現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ復活!? 2021年に日本再参入するドイツブランド「オペル」 の勝算とは

ここから本文です

なぜ復活!? 2021年に日本再参入するドイツブランド「オペル」 の勝算とは

掲載 更新 16
なぜ復活!? 2021年に日本再参入するドイツブランド「オペル」 の勝算とは

■最初の自動車製造から120年を超える歴史を持つ

 2020年2月18日、プジョー、シトロエン、DSのブランドを展開するグループPSAジャパンは、オペルの日本市場への再参入を発表した。

新型「ハリアー」にそっくり!? トヨタ新型「ヴェンザ」発表

 その直後に世界的な新型コロナウイルス感染拡大があり、欧州にあるオペルの工場でも生産を停止する事態に陥ったため、当初の導入スケジュールは多少ずれたというが、それでも2021年内には日本でオペルブランドを展開する予定だという。

 再参入というように、オペルは過去、日本市場で発売されていたこともあり、2006年の撤退が直近の動向となる。

 そのオペルが、15年ぶりとなる再参入を表明したのだ。その背景にはいったい何があったのか。オペルとは、どのようなブランドなのか。また、オペルの日本市場での勝算はあるのだろうか。

 オペルは欧州ではシェアが高く、その歴史も非常に長い。創業はなんと1862年。日本でいえば幕末の文久元年となる。明治維新による明治元年の1868年よりも6年も前だ。カール・ベンツが自動車を発明する1886年よりも24年も前のことになる。

 当初はミシンを製造していたが、1899年にオペル第一号車「システム・ルッツマン」を世に送りだす。そして第一次世界大戦前までに小型車をヒットさせ、当時のドイツ最大の自動車メーカーに成長していた。

 しかし、1920年代に創業一族の主要メンバーが死去したことを鑑み、オペルは1929年に大きな決断を下す。それがアメリカのGMとの資本提携だ。以降、オペルはGM傘下のブランドとしての歴史を歩むことになる。

 第二次世界大戦によってドイツは荒廃するものの、オペルは戦後わずか1年で生産を再開。GMもすぐに復帰したことで、オペルの戦後復興は順調に進んでいった。

 ちなみに1952年から日本でもオペルが発売されている。

 その後、欧州では小型や中型のファミリーカーとしてオペルは高い評価を得て、販売を伸ばしていく。1970年代にはワールドカー構想をもとに、オペルの「ニューカデット」をベースにした兄弟車が世界のあちこちで生まれた。日本では、当時GMと提携していた、いすゞより「ジェミニ」が生まれている。

 一方、日本市場ではオイルショックの影響でオペルの輸入が1980年代前半まで一時中断している。

 そして1993年、日本で大きな動きがあった。それは輸入車販売大手のヤナセが、オペルを扱うようになったのだ。さらに1995年には、エントリーモデルとなる「ヴィータ(欧州名:コルサ)」が日本に上陸。なんと200万円を下回る手ごろな価格で大人気になる。

 当時、輸入車といえばイコール高級車であり、大衆車としてのドイツブランドの登場に、オペルが注目されることになった。ただし、その後のオペルの販売は伸び悩み、結局、2006年に日本から撤退してしまったのだ。

■オペルの属する「グループPSA」とは

 オペルとGMとの関係は、はるか90年ほども前の1929年から続いていたが、2017年にオペルはGMとの関係を断ち切り、グループPSAに参加することになる。

 グループPSAとは、プジョーとシトロエン、DSの3ブランドを発売するフランスの自動車メーカーだ。ここにオペルが加わることで、欧州におけるシェアはフォルクスワーゲングループに次ぐ2位となった。

 さらにグループPSAは、2019年の暮れにFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)との合併にも合意しており、合併後にできるグループ「ステランティス」は、将来的には生産台数870万台、世界シェアは4位になる予定だ。そうした、グループPSA、FCAのなかで、オペルは唯一のドイツ・ブランドということで、技術面などで非常に重要なポジションを担うことになるだろう。

 グループPSAのメンバーになったオペルは、合流後に経営計画となるPACE!を発表している。

 内容は多岐に渡るが、注目点は「2020年代の半ばまでに、欧州以外の市場での販売台数を10%にする」とある。逆にいえば、オペルはほとんど欧州市場だけで戦っていたブランドであったのだ。

 この計画に沿ってオペルは、アジア、アフリカ、南米での存在感強化に努めるという。さらに2022年までに新たに20の市場への参入が謳われている。その計画があるからこそ、日本への再参入が決まったのだろう。ちなみに、日本以外にもロシア市場への再参入、コロンビアとエクアドルへの市場参入もおこなうという。

 また、経営計画PACE!では、電動化の推進も謳われており、2024年までには完全な電動化をおこないたいという。その具体例として挙げられるのが、2019年にフルモデルチェンジした「コルサ」だ。Bセグメントのコンパクトカーであるコルサには、純粋な電気自動車仕様の「コルサe」が用意されており、グループPSAのなかでも電動化の急先鋒といえる存在だ。

