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サーキット専用マシン「ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ」を富士スピードウェイで試乗!

Porsche 911 GT2 RS Clubsport

ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ

サーキット専用マシン「ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ」を富士スピードウェイで試乗!

クラブマンレーサーに向けた200台の限定車

2018年11月に開催されたLAオートショーで世界初公開された911 GT2 RS クラブスポーツは、生産200台限定のサーキット専用車である。そう、ナンバーの取得はできないが、かといって特定のレースカテゴリーへの適合、出場が意図されたものではなく、あくまでクラブマンレーサーがサーキット走行やイベント出場を楽しむための1台として企画された。

実は先に発表された、これまた生産たった77台の限定車となる935・・・説明は不要だろうが1976年にデビューしたグループ5レーシングカーそのものではなく、モビーディックと呼ばれた特徴的なフォルムを持つその発展版、935/78へのオマージュとして現代に蘇った純サーキット仕様車のことだ・・・と、その中身はほぼ共通。当然、ロードカーの911 GT2 RSがベースで、最高出力700ps、最大トルク750Nmを発生する水平対向6気筒3.8リッターツインターボエンジン、そして7速PDKというパワートレインのハードウェアはそのまま使われている。

ロードカーのGT2 RSをベースに戦闘力をアップ

大きく手を入れられたのが車体だ。フロントのカナード、リヤの大型ウイングやディフューザーなど、カーボン・ケブラー製の専用空力パーツが備わり、しかも前後フードやFIA規格に則った横転時などのための緊急脱出口を備えたルーフも同様にカーボン・ケブラー製とされる。

シャシーもやはりレーシングカーそのものだ。サスペンションは車高、キャンバーなどのアライメントが調整可能で、ダンパーも3ウェイのレーシングタイプが奢られている。また、スフェリカルベアリング、ブレードアンチロールバーが採用され、パワーステアリングは電動油圧式に。リヤのタイロッドも強化されている。

タイヤはミシュランのレーシングスリックで、前27/65R-18、後31/71R-18サイズをセンターロックホイールに履く。ブレーキは前390mm径、後380mm径のべンチレーテッドディスクに、前6ポッド/後4ポッドのアルミ製モノブロックキャリパー、レーシングパッドという組み合わせである。

大幅な軽量化を施しレース専用装備を満載

室内は内装トリムがほとんど剥がされ、また助手席も無い。一方でドライバーズシートは頭部サポートまで付いたレーシングタイプのフルバケットとされ、その眼前にはクイックリリース式のステアリング、911 GT3 Rと共通のコスワース製データロガーなどを内蔵した専用インストゥルメントパネルが備え付けられている。安全燃料タンク、消火器、エアジャッキといったレーシングカー並みの装備も用意され、またエアコンも標準装備となる。耐久イベントの時などには重宝するはずだ。

こうした装備によって車両重量はベース車比80kg減の1390kgとされる。それに対して最高出力は700psで、しかも4WDではなく後輪駆動となるだけに、走行前に相当身構えてしまったのは事実である。ベースとなった911 GT2 RSが、決して走らせやすいマシンではなかったという記憶も、そこに作用していたのは間違いない。

想像よりはるかに乗りやすいGT2 RS クラブスポーツ

しかしながら試乗の舞台となった富士スピードウェイのコースに出て、いくつかのコーナーを通過する頃には、心配が杞憂だったということがハッキリと分かった。このマシン、スペックから想像するよりはるかに乗りやすい。

もちろん加速は強烈のひと言で、ギヤポジションや回転数を問わずアクセルペダルを踏み込めばほんの一瞬のタメの後、凄まじいほどのパワーとトルクがあふれ出し、背中からグイグイと押し出すようにクルマを前に進めていく。しかも、その勢いがどこまで行っても衰えることがないのだ。

外の景色の流れる速さ、それを裏付ける見たこともないような勢いで跳ね上がっていく速度計の数字に、ターボ過給されたフラットシックス特有の図太いエンジン音とタービンからと思しきヒューンというノイズがミックスされたサウンドが相まって、もたらされる快感は、幾ばくかの恐怖心をあっさり吹き飛ばしてアクセルペダルを更に深く踏み込ませるほどの、まさに病みつきになるものだ。

