フェラーリ・デイトナ風のシルエット
1976年、従来モデルからの大転換を図ったSD1シリーズ第一弾、ローバー3500が発売された。当時のローバー・ブランドも属していた、ブリティッシュ・レイランド社の新時代を告げるクルマといえた。
【画像】ローバーSD1シリーズ 同じスペン・キング氏が手掛けた初代レンジローバーも 全67枚
英国人にとって、工作機械の丸いハンドルを模したブリティッシュ・レイランド社のロゴは、良いイメージが湧かないものかもしれない。減速する英国産業を想起させる、刻印にも見えるだろう。しかし、必ずしもクルマが悪いわけではなかった。
SD1シリーズの開発が始まったのは1971年。ローバーP6やトライアンフ2500などの後継モデルとして、大きな期待が掛かっていた。
スタイリングを担当したのは、デザイナーのデビッド・ベイチュ氏。スーパーカー風のくさび形シルエットを持つ5ドアボディは、目を細めればフェラーリ365 GTB/4 デイトナの遠い親戚にも見えなくはない。
技術的な指揮をとったのは、レンジローバーの父とも呼ばれたスペン・キング氏。ところが開発予算は限られ、可能な限り従来のコンポーネントを利用することが求められた。
ローバーP6では、ド・ディオンアクスルとディスクブレーキがリアタイヤ側に採用されていたが、SD1ではリジッドアスクルとドラムブレーキへダウングレード。エレガントなスタイリングからは見えない部分で、一層のコスト削減が実施されていた。
イメージを深く傷つけた品質への不満
1976年に華々しく発表されたローバーSD1シリーズは、1977年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。アウディ100 C2を破るという快挙だった。安全性の高いモデルへ与えられる、ドン・セーフティ賞も獲得している。
その反面、当時のAUTOCARでは次のように評価している。「ローバーには幾つかの弱点がります。しかし、モデルライフ中のアップデートで修正可能だと信じています」
その事実は、ブリティッシュ・レイランドを苦しめてきた元凶といえた。品質管理は向上ぜず、生産は間に合わず、数年後には8か月のオーダーストックを抱えた。改善しない品質に対する不満が、SD1シリーズのイメージを深く傷つけた。
それでも、本日お集まりいただいた4台のSD1を眺めると、クルマとして目指された高みには関心せざるを得ない。ジョナサン・ハーレー氏が大切にしている、極上コンディションの1976年式3500からは、特にそんな印象を受ける。
3.5L V8エンジンを搭載し、190km/h以上の最高速度を実現しながら、新車時の値段はお手頃といえた4750ポンド。美しく豪華な5ドアのファストバックだ。群れを追わないクルマ開発という、P4時代からのローバーの伝統にも忠実といえた。
明るいミダス・ゴールドのボディに、シルバーとブラックのホイールを履くハーレーの3500は、SD1シリーズ最初期のモデル。ブリティッシュ・レイランド社のディレクター、デレク・ウィッタカー氏が最初のオーナーだったという。
V8で現代のモデルにも負けない加速力
「英国警察の交通課に努めていた父が、ある日ローバーSD1で帰ってきたんです。当時のわたしは10才。そのクルマに心が奪われたんですよ」。とハーレーが頬を緩ませながら話す。
彼自信が、この3500のオーナーになったのは2011年。5オーナー車だといい、ここ10年の間に錆びたフェンダーが交換され、ボディの下半分が再塗装されている。
「路上では少々重さを感じさせますが、それでもV8エンジンは力強くボディを引っ張ります。オートマティックとエンジンとの相性も素晴らしい。このSD1なら、現代のモデルにも負けない加速力を披露できます」
45年前の競合モデルといえば、フォード・グラナダ・ギアMk1やオペル・コモドーレなど。3500のスタイリングは、さぞかし未来的に映ったことだろう。
ハーレーは、MOL 385Pのナンバーを守り継いでいることに、誇りも感じているという。小さい頃からの夢のクルマとして、シリーズ1の3500は気持ちを満たしてくれているそうだ。
実は1976年にも、ローバーP6 2200や、トライアンフ2000と2500の販売は続けられていた。当初はモデルを完全に切り替える計画だったが、量産の都合で、廉価仕様の生産がその翌年後半まで伸ばされていた。結果的に、最初期の3500は希少性が高い。
遅れながらも、エントリーグレードとなるローバー2300と2600が、1977年に登場。オーバーヘッドカムの直列6気筒エンジンは、従来のトライアンフが採用していたものがベースだが、新ユニットと表現したくなるほど大幅な改良が施されていた。
エントリーグレードの2300
2300がターゲットとしたのは、フォード・グラナダ2.3Lや、同じグループ内のプリンセス 2200 HLSなどのドライバー。若い管理職たちを想定していた。
ブリティッシュ・レイランド社はPRとして、俳優のアントン・ロジャース氏が主演する、トゥ・モア・フォー・ザ・ロードという映画をプロデュース。故障したボルボをSD1が助けるというシーンが含まれていた。
3500ではリア・サスペンションにセルフレベリング機能が装備されていたが、廉価版の2300では省略。一般的なダンパーに可変レートのコイルスプリングが組み合わせられている。
5速MTとカセットテープ・プレイヤー、パワーウインドウ、集中ドアロックもオプション。タコメーターと油圧計もない。上級グレードとは異なり、インテリアを眺めるとブランク・パネルの多さが目に付いた。
そんなエントリーグレードのシリーズ1 2300を所有するのが、クリス・パウエル氏。スチールホイールを履き、助手席側のドアミラーがないことで、価格差が伝わってくる。オプションだったカリビアン・ブルー塗装のおかげで、4台では1番写真映えするが。
パウエルは、XON 172Tのクルマの2オーナー目だという。「最初のオーナーは5年ほど乗ったようです。それから25年以上、ガレージで眠っていました。わたしがオーナーになったのは、2012年です」
「再始動に必要だった作業は、さほど多くありませんでした。ボディもほとんど錆びのない状態。ホイールアーチ付近を除いて」。とパウエルが振り返る。
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
食べ物と言えばフィッシュ&チップス、
車と言えば・・・ローバだけ…
.......ロ~バ〜‼。