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野尻智紀と太田格之進のコース内外バトルの結末。緊張感高まった両者のフロントロウスタート

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野尻智紀と太田格之進のコース内外バトルの結末。緊張感高まった両者のフロントロウスタート

 11月10日に行われたスーパーフォーミュラ最終戦の第9戦JAFGP鈴鹿。チャンピオン争いと共に、このレースで優勝を争った野尻智紀(TEAM MUGEN)と太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の前日第8戦予選におけるウォームアップを巡る認識の食い違いが話題となったが、第9戦のレース後、お互いに話をし、現在の関係は修復しているようだ。

 第8戦予選Q1B組のセッション、赤旗後に計測1周勝負となった予選アタックのウォームアップで、野尻は前に出られた太田にウォームアップを妨害されたとして激昂、この日のレース後にメディアに太田を非難するコメントを述べた。実際、ルール上は問題はなく、太田としては妨害したという認識はなく、第9戦の予選で野尻がポール、太田が2番手となった会見で険悪な雰囲気となり、ふたりの関係とフロントロウにふたりが並んだレーススタートが懸念されていた。

フロントロウの野尻智紀と太田格之進の因縁の戦い。予選会見でのふたりのやり取りとドライバーとしての矜持

 結果としてレース後、お互いに直接話し合う機会があり、解決したことが明らかになったが、ふたりの今の関係、そしてその緊張感が高まったスタートについて聞いた。

「まずレース後、野尻さんと少し話をしまして、お互いが感情的になった部分もあったし、そのなかでも今後もお互いリスペクトを持ってやっていこうという話をしました。ですので、今はどうという思いはまったくないのですけど、レース前は正直、『絶対に勝ったる!』という気持ちでしかなかった」と太田格之進。

「1コーナーで並んだら、絶対に引かないと決めていたので。初めの1~2周でOT(オーバーテイクシステム)を使い切ってでも絶対に抜くという気持ちでスタートして、僕の方が加速がよかったので、1コーナーで横並びに入って行って、自分の臨む展開になって、前に出れました」と、注目されたスタートについて振り返った。

 一方の野尻、まずは予選会見では自分から「昨日はごめんね」と、太田格之進に声をかけたことの背景を聞く。

「彼も彼で嫌な想いをしたのかもしれないなと自分でも思うし、何か声をかけるべきだろうなと思って声をかけました。僕に関しては勝手に怒って、文句を言っていただけなので。そこで意地を張り合って、周りを巻き込んでは、それは自分たちの責任になってしまうので少しでも声をかける事が大事かなと思いました。これも自分本位な考え方かもしれないですが。スーパーフォーミュラというか単純に選手同士の気持ちというか、それは分かるので、そういったところも含めてです」と野尻。

 レース後にも再び直接、話をした。

「予選会見の時に声をかけたのと同じで、申し訳ないという気持ちと、優勝おめでとうと」と野尻。

「僕としては格之進個人へのわだかまりはありません」と続けた。

 お互いの関係性は修復に向かっているようだが、野尻としてはウォームアップ時のルールについては、課題があることを述べる。

「もう少し、ドライバー間、審査委員会、JAF、それぞれの連携をとって、(ウォームアップ時の)ガイドラインみたいなものを細かくしていく必要があるんじゃないかなと思います。今は結構、漠然としている状態ですので、認識をすり合わせないといけないなと思います。昨日の件も、やはりお互いの認識が違うので、それが競技として、まだ未熟な部分があるのかもしれないかなと思いました」と野尻。

 その提言とはまた別に、レースでの太田格之進の走り、パフォーマンスには素直に賛辞を贈った。

「スタートでは彼の方が前に出ていましたし、僕の方も右の1コーナー(で太田格之進がイン)だったので、どう考えても僕に先に入る権利はないなと思いました」

「(格之進の走りは)純粋に手の届かないところに行ったなと、心の底からそう思っていました。自分のレースをするのも厳しかったですけど、かなり遠くに(格之進の)背中がありましたし、なかなか、あの走りはできないなと。シンプルにドライバーとしてああいうレース展開、そして2日連続優勝はできないなと思いました。心の底からドライバーとしての速さ、強さをものすごく感じました」

 ふたりの感情がぶつかり合い、レースでもフロントロウから1コーナーに並び入るというスリリングな展開が見られた今週末の野尻と太田のコース内外でのバトル。それがよかったのか否かは受け止める側で異なるだろうが、いずれにしてもドライバーがどんな気持ちでレースに挑み、そして戦っているのか。そのプライドと譲れない気持ちの強さは今回、多くのモータースポーツファンに伝わったのではないだろうか。

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