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フェラーリ製V8をお手頃価格で! マセラティ・グランスポーツ UK中古車ガイド お安いだけの「理由」アリ?

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フェラーリ製V8をお手頃価格で! マセラティ・グランスポーツ UK中古車ガイド お安いだけの「理由」アリ?

フェラーリのV8エンジンへ400万円で乗れる

筆者が今この記事をまとめている時点で、人気色のブルー・メディテラネオをまとった2007年式マセラティ・グランスポーツが、約2万ポンド(約400万円)で売りに出ている。販売店は英国では評判のいいディーラーで、走行距離は4万8000kmほどだ。

【画像】フェラーリ製V8をお手頃価格で! マセラティ・グランスポーツ 先代シャマルと最新グラントゥーリズモ MC20とMC12も 全148枚

エンジンはフェラーリ由来の4.2L V型8気筒。インテリアは上質なレザーで仕立てられ、小さなリアシートも備わる。最高出力は400psで、0-100km/h加速は4.8秒と、今でも充分に速い。なんと魅力的に映るクルマなのだろう。

2006年のAUTOCARは、次のように評価している。「とても刺激的で速い。ステアリングは驚くほどクイックで、スポーツモードを選べばフラットにコーナリング。グリップ力は凄まじく、高回転域まで引っ張れば、信じられない加速を披露します」

「マラネロ由来のエンジンが心地よいサウンドを耳へ届け、上質なインテリアは肌触りが素晴らしい。交通量の少ないワインディングを駆け回るなら、これほど訴求力の高いモデルは、他に殆ど思い浮かびません」

もちろん、甘美な体験が安く手に入るのだから、危険な罠も存在する。維持費は間違いなく高い。信頼性は疑わしい。維持する上で欠かせないスペアパーツは、入手が難しくなっている。思わず手を伸ばしたくなるお値段には、相応の理由があるのだ。

マセラティ・クーペの高性能仕様

2004年に発売されたグランスポーツは、4200GTの後継モデルに当たる、マセラティ・クーペの高性能仕様として設定。10ps引き上げられた最高出力は、カンビオコルサと呼ばれる6速セミ・オートマティックを介して、後輪へ伝えられた。

僅かに車高が落とされた、スカイフックと呼ばれるアクティブ・サスペンションで姿勢を制御。エグゾーストも専用品で、スポーツ・モードでは聞き惚れるような美音を奏でた。

差別化のため、前後のバンパーとサイドスカート、リアスポイラーなどは新規にデザイン。フロントグリルはクロームメッキのメッシュ仕上げになり、19インチのトロフェオ・アルミホイールが足元を引き締めている。

アンダーボディには、気流を整えるパネルを装備。空力特性を改善させている。

インテリアは、センターコンソールがカーボンファイバー製に。豪華なスポーツシートが、ドライバーを優しく包んだ。

グランスポーツには複数の特別仕様が存在するが、特に有名なのは、2005年のFIA GT選手権でマセラティMC12が勝利したことを記念したMCビクトリー。2006年に発売されている。

最高出力は変わらないものの、ステアリングがさらにクイックになり、ダウンフォースは増加。カーボンファイバーが、より広範囲に用いられている。かなり希少ながら、英国では2007年式が5万7000ポンド(約1140万円)で売りに出ていた。

珍しい2シーターのスパイダーも

マセラティ・グランスポーツには、非常に珍しいコンバーチブルのスパイダーもあった。全長はクーペより229mm短く、リアシートは備わらない。ただし、こちらの試乗レポートの内容はクーペほど良くなかった。

その理由の1つが、同時期のポルシェ911と比較して、実用性が劣ったこと。また、サスペンションを1番ソフトにしても、タイヤへ強い入力が加わると、不自然にボディが震えたことも印象を下げた。コーナーでは、不安定になるほどだった。

とはいえ、希少性はマセラティの魅力の1つ。しっかり状態を確かめて、選ばれしトライデント・クラブの仲間入りを果たすのも悪くないだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

スタイリングに手が加えられ、エレガントさは多少損なわれた。しかし、グランスポーツは最高のマセラティ・クーペだ。歴代で初めて、連続するカーブを積極的に駆け回ることが可能になった。エンターテインメント性も素晴らしい。

ポルシェ911ほど、完成度は高くない。しかし、興奮度ではこちらが上。しかも、遥かに高級感は高い。(2004年9月7日)

オーナーの意見を聞いてみる

マット クラーク氏

「これまでに、3台のグランスポーツを乗り継いできました。多少は詳しいといえます。エキゾチックな見た目で、サウンドも素晴らしい。賢明な買い物だと思いますよ」

「普通に走っているぶんには大丈夫ですが、渋滞時は注意が必要です。低速走行を続けると、クラッチが壊れてしまうんです。丁寧に乗れば、6万kmくらいは使えます。しかし、1台は2万kmでクラッチがダメになりました」

