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「燃費激ワル」でも存在を「悪」とは呼ばないで! ガソリン使いまくりの「衝撃燃費」現行車5選

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「燃費激ワル」でも存在を「悪」とは呼ばないで! ガソリン使いまくりの「衝撃燃費」現行車5選

「真の贅沢」を思う存分味わえる

 CAFE(企業別平均燃費基準)など燃費規制への対応が進むと、世界中のクルマの燃費はどんどん良くなる。ガソリンスタンドの売り上げが心配になる以外、クルマの燃費が向上するのは良いことづくめだ。しかし、クルマ好き視点からすると「燃費度外視の大排気量&大パワーエンジンがもたらす大迫力」が味わえなくなるのは寂しいところ。

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 単純な「加速力」や「極太トルク感」については、電気駆動のスポーツカーがハイパワーエンジン車を凌駕する実力を発揮するものの、”感覚的な意味”でのパワーやトルクの「質」については、大量のガソリンを爆発させて得られる迫力にまだ及ばない部分がある。サウンドや、エンジン回転の高まりに伴うパワーの湧き出る感覚など、出力が発揮される過程の盛り上がりやプロセスの気持ち良さ、官能性や味わい深さにおいては「まだまだ内燃機関が必要だ!」と思う人は少なくないはずだ。

 そこで今回は、世にも希少な「燃費度外視(と思わせる)エンジン」を搭載するモデル5台をピックアップしてみた。今や、こういったクルマは富裕層向けの超高級車に限られているので、庶民にとってはあまり関係のない話とも言えるが、パワーやトルクの太さを最重視した設計のエンジンがもたらす独自の世界は、ほかに得難い魅力があることを思い出しておきたい。

 1)レクサスLX

 国産SUVの最高峰。ラダーフレームベースの本格派ゆえ、車重も国産車最高峰の約2.7トン。姉妹車のランドクルーザーよりもさらに排気量の大きな5.7リッターのNAのV8エンジンを搭載し、JC08モード燃費は6.5km/Lと、燃費の悪さでも国産最高峰を誇る。同じレクサスでも格下モデルのRXはハイブリッドシステム搭載車を主力としながら、もっと高額になっても許されるはずのフラッグシップSUVはハイブリッドを積まず。あくまで大排気量エンジンとするところに「真の贅沢」を感じさせる。

 ランドクルーザーと同様、中東や大陸の砂漠などの過酷な状況で使われることが多く、機械的トラブル発生リスクを少しでも下げる狙いもあっての選択だろう。いまの時代、燃費の悪さは燃費よりも重視すべき性能や信頼性が求められるクルマにのみ許される特権として、むしろ誇らしい。

 2)メルセデスAMG・G63

 新型に移行した今もなお「ゲレンデのAMG」の名のほうがとおるセレブ御用達SUV。6リッターのV12ツインターボも積んだ旧型からすると、現行型の4リッターV8ツインターボは圧倒的にコンパクトで、高効率なイマドキの高性能ユニットだ。それでもJC08モード燃費は6.6m/Lと極悪。車重2.5トンの四角いボディを、高額高性能車の加速性能慣れしたセレブに痛痒感を微塵も抱かせることなく加速させるために、燃費は犠牲になったまま。

 燃料タンクは100リットルながら、平均速度が遅くストップ&ゴーだらけの東京都心では、みるみるうちになくなってしまう。燃費の悪さを経済面で気にされることはないが、「給油が面倒なので」と、AMG本社に燃料タンクを2基積んだ特別仕様をオーダーするセレブもいる。極悪燃費車のカーライフには、いろんな意味で「真の贅沢」が感じられる。

 踏んだ瞬間「神」が見えるクルマもこれで最後になる!?

 3)フェラーリ812スーパーファスト

 燃費規制はスーパーカー専売メーカーもスルーできないということで、ついにフェラーリも次世代モデルではハイブリッド化などで劇的な燃費の改善をはかる。規制に対応しつつ、とんでもない高性能を発揮させる次世代モデルは大変興味深い。しかし、フル加速時に脳髄が破裂するかのような、クルマに「神」が宿っていると本気で思わせる、フェラーリのエンジンでしか得られない独自の官能の世界は、やや薄まるものと推察。

 488に搭載されるダウンサイジングターボ化された高効率なV8は、100馬力もアップしながら、旧型の458に搭載されたNA時代のV8を官能性で凌駕することはなかった例もある。800馬力を8500回転で発揮するウルトラ高回転型V12気筒を搭載するフェラーリ812は、欧州複合サイクル燃費で6.7km/Lとされるものの、「神が見える」最後のフェラーリになるのかも知れない。

 4)ベントレー・ベンテイガスピード

 ベントレーの超弩級SUV、ベンテイガも欧州市場ではハイブリッド版がデビュー。3リッターのV6+電気モーターということで、燃費は圧倒的に向上。おそらく乗ればウットリする洗練度や上質感が味わえるのだろう。フル電動版も開発中だという。

 しかし、「世界最速SUV」で名を馳せたベントレーのSUVに乗るほどの御仁ならば、エコな仕様よりも、635馬力を発生する6リッターのW12ツインターボ搭載のベンテイガスピードのほうがはるかに満足度が高いはずだ。WLTCモード燃費が約6.8km/Lに低下することなど、まったく気にならないのではないだろうか。元エンジン技術者の創業者、ウォルター・オーウェン・ベントレーは、フォルクスワーゲンのエンジニアリングになった今の製品を見ても、きっとW12気筒搭載車のほうが自社製品らしいと評価するだろう。

 5)ロールスロイス・ファントム エクステンデッドホイールベース

 6.75リッターのV12ツインターボを搭載。車重2780kgの巨体を、発進から5.4 秒で100km/hに達する超ド級の動力性能を発揮しながら、加速Gやサウンドの高まりを乗員に感じさせないという摩訶不思議さ。航空機エンジンでも大きなシェアを持つ生粋のエンジン屋でありながら、今も昔も「この世でもっともエンジンの存在を感じさせないクルマ」としても知られるのがロールスロイスだ。

 この世でもっとも燃費を気にされないクルマでもあり、オーナーさんに尋ねても「燃費? 知らない」と返される。試乗リポート記事などによると、実燃費は4~5km/L。「自宅の六本木ヒルズから銀座への往復しか乗らない」セレブオーナーの運転手の証言によると、2km/Lらしい。とはいえ、メーカーとしては燃費改善をはかる改良に余念がなく、将来的には電動化などにより、より一層パワートレインの存在を意識させない乗り物になるのだろう。EV仕様のテスト車が日本の道路を走ったこともある。しかし、EVで静かなのは当たり前。途方もない大パワーエンジンを積みながら「粛々と」走らせることの方が、技術的にははるかに偉大ではないだろうか。そんなありがたみが感じられるのも、今のうちかも知れない。

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