4月14日(日)に富士スピードウェイで開催されたモーターファンフェスタ2019。そのコンテンツのひとつに、「ジャガー・スマートコーン・チャレンジ」というものがあった。コース内にはパイロンが置かれ、なんだかジムカーナのような雰囲気。使われる車両はジャガー初のピュアEVで知られるI-PACEなど。しかも、元F1ドライバーのあの人も参加するというではないか。これは挑戦するしかない!TEXT●小泉建治(Koizumi Kenji)PHOTO●平野 陽(Hirano Akio)
速さだけではなく、操作の正確性も問われる知的なゲーム
平成最初に発売された日本車は2台あった!? 平成最初と最後に発売された日本車、令和初の日本車は?
まずはゲームの流れとルールを説明しよう。
1.コース上には、二本一組で対になったコーンが無数に散らばっており、コーンの先端にはランプがついている。
2.ある一組のコーンが緑に点灯し、さらにもう一組のコーンが青に点灯する。
3.緑のコーンが最初に通過すべきコーンで、青はその次に通過すべきコーンとなる。
4.緑のコーンを通過すると消灯し、それまで青だったコーンが緑になる。と同時に、今度は別のコーンが青になる。どのコーンが点灯するかはランダム。
つまり、緑に点灯したコーンを通過し、次に青のコーンを通過すればいい。通過する方向は問わない。だから緑を通過する際、次に通過すべきコーンがどこにあるのかをミラーも駆使しつつ把握しながらライン取りしなければならないのだ。
このゲームは点数で争われ、点数は「タイム」「操作の正確性(急加速や急制動、急ハンドルがないか。操作がスムーズか)」「ライン取りに無駄がないか(なるべく短い距離で結ぶ方が高得点)」によって決められる。
車両はI-PACE、F-TYPE、XEが用意された。筆者は迷わずI-PACEを選んだ。
最初にすべての組のコーンをひととおり通過するプラクティスを行う。その際、あまりにタイトなライン取りをしてしまい、切り返さないと曲がりきれないという失態を冒してしまった。練習走行でよかった。
で、いよいよゲーム開始。緑を通過しつつ、次の青に向かう。傍で見ている際にはずいぶんとノンビリとしたゲームに見えたのだが、実際にやってみるとかなり忙しい。緑のパイロンを探しながら青のパイロンを探すのはやはり慣れが必要で、そうこうしているうちにあっという間に緑のパイロンが迫ってくるからキョロキョロしているヒマはない。
そこで、開始数秒後に編み出したのが、「どのラインを走るか迷ったら、なるべくコースの外郭沿いを走る」ということ。コースの端を走っていれば、探すべき方向は限られる。360度を200度くらいに減らすことで、青を見つける手間の最小化を図ったのだ。
この作戦は功を奏し、青を探すためにミラーを使うことはほぼなくなった。
よし、行ける。そう確信したところでゲーム終了。え? もう?
結果は4万111点で、92人中23位という結果。う~ん。
点数の内訳は、タイムが1分25秒、操作の正確性が94.65%、そして走行距離が636.39mということだった。
「いやすごい。初めてでこの点数はスゴイですよ。実はリピーターの方も多くて、初めての人に限定すれば10位以内は確実です」
とはインストラクターの方の弁。いやいや、2位以下は負けと同じなんですよ。
「とくに操作の正確性がすばらしいです。90点以上も出せる人はなかなかいらっしゃいませんから。しかし、走行距離が長すぎましたね。最短で500mとちょっとで回れるはずなので、大回りしすぎです。小泉さんの減点は、ほとんどこの距離のせいですね」
プラクティスで曲がりきれなかったことがトラウマとなり、なるべく大きな弧を描くようなライン取りしたのが裏目に出たようだ。
なんなんだろう、この力を出し切れなかった感は……。
「自分のプレーができなかった」
スポーツ選手が試合後によく発するコメントだが、その気持ちが少しわかったような気がした。
そんな、うなだれている筆者に、インストラクターの方がすばらしいお言葉をかけてくださった。
「先ほど元F1ドライバーの井出有治選手も参加されたのですが、小泉さんのほうが高得点でしたよ」
えっ!?
気になったので井出選手の点数を見せていただいた。
タイム
井出:1分47秒50
小泉:1分25秒00
操作の正確性
井出:90.99%
小泉:94.65%
走行距離
井出:593.18m
小泉:636.39m
総得点
井出:37853点
小泉:40111点
バンザーイ! 井出選手も初挑戦かつクルマはI-PACEだったとのことで、条件は同じだ。なんだ、一気に気分が良くなってきたぞ。
そんなわけで最後は自慢話になってしまったが、よくよく考えてみれば、こんなゲーム……というよりは競技に近いような内容だったのに、そこで本気に走りに向き合えるI-PACEって、やはりとんでもないEVである。ダイナミクスがしっかりしているからこそで、ほかのEVではここまで楽しめないだろうし、向上心を刺激されなかったはずだ。
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