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世界最高峰の電動バイクレース『MotoE』第6戦レース1 タイトル争いは最終局面へ! 大久保光選手は転倒リタイア

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世界最高峰の電動バイクレース『MotoE』第6戦レース1 タイトル争いは最終局面へ! 大久保光選手は転倒リタイア

■もう最終戦!? 2日に渡って2レース開催、大久保選手は……

 MotoGP第14戦サンマリノGPに併催される電動バイクの世界選手権『MotoE(モト・イー)』は、第6戦にしてシーズン最終戦を迎えました。最終戦は土曜日に1レース、日曜日に1レースの2レース開催です。

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 土曜日は昼に予選のEポール、午後に決勝レース1が行なわれるスケジュールです。チャンピオン争いは最終戦まで持ち越されており、第5戦終了時点では、計算上、大久保選手を含む11人のライダーに可能性が残されていました。

 午前中に行なわれたMoto3クラスのフリー走行(練習走行)3回目中、転倒によりセッションが2度にわたって中断となりました。このためスケジュールの進行が遅れ、時間短縮のためにMotoEの予選であるEポールの方法が変更されています。通常は18人のライダーが1人ずつ1周のアタックを行なうのですが、今回は、全ライダーが一斉にコースインし、15分間にわたって最大3周のアタックラップ(アウトラップ、インラップを含めて最大5周)で予選が争われることになったのです。

 急きょ変更となった予選方式ですが、メリットを感じていたライダーもいました。今大会では初日のフリー走行2回目がウエットコンディションでの走行となったため、ドライコンディションでの走行はフリー走行1回目に留まっていました。

 さらに今大会は2レース開催のために3回目のフリー走行がなく、元々1回のセッションで8周程度の周回しかできないMotoEライダーにとっては、いつもよりも走行時間が短い状況でした。予選方式が「1周のアタックラップのみ」から変更になったことで、通常よりも多く走り込めることになったとも言えるのです。

 ドミニケ・エガーター選手は「今週はドライでは8周、ウエットでは9周しか走行できていなかったけれど、Eポールで3、4周多く走れて、バイクをチェックできたしラッキーだったよ」と語っています。

 もちろん、予選方式そのものの変更により、順応を求められたライダーもいるでしょう。そうした複雑な状況の予選では、チャンピオンシップのランキングトップ3のライダーが1列目を獲得。ランキング3番手のジョルディ・トーレス選手がポールポジション、ランキング2番手のエリック・グラナド選手が2番グリッド、ランキングトップのアレッサンドロ・ザッコーネ選手が3番グリッドに並びました。大久保選手は12番グリッド。4列目から決勝レースを迎えることになりました。

■チャンピオンシップを争うライダーが繰り広げたし烈なバトル

 7周で行なわれた決勝レース1のスタートでは、ポールポジションのトーレス選手が先行。しかし、3コーナーでアクシデントが発生します。5番手付近を走行していたチャンピオンシップリーダー、ザッコーネ選手が転倒を喫したのです。そして後方からやってきた大久保選手がザッコーネ選手を避けられずに接触。大久保選手自身も転倒し、ともにリタイアとなりました。チャンピオンシップリーダーがノーポイントでレースを終えることになったのです。

 一方、2周目にしてトップに立ったのはエガーター選手でした。序盤はエガーター選手と2番手のトーレス選手による激しいトップ争いが展開されます。そんな2人に、一度は後退しながらも再び3番手に浮上していたグラナド選手が迫っていました。

 4周目には3人のライダーがワンパックを形成します。エガーター選手を含むこの3人はチャンピオンシップでも僅差。タイトル争いのためには、ライバルよりひとつでも前のポジションでのフィニッシュが必須です。し烈な優勝争いは、最終ラップにまで持ち越されました。

 最終ラップ、トップは依然としてエガーター選手がキープ。2番手にはグラナド選手がつけていました。勝負は最終コーナーでした。ブレーキングでグラナド選手がエガーター選手のインに飛び込んだのです。しかしその瞬間、グラナド選手のフロントタイヤが切れ込みました。グラナド選手が痛恨のクラッシュ。目の前でクラッシュしたグラナド選手に、エガーター選手のスロットルが一瞬緩みます。その後方からスピードを乗せてコーナーを立ち上がるトーレス選手。エガーター選手をストレートで交わし、トップでチェッカーを受けたのです。トーレス選手にとっては今季初優勝となりました。

 エガーター選手は2位、そして3位にはマッティア・カサデイ選手が入りました。ライダーの意地、そして意志がぶつかり合う好レースでした。

 決勝レース1のあと、会見でエガーター選手は最終コーナーでの攻防について、次のように振り返っています。

「エリックが最終コーナーで仕掛けてくるとは思わなかったよ。僕のすぐ後ろに数人のライダーがいるのはわかっていたから、最終ラップでは全部、ラインを締めていたんだ。そして最終コーナーではブレーキングをかなり深くした。だから、もし誰かが仕掛けてきても、そのライダーははらんでいくだろうと思ったんだ。

 エリックがパスしようとしてきて、“彼はラインを外す”と思ったんだけど、彼はクラッシュしてしまった。それで僕はスロットルを緩めざるをえず、コーナーでスピードを落としてしまった。そして、ラインもちょっとアウト側になったんだ」

 この結果、チャンピオンシップのランキングは変動し、優勝したトーレス選手がランキングトップ、2位のエガーター選手は8ポイント差のランキング2番手となりました。ランキング3番手はザッコーネ選手ですが、病院での検査の結果、骨盤の骨折が確認されたと伝えられています。そして、最終ラップで悔恨の転倒となったグラナド選手はポイント差24のランキング4番手に後退し、タイトル争いとしては非常に厳しい状況。事実上、チャンピオンシップは2020年MotoEチャンピオンのトーレス選手とエガーター選手の一騎打ちとなるでしょう。

 2021年シーズンのMotoEチャンピオンを決定する第6戦決勝レース2は、9月19日に行なわれます。

■MotoEとは……

 MotoEは、2019年にスタートした電動バイクによるチャンピオンシップです。MotoGPのヨーロッパ開催グランプリのうち数戦に併催されており、2021年シーズンは開幕戦スペインを含む6戦7レース(最終戦は2レース開催)が予定されています。すべてのMotoEライダーが走らせるマシンはイタリアの電動バイクメーカー『Energica Motor Company(エネルジカ・モーターカンパニー)』の電動レーサー『Ego Corsa(エゴ・コルサ)』。タイヤはミシュランです。2021年のMotoEには11チーム18名のライダーが参戦しており、16歳の若手ライダーから元MotoGPライダーまで、様々な経歴を持つライダーが参戦。日本人初のMotoEライダーとなる大久保光選手がエントリーしていることでも注目を集めています。

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