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【スーパーGT】サクセスウエイトをどう積むか? 悩み抜いた末にスバルが編み出した“最適解”

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【スーパーGT】サクセスウエイトをどう積むか? 悩み抜いた末にスバルが編み出した“最適解”

 スーパーGTには、レース成績に応じてウエイトの搭載を義務付ける “サクセスウエイト”(昨年までのウエイトハンデ)システムが導入されており、それがチーム間の拮抗した争いに一役買っている。

 しかし、このシステムがどのように搭載されているのかについては、あまり知られていないのではないだろうか? motorsport.comはこの度、GT300クラスで61号車SUBARU BRZ R&D SPORTを走らせているR&D SPORTに話を聞いた。

■【スーパーフォーミュラ】ホイールの“バランスウエイト”に銀色のベール。その意図とは?

 本題に入る前に、サクセスウエイトに関する基礎的なレギュレーションをおさらいしておこう。スーパーGTでは、各車両のシリーズ累計得点を基にウエイト搭載義務が課せられる。GT500車両は1ポイントあたり2kg、GT300車両は1ポイントあたり3kgのウエイトを搭載しなければいけない。すなわち、GT500の開幕戦ウイナーは40kg、GT300の開幕戦ウイナーは60kgのウエイトを積んだ状態で第2戦を迎えるということになる。また、第7戦はGT500が1ポイント1kg、GT300が1ポイント1.5kgのウエイトに半減され、第8戦(最終戦)はノーウエイトのガチンコ勝負で行なわれる。

 ウエイトの上限は両クラス共に100kg。GT500ではサクセスウエイトが51kg以上となった場合、50kg以下の車載ウエイトと燃料流量リストリクター径の調整を組み合わせた形での運用となるが、GT300では上限までウエイトを車両に積んでいく形となる。

 そんなサクセスウエイトだが、実は形状の指定はなく、素材(鉛または鉄)と比重(鉛は11.3~11.4、鉄は7.8~7.9)だけが指定されている。過去には鉛製の定型サイズのウエイトで指定されていたこともあったが、現在はチームやメーカーが自由な形状のウエイトを独自に採用することができる。また搭載位置に関しては、GT300では50kgまでがアシスタントシート部、51kg以上が自由(FIA-GT3車両についてはGTAが搭載位置を指定)となっている。

 今回取材したスバルは、ウエイトの素材に鉄をチョイスし、これらを自社で製造している。取材時のサクセスウエイトが48kgとなっていた61号車の助手席部分を見せてもらうと、クールスーツ用の機材などがあるのは確認できるが、ウエイトらしきものは見当たらない。彼ら曰く、ウエイトはこれらの機材の下、パイプフレームの隙間に埋め込まれているため、基本的には外から見えないようになっているという。

 スバルは自社製造できる強みを活かし、ウエイトを様々な形に切り出してあるそうだ。そんなウエイトの一部と、企業秘密だというウエイト配置が書かれた手書きのメモを見せてもらった。詳しい配置に関してはここではお伝えできないが、パイプフレームの形状に合わせる形で、様々な形状の鉄板を複数積み上げたり、並べたりしており、搭載ウエイト量によってこれらを微調整しているようだ。

 前述のようにこのウエイトは最大100kgまで積まれるため、車両の運動性能に大きな影響を与えるのは想像に難くない。そんなウエイトを搭載するにあたっての方針について、スバルの小澤正弘総監督は次のように語ってくれた。

「低いところに積む、というのが基本です。ただ、ウエイトが重心位置から離れてしまうと、ロールモーメントが大きくなってしまいます。ロールモーメントとは、クルマが右、左にロール(傾斜)する時の慣性力です。当然、重心位置から離れたところに重量物があると慣性力は大きくなってしまうので、なるべく重心位置に近いところで、なおかつ低い位置で、というところを意識しました」

 前述の通り、GT300ではサクセスウエイトが51kg以上となると、その搭載位置が自由となる。かといってスバルでは51kg以上に達した時点でも搭載位置を変えるようなことはない。当初はアンダーパネル全体を丸々鉄に置き換えてウエイトとして扱うというアイデアもあったようだが、モーメント計測を行なった結果、それが最適解ではないという結論に至ったという。

「クルマにはロール軸があるので、そのロール軸に(ウエイトを)近付けておくという考え方も理に適っていると思います。クルマがロールする時の軸のど真ん中に置いてしまえば、重量による慣性分がなくなり、ロールするスピードが重さによって変わらなくなります。ただ、そうすると前後に長く置くことになるので、ピッチング(前後)方向の慣性力が大きくなってしまいます」

 各チームが様々な趣向を凝らし搭載するサクセスウエイト。小澤総監督は現状の搭載方法について「ほぼほぼベストな状態だと思います。今考えられる最適解がこれです、という感じです」と話していた。

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