日本自動車販売協会連合会の発表した小型/普通車の販売ランキングを見ると、2019年10月/11月/12月はカローラシリーズがトップに立った。
軽自動車のN-BOX、タント、スペーシアの台数には達しないが、小型/普通車ではトップだ。カローラのセダンとワゴン(ツーリング)がフルモデルチェンジを受けて、カローラシリーズの売れ行きに弾みが付いた。
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カローラシリーズでナンバーワン人気はステーションワゴンのツーリングとなっている。大人気のカローラツーリングを購入する場合、何を買うのがお得なのか(損をしないか)を渡辺陽一郎氏が考察&指南する。
文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】カローラセダンもツーリングに負けず魅力的に変貌!!
カローラシリーズの販売の半分はツーリング!!
2018年にカローラスポーツがデビューし、2019年にカローラセダン&ツーリングが刷新されカローラシリーズの販売台数は大きく増加
カローラシリーズの登録台数の内訳を見ると、最も多いのがカローラツーリングで、各月ともにシリーズ全体の約53%を占める。
カローラセダンは約17%だ。残りの30%を5ドアハッチバックのカローラスポーツ、継続販売される先代型のカローラアクシオ(セダン)&フィールダー(ワゴン)が分け合う。
先代型を継続生産している理由は、カローラでは社用車などに使う法人ユーザーの比率が高いからだ。
ツーリングデビュー後も継続販売(1年限定)しているフィールダーは法人ユーズを見込んでいる。アクシオとフィールダー合わせて月販平均約2000台は立派
3ナンバーサイズのセダン&ツーリングが発売される前の時点で、アクシオの40%、フィールダーの25%は法人だった。そして法人は5ナンバーサイズと価格の安さにこだわる場合があるため、先代型も継続販売している。
先代アクシオ&フィールダーの販売比率は約21%だ。カローラシリーズの登録台数は、1カ月で1万台前後に達するから、先代アクシオ&フィールダーも2000台少々は売れている。クラウンと同程度だから、先代型とはいえ、少ない数字ではない。
カローラシリーズのパワーユニットは3種類
それでも主力はカローラツーリングだから、そのグレード選びを考えたい。カローラツーリングとセダンは、価格は異なるものの、グレードの基本構成は共通だ。エンジンは直列4気筒1.8L、1.2Lターボ、1.8Lハイブリッドを選べる。
トランスミッションは、1.8LはCVT(無段変速AT)、ハイブリッドは電気式無段変速で、1.2Lターボには6速MTのみを組み合わせた。ターボのCVTは選べない。
駆動方式は1.8Lとターボは前輪駆動の2WDのみで、ハイブリッドには後輪をモーターで駆動する4WDを用意した。
1.8L、直4DOHC搭載モデルはアイドリングストップが設定されていない。バッテリーが大きく、高価になることも設定されない理由のひとつ
まずはエンジンの選択を考える。一般的には1.8Lとハイブリッドだろう。ターボと6速MTの組み合わせはユニークだが、ターボの性能が際立って高いわけではない。
ターボの最高出力は116ps(5200~5600回転)、最大トルクは18.9kgm(1500~4000回転)で、1.8Lは140ps(6200回転)・17.3kgm(3900回転)だ。
開発者によると「ターボは幅広い回転域で高い駆動力(トルク)を発揮するが、(1400回転以下の)低回転域では落ち込みが生じる。そこでターボは、ドライバー自身がアクセルとクラッチを操作して、駆動力をコントロールできる6速MT専用にした」という。
ただしカローラスポーツには、1.8Lが用意されず、同じ性能のターボにCVTも組み合わせている。
つまりカローラツーリングとセダンで売れ筋になるCVT仕様に、1.8Lを搭載した背景には、CVT仕様の価格を安く抑える目的もあった。
カローラツーリングはリアビューが特にスポーティで、この見た目のカッコよさも人気の大きな要因となっている
1.2Lターボは割高
1.2Lターボを搭載するツーリングW×B(245万8500円/6速MT)は、1.8LのツーリングW×B(236万6500円/CVT)に比べて9万3500円高い。
それなのにターボには、車線の中央を走れるように操舵を支援するレーントレーシングアシスト、インテリジェントクリアランスソナーなども装着されない。
これら装備の違いまで含めると、ターボは1.8Lに比べて実質14万円高いのだ。CVTは1.8Lを搭載して、この価格上昇を抑えている。
カローラスポーツの1.2Lターボは6MTとCVTが設定されるが、カローラセダン&ツーリングの1.2Lターボは6MTのみの設定となるため購入者が限定される
カローラの1.8Lエンジンはシリンダーヘッド周辺を大幅に変更したが、2ZR型自体は2000年代中盤に登場している。従ってコスト低減の効果は大きい。
いっぽう、クルマ好きに向けたW×Bの6速MTには、価格は高まるものの設計の新しいターボを搭載した。推奨度が高いのは、価格の割安なCVTの1.8Lだ。
ハイブリッドは高いがお得!?
