現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スポーツ性を強化したV8モデル「シルエット」(1976)【ランボルギーニ ヒストリー】

ここから本文です

スポーツ性を強化したV8モデル「シルエット」(1976)【ランボルギーニ ヒストリー】

掲載 更新
スポーツ性を強化したV8モデル「シルエット」(1976)【ランボルギーニ ヒストリー】

Lamborghini Silhouette

ランボルギーニ シルエット

20世紀最後のスモール・ランボ「ジャルパ」(1981)【ランボルギーニ ヒストリー】

ウラッコの販売不調とフェルッチオの退任

コンパクトなV型8気筒エンジンをミッドシップした2+2モデル。ポルシェ911の成功を手本としたフェルッチオの次なる戦略は、ウラッコとして現実のものになるが、そのセールスは残念ながら大きな成功を収めることはなかった。

フェルッチオはこのウラッコで、アメリカ市場を開拓することにも積極的な姿勢を見せており、1973年にファーストモデルとなったP250 ウラッコの生産が開始されると、アメリカ市場向けとなるP111を別個に開発するまでに至っていた。P111は当時のアメリカにおける厳しい排出ガス規制をクリアするために、ミッドの2.5リッターエンジンの最高出力は180psにまで抑えられ、外観では5マイルバンパーや前後フェンダーにフィットされたサイド・リフレクターなど、当時アメリカに輸出されたヨーロッパ車の典型的なディテールを持つモデルに仕上げられていた。

しかし、実際に販売されたP111 ウラッコの台数は、わずかに21台とされており、この時代はまだまだランボルギーニのみならず、ヨーロッパの高性能車にとって、アメリカ市場の壁は高かったことを、この数字は物語っている。

そしてウラッコの生産途中では、ランボルギーニ社の経営体制も大きく変化し、フェルッチオ・ランボルギーニは経営から完全に撤退。新たなオーナーとなったジョルジュ・アンリ・ロセッティのもと、チーフ・エンジニアの職はフランコ・バラルディーニが担うことになった。これまでフェルッチオからその職を委ねられていたパオロ・スタンツァーニ、そして創業直後からテストドライバーとして、またメカニックとして活躍してきたボブ・ウォーレスなどは、この新体制に反旗を翻し前後してランボルギーニを去っていった。

商品力を改善して誕生した「シルエット」

ロセッティがバラルディーニにまず命じたのは、P300 ウラッコの商品力をさらに高めることだった。そのために考えられたのが、よりスタイリッシュなデザインをもつニューモデルへとウラッコを進化させることだった。そうして誕生するのが「シルエット」である。

バラルディーニはまず、ウラッコの特徴でもあった2+2のキャビンを2シーターへと変更。ルーフをデタッチャブル方式とすることを決断し、それをベルトーネのマルッチェロ・ガンディーニへと伝える。ガンディーニはそのリクエストをもとに、前後フェンダーにフットワークの力強さをイメージさせるかのようなオーバーフェンダーを与えたほか、ブラックアウトされた水平のリアフード、そしてトンネルバックのスタイルを採用。フロントスポイラーもさらにスポーティなデザインへと改めた。

ちなみにリボルバータイプのホイールは、1974年にベルトーネがコンセプトカーのブラーボで採用したもので、これは後にランボルギーニを象徴するホイールのデザインとも語られるようになる。

広範囲に及ぶシャシーチューニング

メカニズム面では、P300 ウラッコから最高出力が260psへと10ps向上したほかは大きな変化はないが、一方でシャシーのチューニングは広範囲に及んでいる。スプリングやダンパー、スタビライザーのチューニングはすべてシルエットのために見直され、ジオメトリーも改められた。タイヤは前後とも15インチ径のピレリ製P7を装着していた。

インテリアも同様に、さらに機能的で実用性の高いデザインに一新され、リアシートがなくなったことで、フロントシートはバックレストが固定式のバケットタイプが新たに装備されることになった。

1976年にデビューを飾るものの、結果は・・・

シルエットが正式に発表されたのは、1976年のジュネーブ・ショーでのこと。参考までに車名の由来は、この年から世界選手権を戦うことになったグループ5マシン、すなわちシルエット・フォーミュラのように、派手なディテールをエクステリアで採用したからであったという。

