21年ぶりのフルモデルチェンジとなったトヨタセンチュリー。まさに日本のフラッグシップとなる1台だけに、その注目度は非常に高い。
日本唯一のV12を捨て、5L V8ハイブリッドとなった新型センチュリー。日本の"旗艦"としての存在感もムンムンな外観の評価は高いが、実際乗ってみてどうなのか?
国産8メーカー 2020年までの新車スケジュール ベストカー9月10日号
今回はなぜかハイヤー運転手に扮した自動車ジャーナリスト国沢親方が新型センチュリーに試乗します。
文:国沢光宏/写真:平野学
■ハイブリッドユニットはどうだ!?
21年ぶりのフルモデルチェンジを受けて6月22日に登場した新型センチュリーに初乗りです!! 前置きはなしにして、さっそく試乗といきましょう。
運転席のドア開けてシートに座ると、あらら? 予想していたよりずっとタイトな感じ。悪い意味での「狭い」じゃなく、普通のクルマと同じようなドライビングポジションである。
スタートボタン押すと、一般的なハイブリッド車と同じように起動しスタンバイ完了。ワクワクしながらDレンジをセレクトしアクセル踏む。
う~ん!! ほかのトヨタ車と、まったく違う乗り心地ですね!! 重くてドッシリしたボディに、よく動くサスペンションを組み合わせた独特の味わい。
動き出すと新幹線のような「タイヤの存在を感じさせない」乗り味だ。この方向の頂点はロールスロイスのファントムで、こらもう別格。
新型センチュリーはファントムほどじゃないけれど、同じロールスロイスのゴーストと比べたら負けていない。
遮音もバッチリ!! アクセル開度低い時は、エンジンが5m先で回っているような感じ(少し大ゲサ)。
モーター走行からエンジン併用モードに切り替わる時だって滑らかだ。後で後席に座って判明したのだけれど、気づかないレベルだった。
どれどれ、とアクセル全開加速してみたら、V8特有の「ぐもももも!」というビートを響かせダッシュを開始。やっぱVIPカーって性能も必要です。
ハンドリングやいかに? 先代センチュリーは谷田部のテストコースで豪快にカウンターあてて走らせたほど優れた限界特性を持っていた。
残念ながら今日の試乗コース、狭いためチェック不可能。それでも味見程度にクルマを揺すってみたら、なかなかよさそうです。
接着構造を取り入れたボディはドッシリしており剛性感高い。聞けば豊田章男社長もGRを作ったら自分で乗りたいと言ってるらしい。
■肝心要の後部座席は超極上!!
運転席のインプレはこのあたりにして、センチュリーで最も大切な後席を試してみましょう。
座り心地だけれど、トヨタが気合いを入れて開発したのはふかふかのモケット。なんで革じゃないのか、と思う人もいるだろうけれど、センチュリーの哲学かと。
始祖は馬車。ムカシ、運転手に相当する御者はムチを振るうため、オープンだった。ビニールがなかった当時、雨に最も強い素材は革です。
よって御者のシートは革。主人はキャビンの中に座り、当時最も高価な素材だったモケットのシート。
そんなことから、ムカシの高級車の文法だとモケットが上等です。といったウンチクをよく聞く。されど今やファントムだって革シート。
高級車の本場は伝統じゃなく「その時に最も高価な素材」を重視するのだった。センチュリーの革も座ってみたが、よい。オーナーの好みで決めればよろしい。
居住性は「超快適!」という文字が一番似合うと思う。絶対的な広さで比べたらアルファードに勝てないものの、人間の身体の大きさなんて決まっている。
レッグスペースに30cm余裕あっても、30cmの頭上空間あっても意味ないと私は考えます。それより「空間そのものの質感」でしょう。
なんせクルマ全体の動きからして優雅。「誰が乗ってるんだろう?」という視線も受けるからお行儀よくなる。
いろんな意味で別格だと思う。1960万円という価格に関しては格別の印象なし。それより高価なクルマだって私ら普通に乗りますから。
けれど我が国だとセンチュリーというクルマに強い記号性がある。考えてみたら従来型センチュリーのリアシート、数えられる程度しか乗っていない。
新しいセンチュリーもこれから先、何度か乗る程度かと。いやいや楽しい時間を過ごせました。
おっと書き遅れました。オーディオに凝ったということで自分のCD持ち込んで鳴らしたところ、こいつが素晴らしい!! レクサスのマークレビンソンを相手にしないです。というかLSだって安いクルマじゃない。
センチュリーの8割くらいでいいから頑張ってほしい。アコースティックな楽器からシンセサイザーの音まで、バッチリ鳴ります。ぜひお試しを!!
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