944に興奮を追加したターボチャージャー
1981年のル・マン24時間レースは、ポルシェ944のマーケティングとして理想的な戦績といえたが、市販仕様の944 ターボの発売は4年後。それでも、ひと足先に1981年のドイツ・フランクフルトで発表された自然吸気の944には、熱狂的な反響があった。
【画像】クラス最高水準の大人なグランドツアラー ポルシェ944 ターボ FRの924から928 最新911も 全121枚
ワイドでたくましいスタイリングと、ポルシェ独自のエンジンを搭載することへ、多くのクルマ好きは惹き付けられた。8バルブのエンジンは165psで、同時期のマツダRX-7や三菱スタリオンなどに、大差を付けるほどの速さではなかったが。
自然吸気の944へ試乗した当時の自動車雑誌、ロード&トラック誌は、印象を次のようにまとめている。「性能も燃費も、ポルシェ924 ターボより優れるとは主張されていません。主な違いはイメージと、更なる進化の可能性でしょう」
そして1985年、満を持して944 ターボが登場。AUTOCARは早速試乗し、「自然吸気の944も有能なスポーツクーペですが、ターボには興奮が追加されています」。と肯定的に紹介している。
2.5L 4気筒エンジンにターボを組むことで、最高出力は223psへ上昇。最大トルクは、20.8kg-mから33.5kg-mへ強化され、0-100km/h加速は7.4秒から6.0秒へ縮められた。大幅な性能アップにより、3.2Lフラット6のポルシェ911へ接近したともいえた。
カップカーがベースの最終進化形 ターボSE
同時に、サスペンションのスプリングとダンパー、アンチロールバーも改良。フロントのウイッシュボーンとリアのトレーリングアームは、スチールの溶接からアルミの鋳造へ変更された。操縦性のバランスが磨かれ、走りは見違えて良くなっていた。
当時のAUTOCARは、続けてこうまとめている。「ポルシェは、944 ターボが911の販売にどんな影響を与えるのか、懸念しているに違いありません」。それから40年が過ぎた今では、これが杞憂に過ぎなかったことは明らか。911は、好調に売れ続けた。
944の最終進化版、ターボSEが登場したのは1988年。その時も、911との関係性には注目が集まった。ワンメイクレースを戦うカップカーをベースに、ポルシェ928のブレーキを流用。調整式ダンパーに、ハードなスプリングとアンチロールバーが組まれた。
新しいターボも採用し、最高出力は250psへ向上。リミテッドスリップ・デフがパワーを受け止め、0-100km/h加速は5.7秒を達成している。最高速度は260km/hに届き、スーパーカーの領域へも迫った。
1989年には、通常の944 ターボは同等の仕様へアップデート。今回、ポルシェ・ミュージアムからお借りしたシャンパン・ゴールドの1台も、まさにそれに当たる。向かうのはアルプス山脈の北側、ドイツ・シュヴァーベンのワインディングだ。
高水準なグランドツアラー 大人な安楽さ
ドアを開きシートへ身体を沈めると、快適な運転姿勢を見つけにくい。1985年の944 S2からステアリングホイールの位置は若干持ち上げられたが、座面の位置が高く、太ももの上へ伸びている。シートを後ろに設定し、腕を伸ばすスタイルが良いようだ。
2.5L 4気筒エンジンを始動させると、落ち着いたアイドリングが始まるまで、かなり回転が荒っぽい。それでも、バランサーシャフトは巧妙。数kmほど進み全体が温まると、質感は滑らかになっていく。
速度を高めると、当時の基準でなくても、高水準なグランドツアラーだという特徴が滲み出てくる。アクセルペダルを傾ければ、ターボエンジンが遅れることなくパワーを生成。5速MTのどのギアでも、強力にクーペボディを押し出す。
カーブでは、同年代の911より明らかに扱いやすい。乗り心地も、今の基準で判断しても褒められる。この安楽さが大人な感じで、944 ターボの大きな魅力といえるだろう。
筆者は3.0L 16バルブの944 S2へ、以前に長時間試乗したことがある。それと比べると、944 ターボの方が運転体験はモダンだとも感じた。
ドライバーを育成した当時のクラスリーダー
ちなみに、このポルシェは若手ドライバーを数多く育成してもきた。同社のワンメイクレース、ターボ・カップは1986年に944 ターボでスタートしている。マシンは量産車と内容が近く、ドイツ・ネッカーズルムの工場で並行的に生産された。
ターボ・カップは高い人気を誇り、ドイツだけでなくフランスや南アフリカ、カナダ、アメリカでも開催。944 ターボの公道用モデルの技術開発にも、大きな貢献を果たしている。1990年代からは、911の市販車ベースへシリーズは変化しているが。
フロントエンジンでトランスアクスルのポルシェは、968を最後に終わってしまう。しかし、924の登場から半世紀が過ぎた今、再評価すべきクラシックだといえる。当時のクラスリーダーといえる水準へ、944ターボが進化していたことは明らかなのだから。
協力:ポルシェ
撮影:ローマン・レッツケ(Roman Ratzke)
ポルシェ944 ターボ(1985~1991年/欧州仕様)のスペック
英国価格:3万9893ポンド(新車時)/3万5000ポンド(約762万円/現在)以下
生産数:2万5245台(944 ターボ合計)
全長:4290mm
全幅:1735mm
全高:1275mm
最高速度:260km/h
0-97km/h加速:5.7秒
燃費:6.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1347kg
パワートレイン:直列4気筒2479cc ターボチャージャーSOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:250ps/6000rpm
最大トルク:35.6kg-m/4000rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
“予約殺到”で5万台のバックオーダーを抱えたスズキ新型「ジムニーノマド」が発表5日で受注停止! ネットではどんな反響が集まっている?
発表5日で受注停止! 瞬時に5万台のバックオーダーを抱えたスズキ新型「ジムニーノマド」はいつ買える? じつは“意外や早く受注再開”されるかもしれない その理由とは
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
ジムニー5ドア注文殺到!? 逆に「ジムニー3ドア」買いでしょ!→見積ってみた結果は?
怖すぎ!? 高さ4m「巨大つらら」発生でクレーン車が出動 国道の「ループ橋」で緊急除去作業へ SNSでは「作業ありがとうございます」感謝の声も
高速道路を「トラック横並び完全封鎖」で渋滞…むかつく風景が日常茶飯事な「意外な理由」とは? 逆に嫌がらせしたら「免許返納」レベル! 思わぬ「うっかり交通違反」にも注意
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
インテグラなのにおっさんセダン! マークXなのにFF!! 名前は「名車」中身は「迷車」なクルマ4選
発表5日で受注停止! 瞬時に5万台のバックオーダーを抱えたスズキ新型「ジムニーノマド」はいつ買える? じつは“意外や早く受注再開”されるかもしれない その理由とは
首が折れるかと思うほどのロケットダッシュ! EVって軒並みもの凄い加速力だけど公道でも本当に必要?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
ケイマンやパナメーラより良い