「部品は高価で、トランスミッション用ポンプ1つで850ポンド(約17万円)します。ただし、実はアルファ・ロメオのセレスピードと同じユニット。これを選べば130ポンド(約3万円)で済みます。故障しても、ネット上の沢山の知識が支えてくれるでしょう」

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

スペアタイヤ・ハウジング内が湿っていないか確かめる。トランクリッドやテールライトの周辺、ホイールアーチの内側に、サビがないか観察したい。

アルミホイールは、リムの内側に細かいヒビが生じやすい。ライトユニットなどの交換部品は、ほぼ流通していない。スパイダーでは、ソフトトップの開閉が滑らかか、実際に試してみる。雨漏りにも要注意。

エンジン

定期的なエンジンオイルとフィルターの交換は不可欠。カムカバー・ガスケットからオイル漏れがないか観察したい。

オルタネーターや温度センサー、スターターモーターの接触不良など、様々な原因で始動性が悪い場合がある。アイドリング時の油圧は、温まった状態で2.5barが正常。2000rpmでは、5.0bar程度まで高まる。

トランスミッション

フルードは定期的に交換したい。オートモードは穏やかに運転するようチューニングされており、アクセルペダルを深く踏まないとキックダウンしない。スポーツモードの方が、扱いやすく感じるかも。

オートダイナミクス社の、ドライブバイワイヤ・モジュールをインストールすると、調子が良くなるというオーナーもいる。1速から2速への変速が滑らかか、リバースに入れるとドアミラーの角度が変わるか、試乗で確かめたい。

トランスミッション用ポンプは、動作時にノイズを出す。クラッチの寿命は、専門ガレージで予め確認してもらうと安心だ。

サスペンションとブレーキ、ステアリング

高速走行時も安定しているのが正解。スカイフック・サスの修理は、専門的な知識が必要になる。ステアリングホイールの違和感は、フロント・コントロールアームやリア・タイロッドベアリングの不調が原因のことも。

ブレーキディスクとパッドの残量を確認しておく。始動後に、ABSの警告灯が消えることも要確認。純正の指定タイヤは、かなりお高い。

インテリア

バッテリーが生きているか、エンジンの始動後に警告灯がすべて消えるか、冷静に確かめる。ステアリングホイールを巻くレザーは傷みがち。

ヒーターマトリックスの詰まりで、フロントシート側のフロアが濡れる場合がある。ステレオが不調になる原因でもあるようだ。

知っておくべきこと

スカイフック・サスは、空から吊り下げられたような、フラットな乗り心地を目指した技術。ボディの傾きやブレーキ、スピードを監視する、6基のセンサーの信号をもとに、ダンパー内の高速バルブを個別に制御している。モードで硬さも変化する。

カンビオコルサと呼ばれるセミATは、ステアリングホイール裏のパドルで変速も可能。スポーツ・モード時は反応が鋭くなる。同時にエグゾーストノートも大きくなる。

英国ではいくら払うべき?

1万6000ポンド(約320万円)~1万9999ポンド(約399万円)

整備履歴がしっかり残った、個人売買のグランスポーツを英国では狙える価格帯。どれも状態は悪くないようだ。

2万ポンド(約400万円)~2万9999ポンド(約599万円)

走行距離が6万km前後まで伸びた、特別仕様を探せる価格帯。

3万ポンド(約600万円)~3万9999ポンド(約799万円)

珍しいグランスポーツ・スパイダーは、この価格帯に含まれている。

4万ポンド(約800万円)以上

特別仕様のグランスポーツ MCビクトリーをお探しなら、英国ではこの価格帯まで奮発が必要。

英国で掘り出し物を発見

マセラティ・グランスポーツ LE 登録:2007年 走行距離:3万5400km 価格:2万7950 ポンド(約559万円)

マセラティの正規ディーラーによる、整備記録が完璧に揃った1台。現状の不具合は1つもないという。定期的に運転され、屋根付きの車庫に保管されてきたそうだ。レザー張りの天井と、キセノン・ヘッドライトがLEグレードの証。

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みんなのコメント

3件
  • uwv********
    カンビオコルサは、3万キロでクラッチO.H.でディーラーだと80万円くらいかかる。クラッチポンプ流用出来てもたかが知れてる。あとこの頃マセラティは、すぐに室内のプラがベトベトになる。
    前に中古で買ったけどちゃんと整備すれば案外壊れないで普通に乗れる。
  • Ponta
    この頃のフェラーリV8 4.2Lエンジンは、とても複雑な可変バルブタイミングシステムを採用していて、とても壊れやすいことで有名。
    安いからと手を出すと、ほとんど乗れない上に100万円単位の修理費用が掛かるという悲惨な目に合う確率が高い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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