シルエットは1979年まで生産が続けられ、トータルで53台がサンタアガタ・ボロネーゼの本社工場を後にしている。

【SPECIFICATIONS】

ランボルギーニ シルエット

発表:1976年

エンジン:90度V型8気筒DOHC

総排気量:2995.8cc

圧縮比:10.0

最高出力:191kW(260ps)/7500rpm

トランスミッション:5速MT

駆動方式:RWD

車両重量:1375kg

最高速度:260km/h

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」5
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」5
グーネット
チョーお得!? ボルボの最小5ドア V40試乗プレイバック ゴルフ Aクラス レクサスCT200hと渡り合う実力はあるか?
チョーお得!? ボルボの最小5ドア V40試乗プレイバック ゴルフ Aクラス レクサスCT200hと渡り合う実力はあるか?
ベストカーWeb
ランドローバー「レンジローバー」2025年モデル受注開始 ディーゼルモデルが出力アップ!
ランドローバー「レンジローバー」2025年モデル受注開始 ディーゼルモデルが出力アップ!
グーネット
東出昌大、ゆるキャン声優らがステージ出演決定!東京アウトドアショー2024
東出昌大、ゆるキャン声優らがステージ出演決定!東京アウトドアショー2024
グーネット
ランドローバー「ディフェンダーオクタ」7月3日ワールドプレミア!220台を日本導入
ランドローバー「ディフェンダーオクタ」7月3日ワールドプレミア!220台を日本導入
グーネット
新車価格260万円が今……S15シルビアは15万キロ超えでも200万円!! 今後さらに価格上昇か
新車価格260万円が今……S15シルビアは15万キロ超えでも200万円!! 今後さらに価格上昇か
ベストカーWeb
グランドハイエースに初代インサイトも輸出解禁!? もう25年越えってマジかよ?? 陰に隠れて高騰の可能性があるクルマ9選
グランドハイエースに初代インサイトも輸出解禁!? もう25年越えってマジかよ?? 陰に隠れて高騰の可能性があるクルマ9選
ベストカーWeb
「タコ2」三兄弟をおぼえてる? トヨタ「ターセル/コルサ/カローラII」はホットハッチ男子を魅了した国民的人気車でした
「タコ2」三兄弟をおぼえてる? トヨタ「ターセル/コルサ/カローラII」はホットハッチ男子を魅了した国民的人気車でした
Auto Messe Web
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」4
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」4
グーネット
類まれな「威厳と満悦」 ベントレー・コンチネンタルGT Sへ試乗 伝統継承のグランドツアラーを再確認 
類まれな「威厳と満悦」 ベントレー・コンチネンタルGT Sへ試乗 伝統継承のグランドツアラーを再確認 
AUTOCAR JAPAN
「メルセデス・ベンツ」ドイツ国内のディーラー網が大混乱!? リコールへの対応もあり現場は騒然です【みどり独乙通信】
「メルセデス・ベンツ」ドイツ国内のディーラー網が大混乱!? リコールへの対応もあり現場は騒然です【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」3
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」3
グーネット
レッドブルF1はノリス&ピアストリへの関心を明かすも、2026年まで契約のあるふたりは「短期的には選択肢にならない」
レッドブルF1はノリス&ピアストリへの関心を明かすも、2026年まで契約のあるふたりは「短期的には選択肢にならない」
AUTOSPORT web
小型2ドア車が復活 新型スマート・フォーツー開発始まる デザイン責任者「ブランドにとって重要」
小型2ドア車が復活 新型スマート・フォーツー開発始まる デザイン責任者「ブランドにとって重要」
AUTOCAR JAPAN
レース観戦初心者でも大丈夫! 今さら人には聞けない「SUPER GT」の観戦術とは? 10倍サーキットを楽しむ方法をお教えします
レース観戦初心者でも大丈夫! 今さら人には聞けない「SUPER GT」の観戦術とは? 10倍サーキットを楽しむ方法をお教えします
Auto Messe Web
【独ニュルへご招待】 アイオニック5Nファーストエディションの購入特典 5Nの導入時期も発表
【独ニュルへご招待】 アイオニック5Nファーストエディションの購入特典 5Nの導入時期も発表
AUTOCAR JAPAN
ランドローバー「ディスカバリースポーツ」2025年モデル発表 エントリーグレードを新導入
ランドローバー「ディスカバリースポーツ」2025年モデル発表 エントリーグレードを新導入
グーネット
大型トラックの確実な休憩で「黄色いペットボトル」問題も解決! 全国11カ所のSAで実施中の「短時間限定駐車マス」とは?
大型トラックの確実な休憩で「黄色いペットボトル」問題も解決! 全国11カ所のSAで実施中の「短時間限定駐車マス」とは?
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

565.0860.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

565.0860.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村