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公道試乗 トヨタ・スープラ新型(日本仕様) 3グレードの価格/スペックを比較評価 

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公道試乗 トヨタ・スープラ新型(日本仕様) 3グレードの価格/スペックを比較評価 

もくじ

どんなクルマ?
ー 2019年登場 5代目スープラ(A90)

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どんな感じ?
ー ハンドリングか 限界性能か
ー SZでも FRスポーツの魅力
ー AVS搭載グレードは?
ー 3グレード こう違う

「買い」か?
ー 新型スープラ 走りの評価は?
ー FRスポーツで選ぶなら…
スペック
ー 新型スープラのスペック

どんなクルマ?

2019年登場 5代目スープラ(A90)

TNGAプラットフォームでもなければ、トヨタ・セーフティセンスでもない。何故なら基本設計や製造はBMW社が行うため。

もっとも、「TNGA」は合理化を主体とした設計や製造の基本理念のようなものであり、「トヨタ・セーフティセンス」も先進安全&運転支援機能のトヨタにおける呼称なので、その名が使われているかどうかは大した問題ではない。ちなみに歩行者/自転車対応AEBSや全車速型ACC、半自動操舵LKA、RCTAなどの安全&運転支援装備が全車に標準装着され、内容的にはトヨタ・セーフティセンスの範疇である。

ということでスープラはBMW製トヨタ車。オーストリアのグラーツ工場で生産される「日の丸輸入車」である。

ハードウェア面ではBMWのZ4と姉妹車の関係にあり、久々に復活した直6もM40iと同型のB58型。直4のパワートレインもZ4と共通している。ただし、BMWが主体ではあるもののトヨタとの共同開発車であり、トヨタの思う理想的な「スープラ像」が開発段階から練り込まれている。

言い方を換えるならBMWのハードをベースにしているからこそ、今のトヨタが、あるいはスープラに求められた走りやスポーツカーの在り方がより明確化するわけだ。決してトヨタのバッヂを付けたBMW車ではないのだ。

どんな感じ?

ハンドリングか 限界性能か

細身のコアにバーンと張り出したフェンダー。4.4mの全長ながらやたらと幅広く見える。もはや死語かもしれないが「ボン、キュッ、ボン」のグラマラスな肢体である。

それはフェンダーまわりを別設えとしたような造形の妙味が大きいが、別の視点ではトヨタがこだわったショートホイールベースも利いている。トレッド幅に対してホイールベースを短く設定。スープラのW/T比は約1.55でしかない。86が約1.68であり、同トレッド幅群ではかなりのショートホイールベース設定である。7:3くらいの角度で見た時の前後輪の張り出し感はフェンダー造形と共にW/T比設定の賜である。

もちろん、ショート&ワイドなフットプリントは外観のためではない。言うまでもないが運動性向上が主目的である。前輪の横変位量に対するヨーの変化が大きい、前後輪の荷重変化が出やすい等々の要件から同トレッドならショートホイールベースのほうがハンドリングやコーナリング限界が向上する。返せば破綻を起こしやすく、ヨーの収束性に難がある。安定した操縦性や限界性能を求めるには好ましくないレイアウトとも言える。

ショート&ワイドの長短を上手く按配を付けられるかが走りの見所のひとつだ。

SZでも FRスポーツの魅力

サス仕様は標準型とAVS(電子制御ダンパー)の2仕様があり、前者はSZ(写真黒)、後者は4気筒の上級設定となるSZ-Rおよびトップモデルとなる直6搭載のRZに採用される。SZ-RとRZは車重が70kg異なるが、主にパワートレインまわり重量差であり、荷重配分ではRZがフロントヘビーである。

こういったサス仕様や荷重配分の違いはあるが、基本的な操縦特性は共通している。FRスポーツらしさを直感できる運転感覚や挙動はスープラの大切な魅力。前輪を路面に食い込ませるようなターンインからパワーオンで僅かに腰を落とし同時に後輪で蹴り出していく感覚はエントリーモデルとなるSZでも変わらない。

