もくじ
どんなクルマ?
ー 全高 Aクラス比、約14cm高
ー 後席は? 家族でも寛げる内装
どんな感じ?
ー 試乗 スペックに出ない味
ー 安全&運転支援機能は?
「買い」か?
ー OP110.9万円 乗り出し約500万円
スペック
ー 新型メルセデス・ベンツBクラスのスペック
どんなクルマ?
全高 Aクラス比、約14cm高
メルセデス王道のCクラス以上のFRセダンに対してヤング&カジュアル路線のAクラスなどと、ごくざっくりとしたキャラ分けをしたりしていたが、Aクラスにセダンが登場してキャラ分類を変えたほうが良さそうである。
Bクラスを一言でまとめてしまえば実用性向上のAクラス発展型。パーソナル(クーペ)志向のAクラスに対してユーティリティ志向のBクラス、Aクラスのワゴンバリエーションという捉え方をしてもいいだろう。で、Aクラス・セダンを加えてクーペ系、セダン系、ワゴン系の乗用車の代表的な3カテゴリーが出来上がるわけだ。
ワゴン系と表現したが、Bクラスの全長はAクラスと同じ。パッケージングで異なるのは全高くらいで、140mm以上の差がある。ホイールベースも共通なのでキャビンの平面寸法を変えずに高さ方向でスペースの拡大を図っている。
全高の拡大に合わせて座面高も高められている。座面高が高くなれば、足を引き気味の着座姿勢になるので同じ室内有効長でも余裕が出来る。これはスペース系の背高パッケージングを採用する理由でもあり、Bクラスが居心地や使い勝手に気を配ったモデルであること示している。
後席は? 家族でも寛げる内装
実際に乗ってみると寸法面のアドバンテージだけでなく、見晴らしや乗降性など後席乗員への配慮が利いている。Aクラスの後席がダメとは思わないが、Bクラスに比べると乗せてもらっている感が強い。カップル同士でも中高以上の子供がいる家族でも寛いだ車中のコミュニケーションを楽しめる設計である。
もちろん、ミニバンやハイト系のようにユーティリティが売りのモデルではない。だからワゴン相当というわけだ。こういったファーストカーとしての要求を4.4m強の全長でバランスさせているのがBクラスなのだ。
試乗モデルは1.4ℓダウンサイジングターボを搭載するB180。レーダーセーフティパッケージを始め主要OPを装着。ちなみにOP総額は110万円強。必須OPとなる全車速ACCや走行ライン制御LKA、半自動型車線変更支援等がセット装着されるレーダーセーフティパッケージとMBUX対応のナビゲーションパッケージを合わせたOP価格は約43万円なので、430万円辺りが実質的なスターティングプライスである。
どんな感じ?
試乗 スペックに出ない味
20.4kg-mの最大トルクはNAで言えば2ℓ相当。ただし、発生回転数が1460~4000rpmと幅広いのが、実用動力性能を重視したダウンサイジングターボらしい。このパワートレインの使い勝手のよさはスペックに表れた部分だけでない。むしろスペック以外にこそ優秀性がある。
アクセルペダル操作と加減速の感覚が市街地から高速、登降坂等の状況の変化で大きく変わらない。得手不得手の少ないドライバビリティとでもいうか、ペダルストロークの浅深に関わらず踏み込み量に応じた反応を示した。変速回転数も大きく変動しない。軽い踏み込みでも力強くともならず、回す程に伸びやかにともならず、些か盛り上がりに欠く特性でもあるのだが、自然体で運転できる馴染みのよさが長所である。
ミッションは7速DCT。小気味よい変速感覚はカジュアルなBクラスのイメージにも似合いである。もちろん、上級クラスで標準化されていることからも分かるように極低速での加減速や変速の滑らかさではトルコン/遊星ギア式のATには及ばない。小気味よさやメリハリの裏返しでもあるのだが、スポーティなドライブフィールを好むドライバーとはトルコンATよりも相性がいいだろう。
巡航回転数は1500~2000rpm。現代の乗用車では標準的な設定である。エコモードで走らせていても巡航ギアを無理に維持するような制御ではなく、ダウンサイジングターボとしては比較的早いタイミングでダウンシフトを行う。巡航ギアのままぐいぐい引っ張るような力感はないが、リズム感よろしくストレスのない加速感覚である。
なお、コンフォートモードでは加速度の変化を抑制するためダウンシフトタイミングが早まり、スポーツモードではペダルストロークに対する加減即反応を鋭くすると共にエンブレや瞬発力を高めるべく巡航ギアを1段下げて常用回転域を高めていた。
安全&運転支援機能は?
