ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)社長のデイビッド・ソルターズによれば、ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)は現行LMDh車両『アキュラARX-06 』を使用した将来のWEC世界耐久選手権参戦プログラムの可能性について、「真剣な評価」を開始したという。
■デイトナ24時間ではホンダ/アストンマーティン系ドライバーも起用可能に?
北米のHPDがホンダ・レーシング・コーポレーションUSAに変更。F1をはじめグローバルなモータースポーツ活動を担う
9月21日に発表されたとおり、ホンダの日米モータースポーツ部門間の新たなグローバル連携の一環として、カリフォルニア州に本拠を置くHPDは2024年1月から『HRC US』へと社名を変更する。
ル・マン24時間レースを含むWECハイパーカークラスへの参戦について具体的に言及したソルターズは、まだ決定は下されていないものの、組織変更によってそのようなプログラムが可能になると述べている。
2023年現在、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスにLMDh車両で参入しているのはアキュラ、ポルシェ、BMW、キャデラックの4マニュファクチャラーだ。このうちポルシェとキャデラックは2023年からWECにも参戦しており、BMWは2024年からのWEC参入を発表済みだ。
ARX-06のグローバルなプログラムに関するHPDの以前のスタンスは「HRCの決定次第」というものだったが、この先はそれらふたつの組織はより密接な関係となる。
「我々はいま、世界的な舞台で戦うという使命を担い、総力を結集している」とソルターズ。
「もちろん、我々は何がビジネスとして理にかなっているか、競争上理にかなっているかを評価しなければならない」
「もしレースをするのであれば、競争力がなければいけない」
「この新しい組織変更によって、その可能性が高まるのは確かだ。そして、それが我々のブランドにとって意味のあるものであることを確認する必要がある。我々は競争力を持てるのか? これは、とても興味深いことだと思う」
WECなどのプロジェクトに対するプロジェクトの具体的なスケジュールについて尋ねられたソルターズは、2024年のプログラムについては否定し、現時点では「明確なタイムスケールはない」としながらも、「真剣に評価している」と述べた。
「我々は、常に明確であったと思う。WECを検討する必要がある。私の謙虚な意見では、我々は素晴らしいARX-06を持っており、(ベースシャシーを製造する)オレカは素晴らしい仕事をしてくれた。(IMSAでの)我々のレースチームも素晴らしい仕事をしてくれた」
「我々はARX-06にほれ込んでいるんだ。とても気に入っている。もちろん、WECに参戦する資格は有している。だが、我々は常に、何が意味を成すのか評価する必要があると述べてきた」
「ビジネス的な意味、マーケティング的な意味、ブランド的な意味、そして私にとって非常に重要なのは、競争的な意味においてだ。競争力が必要なのだ」
「競争力がないのなら、レースには出ない。我々はそういったことを常に評価している」
「いま我々はグローバルなモータースポーツに目を向けているから、よりフォーマルな評価が必要だ。しかし、その境界の条件は変わらない。それが理にかなっているかどうかを評価する必要がある、ということだ」
「我々はそれを行い、努力し、何が我々の会社と従業員にとって理にかなっているかを見極めるだろう」
2024年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で2台のアキュラARX-06を走らせることが決定しているウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッテイ・オートスポートの共同オーナーを務めるマイケル・アンドレッティは、以前からWECへの参戦に興味を示していた。
一方、WTRアンドレッティの共同オーナーであるウェイン・テイラーは以前の取材に対し、2024年のIMSA開幕戦デイトナ24時間では現役のF1ドライバーを起用する予定だと語っており、ホンダ系のドライバーが起用されるのではないかという憶測を呼んでいる。
HRCの渡辺康治社長は、ホンダが支援するF1など他シリーズのドライバーがデイトナ24時間レースに出走する可能性について、次のように言及した。
「どのドライバーを起用するかは、最終的にはチームが決定します」と渡辺社長。
「しかし、必要性が生じれば、我々はそれを行う必要があります」
「たとえば、アストンマーティン。もしアストンマーティンの誰かがいれば、ジュニアドライバーのひとりを起用することになるでしょうし、もしスペース(シート)に空きがあり、その必要性があるのであれば、彼らを移籍させてそのイベントに参加させることもできます」
「それはひとつの可能性ですが、そうなればとても面白いことだと思います。基本的にはチームが決めることですが、ニーズがあるのなら、我々は必要であればそうすることもできるのです」
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