グローバルにおいて日産アリアの販売台数が伸びていない
日本国内の2024年1月における電気自動車の普及動向、および人気のEVが公開されました。2024年シーズンの日本国内の最新EV動向について解説するとともに、日本製EVのそれぞれのライバルの動向も確認していきたいと思います。
日本のEV販売動向に衝撃! 果たして2023年に日本では何台のEVが販売されたのか?
まず初めにこのグラフは、自動車メーカー別のバッテリーEVの販売台数を示したものになります。トップは圧倒的に日産であり、2010年末の日産リーフの発売以降、2024年シーズンに突入したとしても、この日産の独走というトレンドが変わることはないと思います。
ただし、そのなかでも、リーフとアリアの販売台数の合計がたったの553台と、記録的な販売台数の落ち込みが見て取れます。
とくに日産のEVシフトという観点でもっとも懸念するべきはアリアの販売動向です。緑で示されている、アリアの日本国内の販売動向については減少が止まらない状況です。この販売減少の理由に関しては、アリアの販売が停止しており、ようやく受注分の販売を捌くことができていることが要因であると推測可能ではあります。したがって、すでに発表されているとおり、アリアNISMOとともに販売が再開されると、日本国内のアリアの販売台数が、再度月間1000台近い水準に戻る可能性はあります。
ところが、このグラフにおいて注目するべきは、グローバル全体におけるアリアの販売台数が、2023年に突入して以降、ほとんど伸びていないという点です。
つまり、日本国内の販売が再開したとしても、欧米という主要マーケットのアリアの販売台数が伸びていないことによって、アリアの生産能力が過剰となる恐れがあるわけです。
アリアの競合車種でありひと足早くグローバルで発売されていた韓国ヒョンデのIONIQ5と比較しても、販売台数では雲泥の差です。IONIQ5のほうがグローバルにおける納車スタートが1年以上早いということを踏まえれば、アリアの需要がまったく伸びていないことが見て取れると思います。
いずれにしても、2024年シーズンについては、一時的に日本国内のアリアの販売台数が伸びる見込みであるものの、グローバルでは大苦戦する1年であることは間違いありません。
すでに入手している情報では、アリアが大幅値上げして販売が再開される見通しであるものの、もしかしたら、欧米中という主要マーケットについては、需要喚起のためにむしろ値下げ対応に迫られる可能性すらあります。円安という観点だけではなく、日本人にとってアリアをはじめとする電気自動車が、さらに遠い存在になる1年となる可能性もあるのではないか? この点を危惧せざるを得ません。
また、2024年の販売動向で注目していきたいのがテスラの存在です。1月単体では305台と前年同月と比較しても圧倒的な成長を実現しているものの、それと同時に、テスラジャパンについては現在、主力モデルであるモデルYで一律30万円以上の値下げを実施中です。補助金を適用すると、実質464万9000円からという、非常に魅力的な値付けを行っています。
ただし、このテスラジャパンに対する逆風というのが、65万円という補助金の金額変更という観点です。2024年度の補助金制度については、いまだに詳細は不明であるものの、整備拠点の充実度合いであったり、さらには充電インフラ拡充への貢献度合いなどが考慮される方針です。
すると、直販体制を採用することで販売ディーラーを持たないテスラとしては、補助金額という観点で、マイナス評価となる可能性が濃厚です。
しかもその上、確かにスーパーチャージャーネットワークを独自に整備してはいるものの、その充電器普及の貢献という観点も、一般向けに開放されていることが条件となれば、テスラ車への補助金減額に拍車がかかる可能性も出てきます。
いずれにしても、2024年度に申請可能なEV補助金については、少なくともこれまでの65万円から減額される可能性が濃厚であり、この点は、テスラジャパンの販売にとって大きな悪影響となる可能性があるでしょう。
ちなみに、そのテスラスーパーチャージャーの普及動向について、2024年2月中旬の最新時点で、日本国内に累計106カ所、526ものスーパーチャージャーが設置されています。ただし、1月中に神戸スーパーチャージャーが閉鎖されたことによって、現在日本全国に104カ所のスーパーチャージャーステーションが稼働中です。
いずれにしても、テスラ独自の急速充電ネットワークがさらに普及する一年となることは間違いないとは思います。
トヨタ連合の商用軽EV発売延期で日本のEVシフトはさらに遅れる
