全国のグループ販売店で質の高いサービスを展開
日本は高齢化が進み、福祉車両(バリアフリー車両)の需要は確実に増加している。そんななかで2017年、輸入車販売大手であるヤナセは福祉車両に参入すると発表。ヤナセのグループ会社である「ヤナセオートシステムズ」は、高齢化が進み需要の増加が確実に見込まれる福祉車両分野への本格参入を目的に、輸入車・国産車の福祉車両改造を幅広く手掛ける「オフィス清水」と業務提携した。単に福祉車両といっても車いす用リフト装備車や回転乗降シート車など、改造に関するノウハウは多岐に及ぶ。車いす用リフトや回転乗降シートをはじめとする機器取り付けの技術的検証、税制等の優遇措置・公的な助成制度等の情報もユーザーに提供できるように体制を整え、質の高いサービスとともに全国のヤナセグループ販売店を通じた福祉車両の販売をスタートさせる。
「自ら運転する歓び」を与える福祉車両、自操タイプってどんなクルマ?
そこで、まず福祉車両は介護に求められる自動車(車いすのままで乗り降りできる)と、障害者のための自動車(手足に障害のある人が運転できるように補助装置を取り付ける)の2タイプがあることを理解しておこう。
ヤナセオートシステムズで展開する福祉車両業務
ヤナセは福祉車両の事業開始以来、そのコンセプトやマーケット、お客様とヤナセ販売店とヤナセオートシステムズ&オフィス清水との業務フローを徹底している。加えてヤナセ販売店のセールスマニュアル・トレーニングを強化。ヤナセ専用の福祉車両カタログも製作中で間もなく完成するそうだ。コンセプトや業務については以下の通り。
1.コンセプト「バリアフリーな輸入車で、車のある人生をもっと長く」福祉仕様が必要になっても、カッコよく輸入車に乗り続けたいユーザーのために、車いすの移動にもステータスを求めるユーザーのために、スタイリッシュで誰もが乗ってみたくなる福祉車両を提供する。
2.マーケット福祉車両の市場規模は、軽自動車を除いて約2.4万台(2015年データ)。このうち輸入車ベースの福祉車両の市場規模は統計がないため正確な実数は不明だが、本格的に取り組んでいる事業者は少なく、輸入車ユーザーの潜在需要も取り込めていないものと推測している。
3.概要ヤナセネットワークを通じて、新規のユーザー、既納客のオーナーへ福祉車両の提案、並びに販売を行う。また、商品供給は「ヤナセオートシステムズP&A部門(パーツ&アクセサリー)」が管理し、装着は全国のBPセンター(板金・塗装)で行う。商品の輸入と技術サポートは提携先である「オフィス清水」が担当する。
具体的には、「ヤナセオートシステムズ」は全国9か所で展開する板金・塗装部門の内製工場を中心に車いす用スロープやリフト等の比較的簡単な車両の改造作業を行う。
一方、「オフィス清水」は欧州の福祉機器メーカーの代理店を請け負うほか、改造やコンサルティングのネットワークを持ち、電気制御系の改造が伴う回転式昇降シートや運転補助装置などは同社のネットワークを活用し実施する。
こだわりを持った輸入車ユーザーの要求に対応
多くの輸入車ブランドを取り扱うヤナセの取り組み。プレミアムブランドの福祉車両の提供が可能となり、そのラインアップに期待するユーザーが増加すると見込まれる。特に、ヤナセは自分らしさのこだわりをもった輸入車ユーザーのニーズに対応し、福祉車両の事業を手掛けることで輸入車を乗り続けたいユーザーの選択肢を増やし提供しているといえる。
事実、メルセデス・ベンツ Vクラスをベースに昇降リフト装置を装着した車いす福祉車両を納入した実績があるのだ。
また、「ヤナセオートシステムズ」ではデモカー2台を用意し、全国の販売店での活用に備える(メルセデス・ベンツVクラス=昇降リフト装置、Cクラスワゴン=手動回転装置)。福祉車両の事業は試験的に開始している段階だが、問い合わせは50件くらいに達しているそうだ(7月20日現在、ヤナセ販売店除く)。
ヤナセ福祉車両のサポート製品ラインアップ
【車いすサポート】
車いすのまま乗り降りを可能にする昇降リフト装置(イタリア・フィオレラ社製)。最大360kg対応リフト。
スウェーデン・オートアダプト社製のスロープ装置(耐荷重400kg)。様々なタイプの車いすの乗車が可能。取り付け位置と車いすの重量に合わせてモデル選びができる、車いす吊り下げリフト(車いす収納装置)。カロリフト=スウェーデン・オートアダプト社製。
下の画像はピラーリフト(イタリア・キヴィ社製)。
【乗り降りサポート】
電動補助ステップ(日本製)。クルマの乗り降りの際にかかる負担を軽減する。
【パッセンジャーサポート】
回転乗降シート(スウェーデン・オートアダプト社製)。こちらもクルマの乗り降りの際にかかる負担を軽減するのが目的だ。
【ドライバーアダプテーション】
自操式装置。補助装置により手だけの操作、または足だけの操作で快適なドライブを可能にすることができる。下はアクセルリング&ブレーキレバー(イタリア・キヴィ社製)。手動運転装置で両手は常にハンドル位置でリングを引く、あるいは押すことによりアクセルをコントロールする。ハンドル右に備わるレバーを押し下げるとブレーキ操作が可能。
こちらは手動アクセル・ブレーキ操作レバー(スウェーデン・オートアダプト社製)。レバーでアクセルとブレーキを操作。引くとアクセル、押すとブレーキ操作が可能だ。
左アクセル装置(スウェーデン・オートアダプト社製)。左足でアクセル・ブレーキ操作を行うことのできる左アクセル装置。
着脱式片手ハンドル操作ノブ(スウェーデン・オートアダプト社製)。片手でハンドル旋回を可能にする後付けノブで、ドライバーに合わせて形状が選択できる。
ウインカーレバーエクステンション(スウェーデン・オートアダプト社製)。逆側でウインカー操作を可能にする延長レバー。
サイドブレーキペダルエクステンション(スウェーデン・オートアダプト社製)。サイドブレーキペダルを踏むことができないドライバーを補助する手動レバーである。
ヤナセオートシステムズhttp://www.yanase-autosystems.co.jp/
(画像提供:ヤナセオートシステムズ)
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