 そして2021年に日本に導入される予定なのが、そのコルサと「コンボライフ」、そして「グランドライドX」の3モデルだ。

 コルサは、1995年に「ヴィータ」の名で大ヒットを記録したコンパクトカーだ。今回も商標の問題でコルサの車名は使えず、日本ではヴィータ名になると予想される。

 しかも今回は、電動化モデルの導入もアナウンスされている。当然、電気自動車のコルサeも発売されるだろう。ちなみにコルサの欧州での価格は1万3990ユーロ(約160万円)から。コルサeは2万9900ユーロ(約350万円)となっている。

 コンボライフは、スライドドアを備えるコンパクトなミニバンだ。2018年に誕生した現行モデルの現地価格は1万9995ユーロ(約230万)から。またグランドランドXは、CセグメントSUV。こちらの現地価格は2万3700ユーロ(約265万円)から。グランドランドXにはプラグインハイブリッド版も導入が予定されているという。

 2021年に日本への導入が予定されているのは、コンパクトなハッチバック、スライドドアのミニバン、そしてコンパクトSUVだ。これらはどれも日本車でも人気のジャンルばかり。しかも、どのモデルも欧州での販売価格を見ると、日本車と遜色ないレベル。ドイツのプレミアム・ブランドとは異なる価格帯で、日本に再参入することは間違いないだろう。

 つまり、再参入するオペルの強みは1990年代の時と同じくコストパフォーマンスだ。

 ドイツ車ならではの高速走行性能を備えつつも、他のドイツ車とは違うリーズナブルさがある。グループPSAへの合流もあり、生産コストは大幅に圧縮されている。今後は、車種アーキテクチャーを9つから2つまで減らす計画さえもあるという。

 ただし、1990年代から2000年代初頭のオペルは、品質面での不満もあった。それが2006年の撤退の理由のひとつとなっている。今度の再参入では、そこをクリアしつつ、しかもリーズナブル。それを実現できれば、オペルの日本での足場も固まるのではなかろうか。すべては品質にかかっている。

こんな記事も読まれています

レクサス「LM」6座仕様車を追加 3列目もラグジュアリーな空間に
レクサス「LM」6座仕様車を追加 3列目もラグジュアリーな空間に
グーネット
2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
ベストカーWeb
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
Auto Messe Web
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
グーネット
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
AUTOSPORT web
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
AUTOSPORT web
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
AUTOSPORT web
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
AUTOCAR JAPAN
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
AUTOSPORT web
4児の父「杉浦太陽」、新車で買った「高級ミニバン」初公開! 「すごく乗りやすくて…」全貌を明かし「カッコイイ!」「好感持てる」の声集まる
4児の父「杉浦太陽」、新車で買った「高級ミニバン」初公開! 「すごく乗りやすくて…」全貌を明かし「カッコイイ!」「好感持てる」の声集まる
くるまのニュース
レッドブルF1代表、フェルスタッペンの契約にニューウェイに関する条項はないと明言
レッドブルF1代表、フェルスタッペンの契約にニューウェイに関する条項はないと明言
AUTOSPORT web
世界戦デビューの地でエルラシェールが復活。リンク&コーが週末完全制覇を達成/TCRワールドツアー第2戦
世界戦デビューの地でエルラシェールが復活。リンク&コーが週末完全制覇を達成/TCRワールドツアー第2戦
AUTOSPORT web
リスクはある? サイバーセキュリティ規制、非対応車は「脆弱」なのか 一部地域で販売継続
リスクはある? サイバーセキュリティ規制、非対応車は「脆弱」なのか 一部地域で販売継続
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイスが考古学調査!? 本社の増築予定地からローマ時代の遺物が出土…地元の小学生が「ジュニア考古学者」になりました
ロールス・ロイスが考古学調査!? 本社の増築予定地からローマ時代の遺物が出土…地元の小学生が「ジュニア考古学者」になりました
Auto Messe Web
アントネッリのF1デビューを早める動き。イモラでサージェントと交代との説は、メルセデスとウイリアムズが否定
アントネッリのF1デビューを早める動き。イモラでサージェントと交代との説は、メルセデスとウイリアムズが否定
AUTOSPORT web
BMW M4 に最強の「CS」、550馬力ツインターボ搭載
BMW M4 に最強の「CS」、550馬力ツインターボ搭載
レスポンス
史上最少僅差0.001秒決着! カイル・ラーソンが「ワイルドなフィニッシュ」で2勝目/NASCAR第12戦
史上最少僅差0.001秒決着! カイル・ラーソンが「ワイルドなフィニッシュ」で2勝目/NASCAR第12戦
AUTOSPORT web
「人とくるまのテクノロジー展」が過去最大規模となって5月22日よりパシフィコ横浜で開催
「人とくるまのテクノロジー展」が過去最大規模となって5月22日よりパシフィコ横浜で開催
Auto Prove

みんなのコメント

16件
  • ドイツメーカーでも負け組のレッテルが付いたオペル。ヤナセで扱っていたが、とても品質が悪かった。一度悪い評判がつけば無理。ヒュンダイもまた来るらしいが、買う人はいないと思う。
  • 昔だったらオペルでもよかったが

    今だったら
    スバル、マツダ、スズキのほうがいい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村