東京オートサロン
先代モデルの「マークX GRMN」は2015年に発売されたが、限定100台で、あっという間に完売。「欲しかったけど買えなかった」というユーザーも多かったのだろう、東京オートサロン2019で発表された新型マークX GRMNは本日より全国のGRガレージで注文受付けが開始された。今回は限定350台で、価格は513万円。その2019年モデルとなる「マークX GRMN」に、ひと足早く試乗できたので、お伝えしよう。
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マークXをベースにニュルブルクリンクを知るマイスターたちがチューニングした究極のスポーツセダンがこの「マークX GRMN」だ。街中からサーキットまで、あらゆる場面で究極のドライビングを楽しんでもらおう、という狙いで、ボディ剛性まで手を入れて生産されている。ちなみに生産は元町工場のインラインで製造される。
チューニングポイント
エンジンは3.5L・V6の自然吸気で318ps(234kW)/6400rpm、380Nm/4800rpmの2GR-FSEに6速のマニュアルミッションを搭載。先代のマークX GRMNは321ps/380psだったので、ほぼ同等。だが最終減速比は4.083から3.615へとハイギヤード化されているので、先代からのキャリーオーバーではあるが、トータルでのバランスの見直しをしているわけだ。
ECUに関しては標準車と同じものだというが、応答性を上げる制御変更をしているので、乗り味としては大きく異なる。またエンジン音もチューンドカーらしいサウンドがあるので、スポーツドライビングへの意気高揚がある。
サスペンションでの注目は、形式には変更なくフロントがダブルウイッシュボーンで、スイングバルブを使ったKYB製のショックアブソーバーを採用。ごくごく微低速域での減衰を上げつつ、ピストンスピードの速い時でもしっかり減衰するように最適チューニングが行なわれている。
もっとも大きな変更点と言えばボディ剛性だ。自動車メーカーだからこそ可能なスポット溶接のポイントを増やし、剛性を上げている。先代にも増して今回は開口部を中心に運転席の下など、各部に念入りなスポット増しを行ない、252ヵ所におよぶ増点を行なっている。
こうしたボディのチューニングに伴い、サスペンションの見直しはもちろんだが、電動パワーステアリング、VSC制御の見直しも行なっている。
ブレーキは先代でも好評だった18インチの2ピースローターを採用し、ホイールはBBSの鍛造アルミ19インチホイールに前後異サイズのタイヤを装着している。
また話題になったカーボンルーフは今回メーカーオプション(税込27万円)とし、標準ルーフも設定した。差異重量は10kgだ。
デザインパーツ
エクステリアはフロントバンパーなど光輝部品加飾のダーク化、4本出しマフラーをはじめ、リヤスポイラー、ホワイト塗装のブレーキキャリパー、など専用部品を装着している。
内装ではカーボン調加飾とピアノブラック塗装を組み合わせたインスツルメントパネル、ウルトラスエード表皮の専用スポーツシート(豊田紡織製)などブラックを基調としてデザインされている。また、先代との変更点ではシフトレバーやステアリングに採用していたウルトラスエードがレザーに変更している。
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試乗レポート
試乗は千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイというサーキットで、コンディションはヘビーウエット。
ピットロードを出てゆっくりコースインしたがすぐに、ステアリングの軽さが伝わってくる。先代からの変更点のひとつにステアリングやペダル類の操作系は軽めに変更したという。しかし、こうした路面状況では、もう少し手応えのある操舵フィールでもいいのではないかと感じながら、速度を上げていく。
ヘビーウエットなのでVSCを入れたまま走行するが、意外にも介入は遅く、何も操作しなければスピンしそうなほどクルマは横を向く。この介入タイミングも今回見直しをした部分であり、多少のスライドは許容する制御に変更されたわけだ。腕に自信のある人やドリフト走行を楽しみたい人はVSCをカットが可能だ。
クラッチペダルも同様に軽く、とてもハイパフォーマンス車のペダル踏力と反力とは思えないほどで、極端に言えば普通のクルマと変わらない気軽さがある。反対にブレーキタッチは剛性感がしっかりとあり、サーキットなどでは安心感につながる。またアクセルレスポンスも軽く、高応答とした効果が表れていた。サーキットを丁寧に走行すると、ライントレース性も高く微小舵のステア操舵にも良く反応する出来栄えだ。
個人的にはもう少しステア応答性はスローでいい気もしたが、操舵の軽さと動く量とのバランスなので、今回のコンディションだけで判断するのは難しかった。
新型のマークX GRMNのサーキットでのトータルの印象は、欧州の高性能モデルのような、どっしりとした重厚感からくる「いいモノ感」というより、軽快さや振り回して楽しむようなクルマの印象だった。サスペンションやボディ剛性などは欧州車ライクで「いいモノ感」があるのに対して、ステアリング操舵感やペダル操作は軽量級の印象となっており、ニュルマイスターの狙いはどこにあるのか、もう少し探ってみたいと感じたテスト試乗だった。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
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