各社から新しい電気自動車が続々と発表、発売されるようになってきたが、一方でHVやPHEVの注目度も上がっている。そこで、今回は、最新の性能をまとった完成度の高い日本のSUVを紹介しよう。
世界を見ても自動車開発のトレンドはEV(電気自動車)中心に動いていると言えるだろう。だが、充電設備の普及状況や各国の電力事情を考えると、EVの普及が一気に進むかどうか、疑問が残る。
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内燃機関を有するクルマはしばらくは必要だが、合成燃料などクリーンな燃料を使うものが増えるだろう。その状況が続けばエンジン+電気のハイブリッド車(HV)が主力となるはずだ。実際に国内メーカーは一気にEVにシフトせず、HVや外部充電もできるプラグインハイブリッド(PHEV)の開発にも力を入れている。今回は国内メーカーが誇る最新のHV車とPHEV車を比較試乗した。
トヨタはHVで世界をリードし、PHEVでも高性能モデルの開発を続けている。同じグループのレクサスも電動化ビジョンを掲げ、第2弾として『NX』を昨年10月に発表した。同ブランド初のPHEVをはじめ、HV、自然給気エンジン、ガソリンターボなど多彩な動力源を取り揃えており、HVにはFF、4WDを用意した。
今回の試乗車はFF車だったが、前輪にガソリンエンジンとモーターを備え、パドルとシフトレバーによる手動の6速も使えるスポーティーなSUVに仕上がっている。
実際に、新たに採用し進化したGA−Kプラットフォームはエコ、ノーマル、スポーツの各モードで違いのある、落ち着いた乗り味を楽しむことができた。室内のクオリティーや雰囲気は上質感があり、思わず輸入車のように左手でウィンカーレバーを動かそうとしてしまったほど。最近のレクサス車の完成度は、輸入車、特にドイツ御三家に匹敵するレベルだということを改めて感じた。
一方の三菱『アウトランダー』は昨年12月に発表されたPHEV。初代は2001年に発売され、このモデルは3代目となる。三菱の電動化技術といえば2009年にリチウムイオン電池を搭載した世界初のEVを発売した実績がある。4輪の制御技術に関しても1980年代から『パジェロ』や『ランサーエボルーション』でWRCを戦ってきたノウハウと経験がある。エンジンが電池の充電に使われるのは日産と同じ方式だ。走りの味つけは舗装路からダート、泥ねい地などラリーで培ってきたノウハウが生かされており、運転を存分に楽しむことができる。
いずれも性格は異なるが世界で通用するSUVといえるだろう。
徹底的に磨き上げられたドライビング
レクサス『NX350h』
Specification
■全長×全幅×全高:4660×1865×1660mm
■ホイールベース:2690mm
■車両重量:1760kg
■排気量:2487cc
■エンジン形式:直列4気筒DOHCガソリン+交流同期モーター前
■最高出力:190PS/6000rpm+182PS
■最大トルク:243Nm/4300~4500rpm+270Nm
■変速機:電気式無段(6速MT付き)
■燃費:20.9km/L
■車両本体価格:608万円
※「バージョンL」
台形を組み合わせたスピンドルグリルはボディーの高さに合わせて変形させ、ラジエーターの冷却効率を高めている。薄いヘッドライトにはL字形のデイタイムランニングライトを内蔵。
全長、全幅、全高、ホイールベースはすべて『アウトランダー』よりひと回り小さい。リアのオーバーハングを短くするなどスポーティーな印象を強調。ロング車体版はない。
後輪の張り出しを強調するようなデザインと、左右のテールランプをつなぐテールライトの流れるようなラインは、レクサスのSUVデザインの特徴のひとつ。
洗練された力強さを追求した最上位モデル
三菱『アウトランダー』
Specification
■全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm
■ホイールベース:2705mm
■車両重量:2110kg
■排気量:2359cc
■エンジン形式:直列4気筒DOHCガソリン+モーター前後
■最高出力:133PS/5000rpm+116PS+136PS
■最大トルク:195Nm/4300rpm+255Nm+195Nm
■変速機:電気式無段
■燃費:16.2km/L
■車両本体価格:532万700円
※「P」(4WD)
三菱の新しい顔は、ボディーに対し上下に積み重ねたかのような縦長のヘッドライトとメッキを多用したグリルが特徴。高さを強調したボンネットで、SUVらしい迫力を演出している。
『NX』より、全長は50mm、ホイールベースは15mmほど長く、3列シートの設定も可能。水平基調のドアウインドウのラインと、飛行機の垂直尾翼をイメージしたCピラーの印象が目立っている。
テールランプの位置を高めにして左右に長く伸びる形状にしたデザインは、レクサスと同じ。三菱は左右のランプを一体化させることなく、水平基調を表現している。
上質感、走り、装備、どれをとっても完成度の高いミドルサイズSUV
レクサス『NX350h』
エンジンルーム
ボンネットの下には横置きされた直列4気筒2.5Lガソリンエンジンと前輪駆動用のモーターが格納されている。
運転席と各種装備
大型のセンターディスプレイはタッチ式を採用しており、多くの機能をソフトスイッチに集約している。運転席はややタイトな設定。
