悪路走破性の高さを示す指標のひとつ
日本車でいうと、スズキ・ジムニー、三菱パジェロ、トヨタ・ランドクルーザー……いわゆる「クロカン(クロスカントリー)四駆」というカテゴリーのクルマにおいて重要なスペックが「アプローチアングル」、「デパーチャーアングル」、「ランプブレークオーバーアングル」という3つの角度だ。
【日本にもまだ沢山ある】普通のクルマで砂利道を延々走っても大丈夫?
もともとクロカン四駆と呼ばれるクルマたちが悪路での走破性に優れているのはラフロードに強いタイヤや、同クラスにおいて走破性が期待できる駆動システム(4WDであることは当然として、低速トルクの太いパワートレインや低めの変速比のトランスミッションなど)を持っていることもあるが、ともかく悪路においてボディが路面と干渉しない余裕のクリアランスを実現していることが要素としては大きい。
その基本となるのが、200mm以上の高い最低地上高であることは言うまでもない。しかし最低地上高が示すのは、フラットな路面にデコボコがあるようなシチュエーションにおける路面とボディのクリアランスであり、走破性にすぎない。
登ったり、下ったりといったラフロードでは最低地上高の余裕に加えて、路面とボディ(前後バンパー)が干渉しないことも重要だ。その指標となるのが「アプローチアングル」と「デパーチャーアングル」だ。
いずれもバンパーとタイヤをつないだ線が地面となす角度のことで、前者はフロント側、後者はリヤ側のスペックを示す。たとえばスズキ・ジムニーのアプローチアングルは49度となっているが、これは49度という急坂へフロントから進入してもバンパーが路面と干渉しないことを意味している。一般にバンパーの飛び出しが少なく、地上高を稼ぐ形状になっているほど数字は大きくできる。
言葉も長く、わかりづらいのが「ランプブレークオーバーアングル」だろう。これは前後輪それぞれの接地点から車体中央(ホイールベースの中心部分の底部)をつないだ角度のことで、たとえば前後輪とも載ってしまうほど大きな岩などを超えるときに、頂上部でボディ底部と岩が干渉するかどうかを判断するのに参考になるスペックだ。
こちらは傾向としてタイヤが大径で、ホイールベースが短いほど有利。かつてクロカン四駆にはホイールベースの異なるロングボディとショートボディが設定されていた(現在ではパジェロくらい)が、それはランプブレークオーバーアングルではショートボディが有利であり、本当にラフロードの走破性を求めるユーザーからニーズがあった故だ。
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