9代目となる新型スズキアルトが2021年12月に登場したが、その魅力はなんといっても高いコストパフォーマンスだ。ベーシックグレードとなるAは、なんとメーカー希望小売価格は94万3800円と100万円を切っている。
最近のターボ付き軽ハイトワゴンは、装備の充実と引き換えに200万円以上の価格が目立つだけに、このプライスは衝撃的だ。
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アルトの登場は販売現場に一石を投じることができるのだろうか?
文/小林敦志、写真/Suzuki、ベストカー編集部
■驚愕の100万円切り!! 新型スズキアルト
2021年12月に登場した9代目となる新型スズキ アルト。ベーシックグレードで100万円を切るという価格を打ち出してきた
2021年12月10日に、9代目となる新型スズキアルトがデビューした。初代がデビューしたのは1979年5月。若い世代には記憶にないのは当然であるが、“アルト47万円”という、当時でも破格と言っていい格安価格が話題となり大ヒットしている。
初代アルトは“軽ボンネットバン”にカテゴリーされる、4ナンバー商用車となっていた。当時存在していた物品税が軽乗用車にも課税されたのだが、商用車では非課税ということにスズキが目をつけ、初代アルトが誕生した。
当時はファーストカー(最初に購入するマイカー)需要が乗用車の一般購入ではまだまだ多かったのだが、47万円のアルトの登場で“セカンドカー需要”の掘り起こしにも成功した。
おもに家庭の主婦の移動手段としての需要をねらい、メインカラーも軽ボンネットバンでありながら、ソリッドレッドであった。テレビCMはパリで撮影されたオシャレなものもあり、若い女性の需要も狙っていたようである。
初代アルトの登場は、当時スズキ以外で軽自動車を生産していたダイハツ、スバル、三菱を慌てさせ、ライバルメーカーからも、アルトのライバル車が続々登場した。
そのアルトの現行9代目は、初代に原点回帰したかのような、“コストバリュー”の高い軽自動車に仕上がっていると登場直後から話題となっている。
ベーシックグレードのA 2WDの税込みメーカー希望小売価格は94万3800円。見た目は無塗装の黒いドアハンドルや、スチールホイールむき出しとなり、カラードバンパーとなっているものの、初代を彷彿させるイメージになっている。
ただ、現行アルトはいまのところ、伝統的にラインナップされていたバン仕様の設定はない。
■ベーシックグレードでも安全装備は充実
新型アルトのベーシックグレードとなるAグレード
注目すべきは、このAグレードでも、最上級のハイブリッドXと同じく、デュアルカメラブレーキサポート、誤発進抑制機能、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能、リアパーキングセンサー、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、エマージェンシーストップシグナル、ヒルホールドアシストといった、安全運転支援装備が標準装備となることである。
さらにAグレードでは、マニュアルエアコンやパワーウインドウ(フロントのみ)まで標準装備となっている。ただし、Aについては後部ドアのガラスは開閉機能なしの固定式となっており、初代のような割り切りの良さを強く感じる装備内容となっている。
さらに現行アルトでは、最上級のXやその次のSでは、マイルドハイブリッドエンジンを搭載し、買い得のLやAではエネチャージエンジンを搭載しているところも注目された。
同じスズキであっても、スペーシアやハスラーなど、他の軽自動車よりも、さらにコストを意識して開発しなければならないモデルなのに、全車安全運転支援デバイスの充実や、コストのかかる、マイルドハイブリッドユニットを一部グレードながらラインナップしてしまったところを、“スズキマジック”と表現するひともいた。
先ほどから紹介しているAの2WDのメーカー希望小売価格は94万3800円。
1979年当時の1万円をいま換算すると、約2倍程度といわれるが、大卒公務員の初任給も2倍強になっていることをベースに考えると、47万円の2倍は94万円となるので、ほぼ1979年当時の47万円相当が現行アルトAグレードの価格になっているともいえる。
オーディオ(カーナビ)がオプションになるのも初代と同じだが、エアコンや各種安全運転支援デバイスが標準装備になり、電動ユニット(エネチャージ)を搭載することを考えると、初代アルトよりお買い得になっているといってもいいだろう。
■あのライバル車と比べてみる
新型アルトのライバルとなるダイハツ ミライース。そろそろモデルチェンジを控えていると思われるが、新型アルトを意識した内容となるか
アルトのライバルといえば、ダイハツミライースとなる。こちらのベーシックグレードとなる“B SAIII(2WD)”のメーカー希望小売価格は92万6200円。アルトのAより1万7600円安くなっている。
Bにはスマートアシストのレス仕様もあるが、スマートアシストIIIやエアコンなど、アルトのAと同等の装備内容となっているので、ここまでのアルト対ミライースのベーシックグレード対決では、ミライースのほうがさらに買い得に見えてしまう。