そして、日産を除いた、それ以外の自動車メーカーのバッテリーEVの販売状況を確認すると、三菱、テスラ、トヨタに続き、中国BYDがトップ5にランクインしてきているという点も注目するべき動向です。1月単体では198台と、同じ時期に進出を果たした韓国ヒョンデの70台と比較しても、圧倒的な販売台数を実現しています。
BYDについては、年末からドルフィンの納車を本格化させており、年度末にかけて、さらに販売台数が増加することが期待されています。
ただし、このBYDについてもまったく同様に、2024年度のEV補助金に左右されることは間違いありません。販売ディーラーを整備しているものの、充電ネットワークの拡充にはコミットしていないことから、日本メーカーと比較して、補助金額がどうなるのかには要注目です。
韓国ヒョンデについては、すでに年末から2車種目のコンパクトSUVであるコナの納車をスタートしているものの、それでも月間70台というのは、非常に厳しい状況であるといえます。
確かにヒョンデについては、2024年から2025年にかけて、IONIQ5のハイパフォーマンスモデルであるIONIQ5 N、コナよりもさらにコンパクトなキャスパーのEVバージョン、そして、3列目シートを搭載した大型SUVであるIONIQ7を日本国内に導入する可能性が濃厚であるものの、どれも日本国内にドンピシャでハマるような車種ではないことから、ヒョンデの知名度を大きく向上させることは難しいのではないかとは感じます。
そして、2024年シーズンにおいて注目するべき、日本国内に導入される新型EVについてですが、商用軽EVの本格普及元年になるという点が重要です。
まず、すでに発表されたのが、日産のクリッパーEVです。三菱のミニキャブミーブの兄弟車として、競合よりもいち早く商用軽EVをラインアップした格好です。
他方で、商用軽EVの大本命であるのが、ホンダのN-VAN: eの存在です。ガチンコの競合と目されていたトヨタ連合の商用軽EVについては、ダイハツの不正問題によって発売が延期してしまいました。よって、2024年シーズンに商用軽EVを購入するとなれば、このホンダのN-VAN: eとなることは間違いなく、ラストワンマイルの配送車両として、一定の販売台数を達成することに期待可能です。
次に、すでに発売済みである輸入メーカー勢の注目EVとして、ボルボのコンパクトSUVであるEX30、BYDドルフィンに関しては、引き続き2024年もおすすめEVの中心的な車種となることは間違いありません。
確かに、BYDからはプレミアムセダンであるSeal、ボルボからもフラグシップSUVであるEX90が発売予定であるものの、これらの車種に関しては、日本国内においてはニッチな販売台数に留まるわけであり、それを考慮に入れると、大衆EVの入門版であるドルフィン、プレミアムEVの入門版であるEX30というのは、2024年も引き続き、最重要EVとなることは間違いないわけです。
また、BYDに関しては、アット3よりもさらにコンパクトなSUVのYuan Upを日本国内に導入する可能性が高く、ドルフィンと同等の値段設定で、それでいてSUVタイプのEVとくれば、購入検討に入れるユーザーも出てくるはずです。
他方で、冒頭でも指摘していた日本メーカー勢からは、商用軽EV以外、新型EVが導入される可能性がほとんどないという点こそ、2024年シーズンにおける、日本のEVシフト停滞を予期させるもっとも大きな問題点となるでしょう。
日産についても、リーフの大規模なモデルチェンジが行われないということ、トヨタもすでに欧米では発売が予告されているコンパクトSUVを、まだ日本国内には導入予定ではないという点、ホンダについても、Honda eの生産を終了しながらその後継モデルとなるN-ONEのEVバージョンについても、発売は2025年中に計画されていることから、2024年は、EVシフト停滞がキーワードとなる一年になりそうです。
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みんなのコメント
アイオニック5はカナダで最も安全性の低いEVと認定を受けてしまったり、発火事故で数秒で炎上という安全性に懸念があるモデルだし、テスラは不具合だらけで訴訟に発展もしているし、にもかかわらずそういうある種商品の品質として話にならない商品の方が売れているというのは、いかに消費者に見る目がないかという事を示しています。
日産はリーフ登場時からバッテリーのリサイクルもきちんと考えてリサイクル会社も同時に設立してリサイクルも徹底しています。他社はというとそのテスラも不法投棄が発覚しているし、そういう会社のEVはまず信用に値しないので
それでもEVシフトが低迷し始めている中、現段階で買うなら国産しか選択肢はないですよ。
極端なあおり内容に不信感しかありません。
そんなに中華車を推したいのはなぜ?