アンチエイジングを考えたクルマ選びが大切
少子化が進む日本は、世界屈指の高齢化社会へ向かっている。人口構成は一朝一夕に変わるものではなく、また平均寿命からすると突然、高齢者が減ってしまうこともない。そして、運転免許の取得率からすると、これから高齢ドライバーがどんどん増えていくのも自明だ。
そんな高齢ドライバー(および予備軍)のクルマ選びでは、2つの点を重視したい。ひとつは、体力などの衰えをカバーしてくれる運転支援システムや予防安全性能。もうひとつが、加齢にあらがうアンチエイジング効果が期待できる部分だ。
前者に関しては、いまや軽自動車にも装着が増えているAEBS(衝突被害軽減ブレーキ)が有効なのは言うまでもない。さらに高速道路での車線維持支援システムや、一般道での路肩逸脱警報などはドライバーのちょっとしたミスをカバーしてくれる。自動運転技術に頼るというのではなく、ミスをフォローしてくれる機能は、高齢ドライバーにはありがたい。
そしてアンチエイジングにつながるものとして思い浮かぶのはMT(マニュアルトランスミッション)だ。ちょっと古い話題だが、ヤマハ発動機が東北大学・川島隆太研究室と共同で、「二輪車乗車と脳の活性化の関係」について研究発表したことがある(ニュースリリース: https://global.yamahamotor.com/jp/news/2009/0304/research.html)。
結論からいえばオートバイを運転することは『様々な脳認知機能(特に前頭前野機能)が向上し、さらにメンタルヘルスにおいてもストレスの軽減や脳と心の健康にポジティブな影響を与える』というのだ。この実験で使われたのは手動クラッチ車、つまり両手両足を操作に使うMTである。同じことが四輪車にも言えるとすれば、MTを選ぶことは加齢による脳の衰えをカバーしてくれる可能性があるといえるのではないだろうか。
というわけで、高齢者におすすめしたいのは「AEBSのついたMT車」。たとえば、マツダ・ロードスターやホンダS660は、その条件を満たすことができる。とはいえ、高齢者が日常的にスポーツカーに乗るというのは、その乗降性を考えると難しい面があるのも否めない。それなりに座面位置が高くて乗りやすいクルマで、AEBSがつけられるとなると、マツダ・デミオやホンダ・フィットRS、スズキ・スイフトなどが思い浮かぶ。
また、マツダはデミオ以外にもアクセラなどAEBSがつくMT車をラインアップしている。これこそ、高齢化社会に向けた商品企画の正しい姿なのかもしれない。
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