それでは、ミライースは一般的なガソリンエンジンを搭載しているので、燃費対決では……、と思いWLTCモード値で比較すると、0.2km/Lアルトのほうが勝っている。
ただし、WLTC市街地モードでは2.1km/Lアルトが勝っているが、同郊外モード、高速道路モードではミライースが勝っていたので、ほぼ引き分け(リアの窓ガラスが開く分イース有利?)とするのが現状といっていいだろう。
しかし、現行ミラ イースは2017年にデビューしているので、そろそろモデルチェンジを控えている。
新世代DNGAプラットフォームを採用する次期型で、エネチャージもしくは、それ以上の電動ユニットを搭載したとして、現行アルトと同等の価格設定を維持できるかどうかとなったときに、初めて両車の決着がつくことになるだろう。
ただ、ラインナップ全体をみると、マイルドハイブリッドユニットまで用意しての、新型アルトの価格設定は衝撃的なものであった。
実際、売れ筋になると思われるお買い得グレードで見積りをとると、若干だがアルトの方が支払総額は安くなっていた(マイルドハイブリッド仕様ではない)。どちらにしろ、スズキ、ダイハツともにライバルの動向を小まめにチェックしている様子がうかがえる。
最近の新車販売現場をみていると、他メーカーライバル車の動向をあまり意識しないセールスマンが目立つのだが、スズキとダイハツディーラーでは、お互いの動向をしっかりトレースしている様子がうかがえる。登場したてのアルトと、モデル末期のミライースでは、値引き額に開きが出てしまう。
そこで、スズキはアルトに限定はしていないが、1.9%超低金利ローンの期間限定設定や、カーナビなどオプション用品の値引きなどを積極的に行い、値引き額でのミライースとの差を埋めようとしている。
一方のダイハツでは低金利ローンの期間限定設定などはスズキに比べれば限定的となっている。スズキで残価設定ローンを組むと、メンテナンスパックが標準付帯されるので、あるダイハツ系ディーラーでは、メンテナンスパックを無料サービスしていた。商品情報だけでなく、相手の値引き条件などの情報収集にも余念がないようだ。
■原点回帰!! 軽自動車の価格が注目される!?
高額化が進む軽自動車に新型アルトが一石を投じるか
いま、新型アルトのような本来の“価格訴求”型の軽自動車に注目すべきではないかと考える。
例えば、スズキで売れ筋の軽自動車“スペーシア”のカスタム仕様の“ハイブリッド XS ターボ 2WD”のメーカー希望小売価格は188万3200円。アルトAの約2倍である。
アルトの量販グレードとされる、Lのアップグレードパッケージ装着車は113万800円となり、これにカーナビなど必要最低限のオプションを装着した支払総額は約150万円。しかし、売れ筋のハイト系カスタムモデルでは、支払総額で250万円以上になるのも珍しくない。
つまり、同じ軽自動車でも“格差”が広がっているのである。もちろん、年齢、性別など軽自動車ユーザーの多様化が進んでいることが反映されているのだが、軽自動車とひとくくりにすると、ハイト系カスタムモデルばかりが目立ち、「軽自動車もぜいたく品になってきた」と思われがちになってしまう。
そのようななかで、改めて新型アルトをみると、“軽自動車のなかでもカテゴリー分けすべきだ”というようなメッセージがあるようにも見えてくる。
例えば車両価格で120万円ぐらいを目安として軽自動車を二分して、120万円以下の軽自動車については、より税制面や保険料などで優遇してみるというのはいかがだろうか。
さらに電動ユニット(エネチャージ的なものや、マイルドハイブリッド、ハイブリッドなど)を搭載していれば優遇が広がるというようにしてもいいだろう。
660ccという小排気量の軽自動車で様々な機能が装着されるというのは日本ならでは。だからこそこの独自のジャンルを活かせるような工夫が必要だ
それほど所得に余裕がなくとも、生活のためにクルマが必要な人や、複数保有しなければならないという人もいるはず。
660ccという小排気量エンジンを搭載しているにも関わらず、オートエアコンや自動変速機が当たり前のように装着されるのは日本の自動車産業でしかできない“技”である。ただ、豪華絢爛からベーシックまで、ニーズの広がりを受けて軽自動車も肥大化してしまったという印象はぬぐえないだろう。
あまりに豪華路線ばかりが目立てば、政府は新型コロナウイルス対策で世界的にも類を見ない財政出動をしているので、感染が収束すれば増税という話になる、そのなかに軽自動車も巻き込まれかねない。
つまり、軽自動車の維持費負担の増大や、逆に登録車で排気量1000cc未満車の税負担などを軽減し、軽自動車も同条件(つまり維持費負担増大)にすべきといった論議が熱を帯びてしまう不安がさらにつきまとってくることになるだろう。
アルトが初代へ原点回帰するだけではなく、軽自動車全体の中で“原点回帰カテゴリー”を創設してみるのはいかがだろうか。
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