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ブレイニー勝利も“最後のSSW”で勝利に迫ったハーヴィックがまさかの失格/NASCAR第31戦

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ブレイニー勝利も“最後のSSW”で勝利に迫ったハーヴィックがまさかの失格/NASCAR第31戦

 今季トヨタ陣営が猛威を振るうスーパースピードウェイ(SSW)決戦となった2023年のNASCARカップシリーズのポストシーズン、第31戦『イエラウッド500』は予選からフォード・マスタングが席巻する展開となり、チェッカーフラッグまでラスト10周のスリリングな勝負を制したライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が今季2勝目を飾る結果に。

 そして「今季限りでの引退」を表明してシーズンを戦ってきた2014年チャンピオンのケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)は、タラデガ・スーパースピードウェイでの“ラストラン”を飾るべく奮闘し、わずか0.012秒差で勝利を争う惜敗の2位チェッカーを受けた。

カイル・ブッシュ自身が育て上げた強豪トラック部門KBMを売却「難しい決断だった」/NASCAR

 しかしレース後、ハーヴィックの4号車には「フロントガラスの留め具違反」により失格処分が言い渡される、まさかの結末となっている。

 今季のレギュラーシーズン王者であるマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)や、同2位のデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)らを筆頭に、プレーオフ突入から3戦連続ポールウイナーの離れ技を演じたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)など、シーズン終盤戦はトヨタ・カムリが勢いと強さを披露してきた。

 しかし名物の2.66マイル・ハイバンクを持つタラデガを席巻したのはフォード陣営で、予選では昨季王者のジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)を従え、僚友アリック・アルミローラ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が7月のアトランタ以来今季2度目、キャリア通算6回目の最前列を射止めた。

 迎えた決勝は都合70回のリードチェンジが発生する典型的なタラデガのレース展開となり、序盤から高速域でのビッグアクシデントが発生。ステージ1ブレイク目前の59周目には、ガス欠症状によりスローとなったリッキー・ステンハウスJr.(JTGドアティ・レーシング/シボレー・カマロ)を起点に、このレースウイーク直前に2010年創設のカイル・ブッシュ・モータースポーツ(KBM)売却を決めたカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が追突してしまう。

 そこで回避行動を取った8号車が、その脇をすり抜けようとしたロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)を引っ掛け、昨季ランキング2位の1号車はこのポストシーズン初のDNFを喫することとなった。

「レースとはこういうものだけど……それに関して個人的に何も言うことはない。でも、この現実はどうにも受け止め切れないよ」と肩を落としたチャスティン。

「数周早くボトムレーンに移っていればよかったかもしれないが、数台が前にいて敢えて隙間を狙いに行った。事故を検証して次戦はさらに良くなりたい。チームがどんな仕上げのクルマを用意するにせよ、このトラックハウスの“ロケット・シップ”をドライブできる限り、これからも全力を尽くして戦い続けるつもりさ」

 そのままステージ1はブレイニーが、続くステージ2はこちらもプレーオフ権を持つブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)が制覇する一方、チャスティンとは“犬猿の仲”でもあるハムリンは、中盤のレギュラーピットでペナルティを科され周回遅れからの挽回を強いられる。

■残り30周を前に赤旗中断。最後は0.012秒差でブレイニーが制す
 さらにプレーオフドライバーの受難は続き、残り30周を前にフロントストレッチで8台が絡む“ビッグワン”が発生し、ここにケセロウスキーも巻き込まれてしまう。

 同じく絡んだ僚友クリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)やチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)らは辛くもレース続行が叶ったが、ケセロウスキーに加えてオースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)や、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)らはここでマシンを降りることに。

 このアクシデントによるデブリ回収で約10分の赤旗中断を経て、残り13周で迎えたリスタート。ホワイトフラッグに向けプレーオフドライバーのウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)やハーヴィックに対し、残り2周で仕掛けたブレイニーはまさに“フォトフィニッシュ”でのトップチェッカーを受け、日曜わずか8周のリードで同地通算3勝目と、続く“Round of 8”への進出権を獲得してみせた。

「何だかよく分からない(笑)。最後の数周どころか、最後のリスタートもかなりワイルドだったよ」とキャリア通算9勝目を挙げ笑顔のブレイニー。「ちょっと勢いを失ったけど、その後は盛り返してボトムに移り、最後はケビン(・ハーヴィック)とドラッグレースを続けた。ここタラデガで3回も勝てたのは本当に素晴らしいこと。それにウイリアム(・バイロン)の後押しのおかげでここ数年よりも大きな差で優勝できたよ(笑)」

 一方、わずか0.012秒差で敗れながら「スーパースピードウェイ最後のレースだし、クルマは順調に走ってくれた。ほぼ勝利みたいなもの」と喜びを語っていたハーヴィックは、レース後の検査で『フロントガラスの留め具はイベント全体を通してしっかりと固定されていなければならない』とする2件のNASCAR条項に違反したとして失格処分に。

 ステージ2での8位通過ポイントも剥奪されたが、所属するSHRは「なぜこのようなことが起こったのか、そして今後どうすればそれを防ぐことができるのかを診断している」として、控訴も行わない意向を示した。

 この結果、昇格2位のバイロンに続き、3位にはラップダウンから怒涛の巻き返しを披露したハムリンが入り、最終的にプレーオフドライバーによるトップ3となった。

「僕らがどうシナリオを描いたかは定かじゃないが、これはほとんど“dub(W=勝利)”のようなもので、僕らのブック(筋書き)の中での“dub”さ」と4位入賞直後に語ったハムリン。

「それに限りなく近かったし、明らかに『チームは勝てるほど速いクルマを持ってきてくれた』と高らかに主張したい気分さ。適切なタイミングで適切な動きをしただけで、残り15周の時点でトップ5は遥か彼方だったんだからね」

 併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第21戦『ラブズRVストップ250』は、やはり10台のトラックが絡んだ“ビッグワン”からのオーバータイム・リスタートで、ブレット・モフィット(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)が今季初参戦で初勝利の大金星を挙げることに。

 服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)は引き続き2台体制を敷き、16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRDプロ)は無念の中盤リタイヤ、61号車ジェイク・ドリューは20位に終わっている。

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