次は1.8Lとハイブリッドを比べる。売れ筋のツーリング1.8S(221万6500円)とハイブリッドS(265万1000円)の価格を比べると、ハイブリッドが43万4500円高い。
ただし1.8Sでは購入時に環境性能割と自動車重量税の合計7万3100円を納めるが、ハイブリッドSでは非課税だから、実質差額は36万1400円に縮まる。
そしてレギュラーガソリン価格が1L当たり145円、実用燃費がWLTCモードで計算すると、1kmの走行コストは1.8Lが9.9円、ハイブリッドは5円だ。ハイブリッドなら1km走行当たり4.9円節約できる。そうなると7万~8万kmを走れば、燃料代の節約により、36万1400円の実質差額を取り戻せる。
ハイブリッドは車両価格が高いが、計算上では7万~8万kmで価格差を回収可能。距離を走る人ほどハイブリッドの恩恵を受けやすい
ちなみに比較的コンパクトな車種では、ノーマルエンジン車の燃費数値も優れているから、取り戻せる距離が13万km前後に伸びることも多い。
ところがカローラツーリングでは、1.8Lエンジンにアイドリングストップが備わらないこともあり(装着を希望するユーザーも多いからオプションでは用意すべきだ)、1.8SのWLTCモード燃費は14.6km/Lにとどまる。
ハイブリッドSは29km/Lだから、数値上は燃料代が1.8Sの約半額に収まり、燃料代の差額で取り戻せる距離も7万~8万kmと短くなった。
従って1年間の走行距離が1万kmを超えるユーザーは、積極的にハイブリッドを検討するといい。
またモーター駆動を併用するハイブリッドは、エンジンノイズが小さくて加速感も滑らかだ。走りの質も高いため、走行距離が短いユーザーも、購入時には1.8Lとハイブリッドと乗り比べて判断したい。
グレード選びも慎重に!!
1.8L、ハイブリッドともにG-Xが設定されているが、走り、装備面とも見劣りする。購入後に公開しないためにも積極的にオススメしない
グレードは、1.8L、ハイブリッドともに、G-X/S/W×Bの3種類が用意される。この内、1.8G-XとハイブリッドG-Xは推奨できない。
リア側のスタビライザー(ボディの傾き方を制御する足まわりのパーツ)が省かれ、操舵感と走行安定性が少し下がるからだ。本革巻きのステアリングホイールなども備わらず、内装の質もいまひとつだ。
そこで1.8S(221万6500円)あるいはハイブリッドS(265万1000円)を選ぶ。1.8Lエンジンとハイブリッドの選択は、先に述べたとおり1年間の走行距離が1万kmを超えるか否か、加速の滑らかさやノイズの違いで判断したい。
そしてアルミホイールを17インチにサイズアップしたり、LEDヘッドランプをバイビームタイプに変更したいユーザーは、1.8W×BやハイブリッドW×Bも検討する。W×Bの価格はSに比べて14万8500円高いが、17万円相当の装備が加わるから少し割安だ。
アナログメーター+4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイはハイブリッド、1.8LともS、G-Xに標準
オプティトロンメーター+7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイはW×B、1.2Lターボに標準。S、G-Xは7万7000円のオプション
特に1.8SとハイブリッドSに自発光式オプティトロンメーターをオプション装着する時は、この装備を標準装着したW×Bを積極的に考える。
オプティトロンメーターのオプション価格は7万7000円だから、さらに7万1500円を加えてW×Bを選べば、前述の外装パーツが充実して、合成皮革のシート生地なども備わり内装の質も高まるからだ。
以上のようにカローラツーリングの買い得グレードは1.8S(221万6500円)で、走行距離が伸びたりするユーザーは、ハイブリッドS(265万1000円)も検討する。
W×Bは価格は高いが、内外装の装備、パーツが充実しているので、オプションで付けるなら割安になることも。インテリアの質感は高く魅力的
そしてオプティトロンメーターをオプションで加えたりする時は、1.8W×B(236万5000円)とハイブリッドW×B(279万9500円)に選択の候補を広げたい。
納期はグレードを問わず1.5~2カ月だから、1月中旬までに契約すれば、3月以内に登録できる。新型車だから大幅な値引きは難しいが、相応の好条件は引き出せるだろう。カローラツーリングを買うなら、今が絶好のチャンスだ。
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