ポルシェ新車は911のなかで最も安いカレラが1398万円、718ボクスターが812万円、718ケイマンが773万円、最も安いポルシェのマカンでも737万円だ。
しかし中古車となれば話は違うだろう。さっそく中古車検索サイトを見ると50万円のカイエンから、200万円ぽっきりで買えそうな911もあった。
でもこうした格安系ポルシェは本当に買っても大丈夫なのか? 買ったはいいがあとあと大変……ということにならないのだろうか?
文/谷山 雪、写真/ポルシェ
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■憧れのポルシェを200万円以下で買う!
2代目のボクスター。初代ボクスターは登場からかなりの年月が経過しており、中古車価格200万円台で考えると、現実的なモデルといえそうだ
いわゆる「普通の中古車」はけっこう高いわけだが、「格安系中古車」であれば、911の場合で車両価格190万円ぐらいから、初代ボクスターの場合は80万円ぐらいから、SUVの初代カイエンに至ってはなんと車両価格50万円(!)から見つけることもできるのだ。
「50万円のカイエン」というのはさすがに極端だとしても、「車両価格190万円のポルシェ911(総額は200万円ちょいぐらい?)」であれば、額面年収500万円の人でもフツーに買えることは間違いない。
強烈にそう思うか、あくまで「なんとなくそう思うか」は人それぞれだろうが、ポルシェというのは多くの人間に「一生に一度は!」と思わせるだけの魔力があるブランドであることだけは間違いない。
そしてそんな「魔性のクルマ」だけあって、ポルシェというのは端的に言って高価である。
王道の「911」を新車で買おうとすると、一番安い素のカレラでも1398万円で、しかもこれは車両本体価格に過ぎない。オプション装備やら何やらを含めた総額は、確実に1500万円を超えるだろう。
……500万円前後の平均的な年収を得ている人間からすると「どう考えても無理だ!」と叫ぶほかない支払総額である。
でも中古車なら、いかにポルシェといえどもなんとかなるのでは……と思いながら中古車検索サイトなどを見てみても、1世代前の911でも車両価格は700万円を軽く超えている。
あらためて「……やっぱ無理だ!」と叫びたくなるわけだが、絶叫するのはまだ早い。世の中には「格安中古車」というのもあるからだ。
■問題は「買っても大丈夫なのか?」まずは初代ボクスターを検証
1996年にデビューしたミッドシップスポーツ、986型初代ボクスター。ボディサイズは全長4315×全幅1780×全高1290mm。デビュー当初は204ps/25.0kgmの2.5Lフラット6を搭載
初代ボクスターの中古車情報はこちら!(リンク先)
買ったはいいが、結局は故障続きで多額の修理代が必要になったり、壊れはしないまでもどこか常に微妙に不調で、なおかつ車内がボロくてクサくてたまらない……というのであれば、わざわざ買う意味などない。
実際のところはどうなのか?
