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パガーニ・ウアイラ BCロードスターへ試乗 802psのAMG V12 実は従順なスーパーカー 前編

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パガーニ・ウアイラ BCロードスターへ試乗 802psのAMG V12 実は従順なスーパーカー 前編

思わず言葉を失うインパクト

いつもの街でパガーニ・ウアイラへ直面すると、1対1の挑み合いのように感じられてくる。怪獣vs人間の直接対決へ、大勢の市民が興味深げに顔を向ける。

【画像】実は繊細で従順 パガーニ・ウアイラ BCロードスター 競合するスーパーカーと比較 全110枚

インターネットが普及し、好きな場所で好きな音楽を聞けるようになり、スーパーカーの動画も自由にチェックできるようになった。それでもやはり、実際に生で見て聞いて、触れることには及ばない。デジタルでは、その体験を再現できない。

フォトグラファーのマックス・エドレストンと一緒に、グレートブリテン島の南部に位置するグッドウッド・サーキットで、ウアイラ BCロードスターをお借りした。改めて、その事実を認識させられた。

パガーニ・ウアイラを直に、至近距離で目にしたのは久しぶり。思わず言葉を失うインパクトがある。美しく妖艶だ。確かにスーパーカーは、以前より身近な存在になった。それでも、実際に手に入れられる人はひと握りでしかない。

かつてランボルギーニに勤めていたオラチオ・パガーニ氏は、イタリア・モデナ郊外に控えめな工場を設け、この極めて特別なスーパーカーを生み出している。古巣から、クルマで僅か15分ほどの距離の小さな町で。

見惚れてしまうフォルムとディティール

どこから観察していいのか、目のやり場に困る。サイドビューを眺めながら、6.0L V型12気筒ツインターボ・エンジンから伸びる、チタン製の4本のエグゾーストへ自然と足が向かう。

その隣には、ブレーキング時や停止時に熱を排出する、エアロフラップが付いている。3灯が並ぶテールライトの周囲は、色っぽいカーボンファイバーでカウリングされ、その上部をスポイラーが覆う。

コクピットの後方に、勢いよく空気を吸うシュノーケルがそびえ立つ。滑らかなフォルムのサイドミラーが、繊細にカーブを描くステーで支えられている。地面の方へ視線を落とせば、ディフューザーのたぐいが所狭しと並んでいる。

見惚れてしまって、なかなか次へ進めない。フロントタイヤを覆うカーボン製のフェンダーには、何本ものルーバーが切られている。巨大で、いかにも空気をよく吐き出しそうだが、公道用モデルとして認可は取りにくいはず。

ホイールベースは、2795mmとランボルギーニ・アヴェンタドールより長い。停まっていても美しく速い。手動調整式のリアウイングも、躍動的な雰囲気を引き立てている。

パガーニは、まもなく新しいスーパーカーを発表するという。そこで、第2世代に当たるウアイラ BCロードスターの特別さを確かめることにした。C10というコードネームを与えられた第3世代のスーパーカーは、既に完売状態らしい。

タブシャシーはカーボンとチタン

新しい世代へ入れ替わる前にウアイラへ試乗することには、意味があると考えた。ミドシップされるメルセデスAMG由来のV型12気筒エンジンが、第3世代のC10にも搭載されるからだ。

今回筆者がお借りしたのは、パガーニが保有するデモ車両。もとは開発用のプロトタイプとして作られ、その後は世界的なショーカーとして各地を回った。通算の走行距離は、30万kmを超えるとか。

クラムシェルのカウルを固定するレザー製のストラップは、日に焼けて劣化している。それでも、ボディパネルは真新しい。ホイールアーチの後ろ側には、アスファルトから蹴り上げた汚れが付着している。走り込んだ雰囲気が悪くない。

BCロードスターの最初の2文字は、パガーニ・ゾンダを最初にオーダーした、ベニー・カイオラ氏の名前に由来する。とても特別な顧客なのだろう。パガーニ基準で見ても、驚くほど手の込んだ内容だからだ。

最高出力だけでなく、空力特性や入念な軽量化に至るまで、ベースとなったウアイラへ大幅な改良が加えられている。定常円旋回では、最大1.9Gまで耐えられるが、これは公道用モデルとしてトップクラス。

カーボンとチタンを用いたタブシャシーは、BCクーペより12%もねじり剛性が高い。その製造コストは、クーペ用より5倍も高いという。

安心できるロングツーリングへの親和性

それを反映して価格も桁違い。今回お借りするのに、450万ポンド(約7億4250万円)の損害保険を契約した。高価な素材を用いながら少量生産のクルマを開発し、公道走行できるようにするには、莫大なコストが必要になる。

AUTOCARの規模としては、なかなか簡単に組める保険ではない。2019年にお借りしたマクラーレンXP5 F1 プロトタイプ以来だ。

驚くほど軽いドアを開き、驚くほど精巧なカーボン製のサイドシルをまたぐ。インテリアにも目をみはる。あらゆるパーツがチタンかアルミニウム、カーボン、レザーで作られている。シフトノブだけはウッドだ。

座り心地は良い。オラチオ・パガーニ氏自身が、安心できる操縦特性を備えた、ロングツーリングへの親和性を重視している。信じられないパワーと価格を忘れることができれば、ウアイラに圧倒されることはない。無理だけれど。

パガーニが目指した親しみやすさという考えは、ジキルとハイド的な2面性をもたらす。BCロードスターの場合は特に。

最高出力802ps、車重1250kgのウアイラは、基本的にはサーキットと仲がいい。特注タイヤのピレリPゼロ・トロフェオを履けば、GT3レーシングカーと同タイムでスパ・フランコルシャンを周回できる。

フロアマットはなく、カーボン製のパネルが露出している。豪華に仕立てられた専用バッグの横には、4点ハーネスも用意されている。触れだすときりがないが、いかにも軽く生々しく、情感豊かで、調和できていない不思議な雰囲気がある。

この続きは後編にて。

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