■売れ筋な軽自動車のカタチが似る理由とは
近年の新車市場において、軽自動車の販売割合は4割を占める人気ジャンルといわれていますが、そのなかでもとくに人気が高いのが軽スーパーハイトワゴンと呼ばれるジャンルです。
そして、販売ランキング上位を軽スーパーハイトワゴンが占めていることから、人気の軽自動車はどれも形がそっくりともいわれることもありますが、そもそもなぜ軽スーパーハイトワゴンに人気が集中しているのでしょうか。
軽スーパーハイトワゴンに明確な定義はないものの、全高1700mm以上の背が高いボディを持ち、後席両側スライドドアを装備、そして居住性を重視して設計された室内などが特徴となっています。
軽自動車は規格でボディサイズが定められており、ほとんどのモデルにおいて全長と全幅は規格値(全長3400mm×全幅1480mm)まで拡張されていることから、全高も同様に高めている軽スーパーハイトワゴンのデザインが、似てしまう傾向にあるのは否めません。
※ ※ ※
実際の販売台数データを見ると、軽スーパーハイトワゴンの人気ぶりが際立ちます。
全国軽自動車協会連合会が発表する、2019年度(2019年4月から2020年3月まで)の軽自動車販売台数ランキングを見ると、ホンダ「N-BOX」が24万7707台を販売して首位。
そして2位には17万2679台を販売したダイハツ「タント」、3位には15万9799台を販売したスズキ「スペーシア」が続きます。
この3車種はいずれも軽スーパーハイトワゴンに該当する車種で、前年度累計台数と比べても100%超えを達成する好調ぶりです。
4位には日産「デイズ」が15万4881台でランクインしますが、この販売台数は、軽スーパーハイトワゴンの「デイズルークス」と、軽トールワゴン(軽スーパーハイトワゴンより背が低く後部ドアがヒンジ式)である「デイズ」の合算です。
そして、日産は2020年3月にデイズルークスを「ルークス」という独立した車種としてフルモデルチェンジ。発売後1か月の受注台数は1万7000台を超えるなど好調な立ち上がりを見せ、日産も軽スーパーハイトワゴンにますます力を入れています。
しかし、そもそもなぜ軽スーパーハイトワゴンは人気となっているのでしょうか。
スペーシアを販売するスズキの販売店スタッフは、ユーザーの声として、「スペーシアは、乗降性の良さや室内空間の広さなどのパッケージの高さが人気です。また、ファミリー層のユーザーが多いことも特徴です」とコメントします。
ファミリー層に人気ということですが、ルークスを販売する日産の販売店にもこれについて聞いたところ、次のようにコメントします。
「小さいお子さんがいるお客さまには、積極的にルークスをおすすめしています。理由は、後部ドアがスライドドアであるため、お子さんが乗り降りする際に気を使う必要が低くなるからです。
一方、室内について、絶対的な広さでいえば全高の高いルークスの方が有利ですが、ユーザー目線で感じる広さでいえば大差ないと思います」
軽自動車というと比較的少人数で乗るイメージも強いですが、ファミリー層も開拓できているのが軽スーパーハイトワゴンの強みといえるでしょう。
■伸び率トップの軽スーパーハイトワゴンとは?
2019年度に販売台数トップ3となった車種のなかで、前年度累計比の販売台数が121.1%ともっとも伸びたのがタントです。
これは、2019年度軽乗用車販売ランキングトップ15に入った車種のなかで、もっとも高い伸び率となります。
伸び率トップとなった大きな要因としては、2019年7月のフルモデルチェンジで4代目モデルとなり、N-BOXやスペーシアと比べもっとも新しいモデルとなったことが挙げられます。
※ ※ ※
4代目タントの開発時に、ダイハツは歴代タントの購入層を調査しました。
その結果によると、2003年に発売された初代タントでは、ユーザー層比率が「子育て層>若年層>シニア層」だったのに対し、10年後の2013年に発売された3代目タントでは「シニア層>子育て層>若年層」と、ユーザー層が大きく変化していたといいます。
これを受け、ダイハツは車内に設置される乗降用の「ラクスマグリップ」や、自動展開する「ミラクルオートステップ」、手動でターンできる「助手席ターンシート」などを新型タント向けに開発しました。
ファミリー層からの支持も強い軽スーパーハイトワゴンは、今後はよりさまざまなユーザーに注目されるカテゴリとなることも予想されます。今後も、各社からどのようなモデルが登場するか見逃せないカテゴリになると見られます。
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