「格安中古ポルシェの実相」を探るため、筆者は世を忍ぶ仮の姿で関東各地の格安中古ポルシェを片っ端から(といっても時間が許す範囲で)見て回った。
まずは格安ポルシェの王道路線である初代ボクスター(986型)から。
ご承知のとおり、初代ポルシェ ボクスターとは1996年に登場した、水冷方式の水平対向6気筒エンジンを搭載するオープンモデル。
ポルシェ911が「RRレイアウトの2+2クーペ」であるのに対し、ボクスターは「ミドシップレイアウトの2シーター」となる。
ベースグレードのエンジン排気量は当初2.5Lで、1999年10月から2.7Lに拡大。そしてこのタイミングで3.2Lの「ボクスターS」も追加されている。
1999年モデルからエンジンは220ps/26.5kgmの2.7Lに排気量を拡大。同時に3.2L+6速MTまたは5速ATの「ボクスターS」を追加した
で、そんな初代ボクスターの底値ゾーンは今、おおむね80万~130万円付近。そのあたりのプライスの中古車を見に行くと、その多くはおおむね下記の3パターンに大別できることがわかった(※もちろん日本全国の格安中古車すべてを見たわけではないので、「絶対にこう!」と断言はできませんが)。
●パターン1:内外装がとにかくボロい(ネットの写真ではさほどボロく見えないのだが)。
●パターン2:内外装がとにかくボロくて、なおかつエンジンから妙なうなり音がする。
●パターン3:内外装はまあまあキレイだが、エンジンから妙なうなり音がする。
●パターン4:ボロくない感じだが、車内がなぜかとってもクサい。
……こういった中古車を買っても結局はドツボにハマるか、ドツボにハマらないまでも「あんまり満足できない(安物買いの銭失い)」になることは目に見えているため、よほどの例外がない限りはやめておいたほうがいいだろう。
上記のパターン1~4の傾向は、車両価格160万円前後まで上げていっても(軽度にはなるが)おおむね継続した。
そして「これなら機械の状態と整備履歴も大丈夫そうだし、内外装とニオイの問題もほとんどないかな?」と思える初代ボクスターの価格は「おおむね220万円以上」であった。
もちろん「220万円以上ならすべてOK」というわけではなく、また逆に「220万円未満はすべてダメ」ということも決してないが、ひとつの目安にはしていただきたい。
1996年発売当時のボクスターのインパネ。その後、さまざまな改良を重ねながら2004年12月まで販売された
手を出しても良いと思える格安初代ボクスターのスペックイメージ(あくまでイメージ)は、おおむね下記のような感じだ。
【初代ボクスター】
・2004年式ポルシェ ボクスター(ベースグレード)
・220万円/走行5.7万km/左H/5MT/D車/修復歴なし
■買ってもいい2代目ボクスター、初代ケイマンは?
初代ボクスター比でボディサイズが全長で10mm、全幅で20mm拡大した2代目ボクスター
2代目ボクスターの中古車情報はこちら!(リンク先)
2代目ボクスターからやや遅れて登場したのが、クーペボディの初代ケイマン。シャシーは初代ボクスターを流用しているものの、部品点数の約50%は997型911と共通となった。
初代ケイマンの中古車情報はこちら!(リンク先)
そして2004年11月に販売終了となった初代ボクスターに続いて2004年12月には2代目ボクスター(987型)が発売され、やや遅れて2005年8月にはその2シータークーペ版である初代ケイマン(987c型)が登場した。
それぞれの底値ゾーンは2代目ボクスターが車両150万円~で、初代ケイマンが210万円~といったところだ。
しかしこれらも、底値ゾーンの個体は初代ボクスターのそれと同様に「ボロいかクサいか、またはレザーが擦り切れているか」的な場合が多い。検討対象になり得る個体のスペックイメージは、おおむね下記のとおりとなるだろう。
【2代目ボクスター】
・2005年式ポルシェ ボクスター(ベースグレード)
・260万円/走行4.5万km/左H/5MT/D車/修復歴なし
【初代ケイマン】
・2008年式ポルシェ ケイマンS
・270万円/走行4.5万km/左H/ティプトロニックS/D車/修復歴なし
■200万円以下の911は水冷996型前期モデル
1997年にデビューしたタイプ996。300ps/35.7kgmを発生する水冷3.4Lフラット6を搭載。涙目型といわれたヘッドライトが特徴だ
2002年マイナーチェンジした996後期型。ヘッドライトデザインが911ターボと同形状に変更。エンジンはバリオカムプラスを採用し、3.6Lに拡大、320ps/37.6kgmを発生する