シートスペース
前席はやや低め、後席はやや高めの着座位置で開放感がある。床面中央のトンネルも低く、足元も広い。背もたれは電動で調整可能。
ラゲージスペース
奥行き、左右幅とも1m以上を確保した荷室。トノカバーは2つ折りのシェードタイプ。床下のサブスペースも深さがあり実用的だ。
【 ココがポイント!】ドアの開閉がラクにできる便利な電子制御システム
室内からドアを開ける時は、パワーウインドウスイッチの下にあるスイッチを押す。車外から開ける時はドアハンドルを握るだけ。レバーを引いたりせずに開けることができる電子制御システムを採用。
【 ココがポイント!】ほぼ1か所で様々な操作や設定ができるインターフェイス
シフトは前席の中央部に集約されており、操作のすべてを行なうことができる。ドライビングモード(エコ/ノーマル/スポーツ)の選択のみ、ダッシュボードにあるダイヤルで行なう。
三菱『アウトランダー』
エンジンルーム
フロントには充電用の直列4気筒2.4Lガソリンエンジンと前輪駆動用のモーターなどが収まっている。駆動用電池は床下に積載。
運転席と各種装備
水平基調のダッシュボードはオフロードでも車体の傾きをつかみやすくするため。メーターとモニターは見やすくスイッチは操作重視。
シートスペース
前席はやや高めの着座で車両感覚をつかみやすい。最上級のPグレードは上質な内装でBOSEのプレミアムサウンドシステムも標準装備。
ラゲージスペース
3列目シートは折りたたんで床下に収納できる。この状態で奥行き、左右幅は約1m。3列目は中間グレードと上級グレードに設定。
【 ココがポイント!】3列目はあくまで補助席レベルで実用性は低い
3列目シートは着座位置が高めで、身長155cmがやっと座れるぐらい。足元は2列目シートの下につま先が入らない。クッションも薄い。2列目もスライドさせて前方に動かせるが狭くなる。
【 ココがポイント!】三菱のDNAが注ぎ込まれたSUVを超越した走り
世界のラリー選手権を席巻した三菱らしい設定を楽しめるドライブモード。ノーマルのほかにターマック(舗装)、グラベル(未舗装)などラリー的な表記を採用。走りの実力は本物。
全体的な質感は『NX』、走りの楽しさは『アウトランダー』
[運転性能]高級感、上質感、運転のしやすさなど欧州車にも劣らない運転フィーリングの完成度はすばらしい。19点
[居住性]前後席ともに圧迫感がなく、居心地はいい。ボディーサイズも全幅以外は日本の道路事情にフィットする。18点
[装備の充実度]ミリ波レーダー、単眼カメラの検知拡大など運転支援技術の充実度はレクサス車の中でも上位クラスだといえる。19点
[デザイン]大きく口を開けたようなレクサス車のフロントデザインだが『NX』は周囲のクローム枠を排し品格が漂う印象に。18点
[爽快感]スポーティーな印象が強いハンドリング。ランフラットタイヤの乗り心地はやや硬めなので、改善の余地あり。18点
[評価点数]92点
[運転性能]ボディーはやや大きめだがドライブモードを駆使した走りはかなり楽しい。4WDの制御技術もかなりハイレベル。19点
[居住性]1列目と2列目のシートは乗員の身体をソフトに支えてくれる。3列目はあくまで緊急用として使えるレベル。19点
[装備の充実度]運転支援機能や安心・安全機能は充実している。上級グレードのモデルは、オーディオ類も充実している。18点
[デザイン]スポーティーさより実用的なワゴンを意識したデザインは、ファミリー向き。ひと目で三菱車とわかるデザインだ。18点
[爽快感]ダートコースも走ってみたが、ラリー気分を味わうことができた。ボディーの大きさと重さが少し気になる。18点
[評価点数]92点
【OTHER CHOICE】国産車も輸入車も選択肢が多いSUVカテゴリー
今回紹介した5~7人乗りのSUVは、国産車、輸入車を問わず、国内市場でも車種の多いカテゴリーだ。トヨタ『RAV4』もエントリー価格は339万1000円だが、最上位モデルになると539万円なので競合車に当たる。
メーカー別に見ると、日産は『エクストレイル』、ホンダは『CR−V』あたりが、サイズ的に同じカテゴリーに入ってくる。さらにマツダも今年の秋には『CX−60』を投入する予定だ。車両本体価格も300万円台からとなっているため、今後、激しい戦いが繰り広げられそうだ。
どのクルマにもエンジン+モーターのHV車がラインアップされているが、『RAV4』や『CX−60』にはPHEV車も用意されている。輸入車を見ると、メルセデス・ベンツ『GLB』、BMW『X3』、ジープ『チェロキー』などがサイズで同じクラスとなる。『X3』にはピュアEVも用意されており、価格帯もベースモデルなら、『NX』や『アウトランダー』と戦えるゾーンに入ってくる。
トヨタ『RAV4』
339万1000円~
マツダ『CX-60』
未定
文/石川真禧照 撮影/望月浩彦
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年4月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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アウトランダーのライバルはRAV4一択です。
アウトランダーに試乗したが、乗り心地は一級品。レクサスに負けてないと思う。