)330eのさらに上を行く。さすがはMパフォーマンスモデルの足捌き、と言うほかない。

エンジンはB型だが、官能性がどんどん滅する方向性の昨今ではこのストレート6はもっとも官能的なフィールを備えるエンジンとして称賛されていい。サウンドは十分にクルマ好きの胸に響くし、何しろその美声を聴きながら500Nmもの最大トルクを右足ひとつで操るという感覚にはトルクの化物というべき電動車でも得難い機械フィールの妙があった。

クルマの運転が好きなら味わっておくべきモデル
なるほど「Mモデル要らず」の面目躍如だなぁ、と独りごちてM3コンペティションへと乗り換えてみたら、Mハイパフォーマンスを甘く見るなと、S型エンジンの咆哮ビンタをいきなり食らった。インパネのグラフィックにも気持ちが萌える。本国のFR仕様にMTを残したからだろう、こちらはシフトセレクターが屹立する。

510ps/650NmのS型ユニットが大いに吠えた。走り出せば、そのキャラクターがM340iとほとんど裏腹であったことを改めて思い知る。もう笑ってしまうほどに操舵フィールはニンブル(鋭敏)。M340iから乗り換えた直後では、フロントサスペンションアームのひとつやふたつが外れているのか?と思ったほどだ。もちろん、その動きは精緻のひと言で、ノーズの寄せやすさひとつをとっても、スタンダードモデルとは一線を画すものだ。

実用域では比較的大人しく振るまうが、ひとたび高回転域まで回せばボンネットから飛び出さんばかりの力を発し、3シリーズをスーパースポーツのように蹴り飛ばす。サウンド、フィールともにずっと回し続けていたいと思うという意味では、これぞ官能性豊かなエンジンというべきだ。ぜひともクルマ運転好きが味わっておくべきモデルであることは間違いない。 

3グレードを立て続けに試乗して、改めて思う。今さらかもしれないが、BMWはエンジンを楽しむ乗り物づくりに、つまりはドライバー重視のクルマ造りに長けたブランドである、ということを。(文:西川 淳/写真:永元秀和)

BMW M340i xDrive主要諸元
●全長×全幅×全高:4725×1825×1440mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1730kg
●エンジン:直6DOHCターボ
●総排気量:2997cc
●最高出力:285kW(387ps)/5800rpm
●最大トルク:500Nm/1800-5000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTCモード燃費:10.6km/L
●タイヤサイズ:前225/40R19、後255/35R19
●車両価格(税込):1040万円

BMW M3コンペティション M xDrive主要諸元
●全長×全幅×全高:4805×1905×1435mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1800kg
●エンジン:直6DOHCツインターボ
●総排気量:2992cc
●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTCモード燃費:9.8km/L
●タイヤサイズ:前275/35R19、後285/30R20
●車両価格(税込):1382万円

BMW 330e Mスポーツ主要諸元
●全長×全幅×全高:4720×1825×1445mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1820kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1998cc
●最高出力:135kW(184ps)/5000rpm
●最大トルク:300Nm/1350-4000rpm
●モーター最高出力:80kW(109ps)/3140rpm
●モーター最大トルク:250Nm/3170rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTCモード燃費:13.4km/L
●タイヤサイズ:225/40R18
●車両価格(税込):710万円

[ アルバム : M340i xDrive x 330e Mスポーツ xDrive x M3コンペティション M はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

3件
  • 揃いも揃ってみんなカッコ悪くなったな
    F10時代は全てかっこよかった
    経営陣が大きく変わったのかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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