996型911の中古車情報はこちら!(リンク先)
そしていよいよ大スター「911」の登場である。
大スターであるポルシェ911の場合、車両価格200万円レベルで探せるのは当然ながら最近のモデルではない。
かといって往年の空冷モデルでもなく(←むしろこれはかなり高い)、911としては初の水冷エンジン搭載モデルとして今ひとつ人気薄だった996型(3世代前の911)の、なおかつさらに人気薄な前期型カレラ(1998年4月~2001年8月)である。
前期996カレラの搭載エンジンは最高出力300psの3.4L水冷水平対向6気筒で、トランスミッションは6MTまたはATのティプトロニックS。ただし格安中古車の大半はティプトロニックSで、6MTを狙う場合の車両価格は最安でも320万円以上となる。
で、前期型のカレラ ティプトロニックSであれば車両価格190万円付近から探すことはできるのだが……いざ実物を見てみると、これのコンディションも初代ボクスターの底値物件とおおむね同様である。
●内外装がボロい(ネットの写真ではさほどボロく見えないのだが)。
●内外装がボロくて、なおかつエンジンから妙なうなり音がする。
●内外装はまあまあキレイだが、エンジンから妙なうなり音がする。
●ボロくない感じだが、車内がなぜかとってもクサい。
という4パターンのいずれかに該当する場合が多いのだ。
こういった中古車を買ったところで結局は満足できず、満足できないだけならまだしも、納車後にどこかが壊れ(というか、ほとんど交換されちゃいなかった消耗部品が交換時期を迎え)、部品交換の必要が生じるのは目に見えている。
さらにその部品代がポルシェの場合は高額であるため(安価なOEM部品もあるが、それにしたって国産車の部品代と比べればやはり高い)、満足できない車に対して割高な修理費を払うハメになるか、もしくは二束三文で手放す(厄介払いする)ハメになる可能性が高い。
996型911前期型のリアフォルム。ボディサイズは全長4430×全幅1765×全高1305mm
筆者の調査によれば、検討対象になり得ると思えた996型ポルシェ911の価格はおおむね「前期型=290万円以上/後期型=390万円以上」で、それぞれのスペックイメージは下記のとおりである。
【996型カレラ(前期型)】
・2000年式ポルシェ911カレラ ティプトロニックS
・290万円/走行3.5万km/左H/AT/D車/修復歴なし
【996型カレラ(前期型)】
・2004年式ポルシェ911カレラ ティプトロニックS
・390万円/走行3.5万km/左H/AT/D車/修復歴なし
■現実的なポルシェの最低価格は?
コンディションの良い初代ボクスターを探し、最初にしっかりと整備すれば、乗り出し価格200万円台でポルシェオーナーになれるかも!?
以上、あくまで「筆者が見た限りでは」という話ではあるが、ここまでの情報を整理すると下記のとおりとなる。
【現実的な格安ポルシェの最低価格イメージ】
●初代ボクスター|220万円
●2代目ボクスター|260万円
●初代ケイマン|270万円
●996型911(前期)|290万円
●996型911(後期)|390万円
上記は車両本体価格であり、実際に購入するにはこのほかに「諸費用」もかかるため、リアルな最低総額は「初代ボクスターで250万円ぐらい、911だと320万円ぐらい」ということになるはずだ。
そのため、本稿のタイトルは「200万円ぽっきりのポルシェが云々」というものをつけているが、結論は「残念ながら200万円ぽっきりではやっぱ無理でした!」ということになる。申し訳ないとは思うが、これが現実である。
だがコンディション良好な初代ボクスターであれば、最初にビシッと納車整備を施したとしても、乗り出し価格200万円台で収めることも十分に可能。
もちろんその後の数年間に必要な消耗部品代は国産車より割高なわけだが、そこを許容できるのであれば、「200万円台の初代ボクスター」を買ってみるのは悪くない話だ。
軽快でありながら硬質な、そして今となっては可憐なサイズの、素晴らしい車である。状態さえ良ければ「うむ、さすがはポルシェ!」と唸ることになるだろう。
なお、「50万円ぐらいの初代カイエン」については、あまりにも論外であるため割愛した。重量があるため各部への負担が大きく、部品代も何かと高額な初代ポルシェカイエンの中古車を買うなら、最安でも「250万円以上」の車両価格を目安としてほしい。
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みんなのコメント
ポルシェのオプション地獄を何も分かってない時点で、この記事の信憑性はまるでなし。