現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「カンサイサービス向井氏が振り返る第二世代GT-Rチューニングの軌跡」国産車初の200マイル超えを達成した名門の歩み

ここから本文です

「カンサイサービス向井氏が振り返る第二世代GT-Rチューニングの軌跡」国産車初の200マイル超えを達成した名門の歩み

掲載 更新
「カンサイサービス向井氏が振り返る第二世代GT-Rチューニングの軌跡」国産車初の200マイル超えを達成した名門の歩み

向井敏之氏が振り返るRB26チューンの軌跡

第二世代GT-Rの登場から加速したカンサイサービスの躍進

「4A-Gエンジンを捨て去ったモーター駆動の電気ハチロク!」コンバートEV仕様の可能性

RB26チューンの黎明期には、谷田部での最高速テストや0-300km/hテストに積極的に取り組んだ名門「カンサイサービス」。

タービンのテストや、排圧、排気温度、吸入空気量、そして点火時期のバランスはどうしたらいいかなど、現在のKansaiチューンの基礎はこの時期に構築されたといっても過言ではない。そこで今回は、第二世代GT-Rが登場してからの軌跡を改めて振り返ってみたい。

1988年、谷田部の最高速テストにおいて、3.1L+TO4EツインターボのMZ20ソアラで323.159キロを樹立し、国産車初の200マイルオーバーを達成したカンサイサービス。その翌年に登場したのが、BNR32型スカイラインGT-Rである。当時はスープラ、ソアラ、Zなどによる最高速テストが全盛だったが、そのタイミングで2.6L直6ツインターボ、4WDシステムなど、グループAを強く意識したパッケージングを備えて誕生したBNR32は、日本のチューニングシーンに大きな衝撃を与えた。

2台体制で開発をスタートさせたカンサイサービスも、すぐにブーストアップ仕様で谷田部を走らせ、純正交換のボルトオンツインからターボチューンに着手。同時にシングルターボのテストも進め、BNR32が発売された1989年には早くもTO4Sタービン仕様で300キロオーバーに到達している。

なお、当時、谷田部のテストでステアリングを握っていたのは、オプション誌総帥であるDaiこと稲田大二郎。パワー勝負のイメージが強い最高速だが、向井氏は「Daiちゃんがいかに安心して乗り続けられるかが結果につながる」と信じてセットアップを重ねたそうだ。

ちなみに、全盛期には奈良から茨城の谷田部まで週に4回も自走で通ったという。テストは早朝に行われたので、当然徹夜の連続となったが「実走行データの蓄積の積み重ねが、マシンのポテンシャルを大きく押し上げた」と、向井氏は当時を振り返る。

4WDであるGT-Rの出現は、谷田部でのテスト方法も大きく変えていく。それまでは最高速度をクローズアップしていたが、小野ビットの導入により、0-300キロのタイムトライアルへと変化。4WDスポーツの強みを明確化するため、ゼロスタートから300キロに到達するまでの加速性能が重視されるようになる。

その過程で、エンジンだけでなく、クラッチ、ミッション、足回り、LSDなど、トータルパッケージを重視したクルマ作りへと大きく舵を切る。タイム短縮には適度にフロントを駆動させる必要があり、アテーサET-Sコントローラーを開発。その他にも走行中のジオメトリー変化を抑え、ロスなくスムーズに加速させるためにテンションロッドブッシュのピロ化を図るなど、アレンジは広範囲に及んだ。

いくら出力を引き上げても、BNR32は4速と5速の間隔がやや離れているため、0-300km/hテストでは5速に入れた途端、加速が鈍くなる。そこでオリジナルのクロスミッションも開発&製品化。このパーツによって、タイムはイッキに短縮した。

こうして、一時代をBNR32とともに生き抜いた向井さんが「一生付き合っていけるプライベートカー」として、のちに製作するチューンドBNR32が“T.MUKAIエディション”だ。あと10歳、歳を重ねても、違和感なく乗りこなせるように、スムーズな吹け上がりとピックアップの良さを徹底追及。使用するタービンは、N1タービンに近いサイズのコンプレッサーハウジングと純正エキゾーストハウジングをミックスさせた、KansaiオリジナルのLCタービン。一時製品化されていたが、今でも再販化のリクエストが多いタービンである。

BNR32で各メーカーのパーツも出揃い、GT-Rのチューニングシーンは熟成の域に達する。1995年にBCNR33型がデビューしてからは、ヘビーウエイト化やハイパワー化に対応するべく、タイヤ&ホイールの大径化と高性能化が一気に進む。また、BNR32では2.8Lが主流となっていたエンジンは、耐久性を考え、ボア径の拡大を控えた2.7Lでのアタックが浸透。ハイブーストに耐えられる強度確保が結果的にパワーアップに繋がる、という考えが定着していった。

BCNR33の登場と時を同じくして、ホームストレートがゼロヨンコースを兼ねるセントラルサーキットが兵庫県にオープン(1996年)。関西方面でゼロヨンに火がつき始め、カンサイサービスもその流れに乗ったが、あくまでも車両やパーツの開発を目的とする同社にとっては、ブロー覚悟の一発アタックが必要となるゼロヨンよりも、耐久性が求められる谷田部での最高速を重視していたそうだ。

その後に登場したBNR34は、MAXスピードは狙えるが、重量がさらに増え、加速性能でのハンデが大きい。サーキットアタックの盛り上がりもあり、以後はカンサイサービスもサーキットでのテストに比重を移すことになる。しかし、高負荷で周回を重ねる最高速テストはパワーだけでなく、耐久性も求められ、この時期に積み重ねた経験やノウハウは、現在のR35チューンなどにも活かされていることは言うまでもない。

●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126

こんな記事も読まれています

新型[デリカ]が衝撃デザインでデビューへ!! [クルマが透ける]機能まで!? 2026年登場で600万円か
新型[デリカ]が衝撃デザインでデビューへ!! [クルマが透ける]機能まで!? 2026年登場で600万円か
ベストカーWeb
ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました
ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました
Auto Messe Web
ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
ブリヂストン 新スポーツタイヤ「ポテンザ RE-10D」発売 サーキットでのタイム短縮追求
グーネット
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
サーキットも普段使いも!クラシカルなフルバケット「ジータIVクラシック」発表 ブリッド
グーネット
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待
AUTOCAR JAPAN
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
竹岡圭さん「XCRスプリントカップ北海道」参戦!三菱&トーヨータイヤがサポート
グーネット
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
シンプルデザインで車内にマッチ タテ・ヨコ回転OKの車載スマホホルダー シズカウィル
グーネット
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
アウディの充電施設、2か月で600名利用 新料金プランでサービス提供開始 東京・紀尾井町
グーネット
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か
AUTOSPORT web
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
V8×MT×FR採用! 新型「スポーティセダン」初公開! “青感”高めた「豪華内装」が超カッコイイ「CT5-V ブラックウイング ル・モンストルE」アメリカに登場
くるまのニュース
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
マクラーレン 初のEVスーパーカー計画、現在の技術では達成困難 「支援」要請
AUTOCAR JAPAN
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
駐車の際の「前向き」「後ろ向き」問題…日本での正解をお教えします! 米国で「前向き」が多いのは防犯上の理由もありました
Auto Messe Web
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
AUTOSPORT web
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
AUTOCAR JAPAN
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
レスポンス
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
AUTOSPORT web
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
くるまのニュース
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

144.81730.0万円

中古車を検索
スープラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.5789.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

144.81730.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村