Dレンジのままでもサーキット走行に対応可

実際、長いストレートでは立ち上がりから圧倒的な加速を披露し、念のため右足を緩めたパナソニックブリッジの時点でも、すでに速度は280km/hを超えていた。ウイングなどのセットアップ次第ではあるだろうが、そのままブレーキを我慢していれば300km/hは十分に視野に入ってきたに違いない。

ギヤボックスは市販車と共通とは言ってもソフトウェアは変更されていて、変速はよりダイレクト。シフトショックはその都度ガツッと衝撃が来るくらい増えているが、その分もあってか変速は素早く的確だし制御も巧みで、Dレンジのままでも十分サーキット走行に対応できそうだ。

ブレーキもまた良い。ポルシェらしく車体全体を沈み込ませるようにしながら強烈な勢いで速度を落としていき、しかもそれが何周走ってもへこたれることがないのだ。車重と速さを考えたらこれは驚愕モノと言ってもいいが、それでこそポルシェと思うのもまた確かである。

楽しさを阻害せずに高い安定感を発揮

さて、ではコーナリングはといえば、決して神経質なものにはなっていない。冬の寒い気温の中でも十分なグリップを発揮したレーシングスリックの恩恵も大きいのだろう。PSM(ポルシェスタビリティマネジメントシステム)オンであろうとアクセルを踏み込めばすぐに横を向こうとしたロードカーの911 GT2 RSとはまったく違って、もちろん無茶な運転にまで応えてくれるわけではないが、それでも思い切ってアクセルを踏んでいくことができる。タイヤに合わせたPSMの制御もでしゃばり過ぎることなく適切で、楽しさを阻害することなく高い安心感をもたらしている。

但し、今回は試乗用ということでかなり強めのアンダーステアに躾けられていたから、コーナーでは少々ガマンが必要とされた。特に100Rなどでは、もっと曲げようと前荷重を残し過ぎるとリヤがスパッと出るから、切れず、踏めず、待っている時間がやや長く感じられた。また、ベース車よりは軽いと言っても車重もそれなりにはあるから、挙動の俊敏さという面ではもう少し軽やかさが欲しいと思ったのも事実である。

富士スピードウェイを1分42秒台でラップ

そんな911 GT2 RS クラブスポーツを速く走らせるには、ポルシェのセオリーに忠実にいくのが一番。ブレーキでしっかり速度を落とし、コーナーはできるだけコンパクトに、素早く向きを変えることに専念して、出口が見えたら全開で立ち上がるのだ。

こうして数周走らせた筆者のこの日のベストラップは1分47秒台前半。朝イチにはプロドライバーが1分42秒台を出していた。タイヤを含むコンディションが良ければここまではいけるわけだが、それ以上に大事なのは、十分マージンを取っていても筆者がかつて走らせた997 GT3 Cupより速いタイムを刻めたということである。

ディーラーで購入できるレーシングカー

クラブマンレーサーにとって、サーキットのスポーツ走行で後方から速い車両に突かれたり、それを気にしてミラーばかり見て走ったりというのは正直あまり楽しくはないもの。けれどこのクルマなら、そういう事態に遭遇することはきっと少ないに違いない。そう考えれば、楽しくサーキットを走るための選択肢として、コレは有りではないだろうか?

もちろん、ロードカーの911 GT2 RSとて、どうせ一般道ではそのポテンシャルをフルに発揮させるのは不可能。それならいっそ・・・という選び方もあるだろう。運搬の手間はあるが、走りの充足感はそれを凌駕すると断言できる。

問題は税抜き40万5千ユーロという価格だが、それは問題ないということであれば、お近くのポルシェディーラーに問い合わせてみてほしい。そう、さすがポルシェ。このマシンもディーラーで購入可能なのだ。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ

ボディサイズ:全長4743 全幅1978 全高1359mm

ホイールベース:2457mm

車両重量:1390kg

エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ

総排気量:3800cc

ボア×ストローク:102.0×77.5mm

最高出力:515kW(700hp)

最大トルク:750Nm

トランスミッション:7速PDK

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ストラット 後マルチリンク

ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前390mm 後380mm)

ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン

タイヤサイズ(リム径):前27/65-R18(10.5J)後31/71-R18(12.5J)

車両本体価格:40万5000ユーロ(約4800万円/税抜)

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

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