フットワークもこういったパワーフィールに似合いだ。重質や据わりを基準にすれば、同社のFR系がそうであるようにもう少しどっしりした味わいが欲しくなるが、軽やかさを維持したまま揺れ返しの少ない挙動が操る心地よさと信頼感を上手に両立させている。
付け加えるならコンパクトな車体サイズに似合いのカジュアル&スポーティな味わいは、動力性能がそうであるように穏やかに走らせている時もちょっと気合いを入れるような走り方でも性格を大きく変えない。状況が変わったとしても対処をあれこれ考える必要もなく操れる。
運転感覚では馴染みのよさが見所だが、運転支援機能がそれを一層引き立てる。例えば、停車中ブレーキペダルを深踏みすればペダルから足を離してもブレーキ維持するブレーキホールドに移行。渋滞など頻繁な発進停車を繰り返す時に便利な機能だが、再発進時のホールド解除と走り出しの制御が非常に滑らか。同様機能があっても再発進がスムーズでないとキャンセルしたくなるものだが、Bクラスでは最大限活用させてもらった。
ACCは渋滞に嵌ってからのセットで渋滞追従走行させることもできる。ちなみに設定速度に対してコーナー半径が小さめの時は安心速度まで自動的に緩やかに減速する。LKAはかなり車線認識精度が高く、首都高でも大半の状況で使用可能。BSMなどの周辺監視も適時適材。車線逸脱での警報及び修正がちょっと大袈裟な気もするが、路側壁や隣車線車のことを考えれば厳しめでも納得できる。
安全&運転支援機能の充実はBクラスの売り物のひとつだが、単に先進的なだけでなく一般的な使用環境で使いやすい実践的効果を高めているのも特徴なのだ。サイズとキャラと実用性のバランスのよさを様々な状況で感じさせてくれた。
「買い」か?
OP110.9万円 乗り出し約500万円
「ハロー、メルセデス」と何度語りかけたことか。適切な単語を使わなければ会話が迷走してしまうのはボイスコマンドと同じ。他メーカーも然りで、この辺りは人工知能化でもしないと厳しいのだろう。しかし、タッチパネル/タッチパッド/ステアスイッチと入力系統は多重。状況に応じて一番使いやすい入力方式を用いればいいだけのことだ。
前記した運転支援機能にしてもBクラス特有というわけではなく、最新メルセデス車に共通するものだが、全長4.4m級で4名乗車でも寛げる室内と使い勝手。角度によって凛々しくも可愛らしくも見える外観。そういった部分が「プレミアム」よりも強く感じさせてくれるのがBクラス。人間性で言えば「いいひと」的なモデルである。
価格をベーシックグレードで比較するとAクラスより50万円以上高いのだが、B180はAクラス/Aクラス・セダンのA180スタイル相当の装備を採用。装備揃えの価格差はAクラスの約15万円高、Aクラス・セダンと同等である。ちなみにC180対比なら100万円近く安価。とはいえ、乗り出し価格で約500万円のモデル。Bクラスが実践力に優れた良識派向けのクルマであっても、ブランドに対する信頼感も含めて「まずメルセデス・ベンツありき」でないと納得し難いのは否定できない。
がんがん主張したいユーザー向けには地味でもあろうし、ブランドに対する信頼を現実的な用途の中で深めていくにはいいクルマ。時間と距離でクルマのよさを図るドライバー向けであり、意外とツウ好みの一車とも言える。
新型メルセデス・ベンツBクラスのスペック
メルセデス・ベンツB180
■価格 384万円
■試乗車価格(OP/アクセサリー含む) 494万9320円
■全長×全幅×全高 4425×1795×1565mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費(WLTCモード) 15.0km/ℓ
■車両重量 1470kg
■エンジン 直列4気筒1331cc
■最高出力 136ps/5500rpm
■最大トルク 20.4kg-m/1460-4000rpm
■ギアボックス 7速DCT
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