ハード的姉妹車となるZ4と対照的に中立付近の反応は意外と鷹揚である。舵を送り込んでいくほどに粘りよく回頭していく。操縦感覚はどこかで経験したような…、カートに似ているかも。

しかも、前後輪のどちらが逃げても急激にグリップを失うことはない。グリップバランスの急激な変化は抑えられている。荷重移動に対するヨーの据わりを基準にすると多少忙しい感もあるが、コントロールしている実感はFRスポーツ好きには大きな魅力である。

標準サスとAVS車を乗り比べると、すべての面でAVS車が優れていた。

単独で評価するなら標準サスも悪くないが、AVS車に比べるとサス収まりの悪さを感じてしまう。

AVS搭載グレードは?

体感的にはAVS車は粘りながら深いストロークを使い、切り返しの時の戻りでも跳ね返されるような感覚が少ない。それらは適度な冗長性を持ったコントロールしやすさや挙動の収まりのよさに表れる。

乗り心地でも同様の違いがあり、路面からの刺激的揺れが多少緩和される。もっとも、質感やしなやかさが増してもハードサスらしい乗り心地であり、カップルで快適なツーリングを楽しむにはスポーツ趣味が濃すぎる。

なお、AVS車のダンパーはモンロー製の本体とオーリンズ製減衰力制御機構で構成するが、減衰力制御機構にリニアソレノイドバルブを使うのは最近のAVS車と共通。クラウンはKYB製、レクサスRCはザックス製を採用するが機能や制御ロジックはほぼ同じ。ちなみに減衰力制御はホイール側と車体側に付けられたGセンサーによりストローク速度を検出し、ストローク速度を最適化するように減衰力を制御する。

フロントヘビーになるほど運動性は低下する、はスポーツカーの定説のひとつだ。その伝で言えばSZ-Rが理想となりそうだが、スープラのトップモデルはフットワークでもRZである。

挙動の収まりや前輪の接地感がSZ-Rよりもしっとりしている。あるいは加速に移行し後輪荷重が増加した時の前後のグリップバランスのよさもある。重みがいい感じに過渡特性を均した感じとも。

軽快感で評価すればSZ-Rだが、直6ロングノーズのFRスポーツという感覚が強化されて、これぞスープラと思わせてくれた。

3グレード こう違う

SZとSZ-Rはともに4気筒の2ℓターボを搭載するが、最高出力は前者が197ps、後者が258ps。約60psの差があるのだが、ふつうに走らせている時は大して違わない。アクセルのペダルストロークに対する加速も50%くらいまでは似たような印象。扱いやすく力強い。

しかし、さらに踏み込んでいくと加速の伸びが違う。SZ-Rが踏み込み量分にリニアに加速を高めていくのに対して、SZはアクセル開度50%でトルクの七割を使い、残る三割を50~100%に振り分けた感じなのだ。SZでも十分に高性能ではあるが、スポーツドライビング時の高揚感はSZ-Rが一枚上手。「回す程に速い」が圧迫感なく楽しめる。

RZのパワーフィールはSZ-Rの高負荷域を三割増しにしたような感じだ。アクセル開度50%くらいまでは似たような力感。つまり、アクセルの浅い領域では全仕様とも似たような特性で、それは一般用途で扱いやすさとゆとりに繋がる。スペックの差は深く踏み込むほどに現れ、スポーツドライビングの高揚感としてドライバーに伝えられる。

さらに直6の重質で精度感のあるエンジンフィールと重さを感じさせない反応のよさが速さ以上の操る心地よさをもたらす。

それは深く踏み込んだ時の操る楽しみの奥深さだけでなく、紳士的な力強さが全域において「良質」あるいは「大人」な味わいをもたらす。スープラのトップモデルに直6必須とするのも大いに納得させられた。

「買い」か?

新型スープラ 走りの評価は?

自説と思われても構わないが、ハンドリングの理想は「いつでもどこでも弱アンダーステア」である。理由は簡単で、車両全体のコーナリングフォースとラインコントロール性。弱アンダーステアを維持するために技や補正頻度が増えるほど好ましくない。

なのだが、それは原則論である。アクセルを用いて前後輪のグリップバランスを調整し、スリップアングルやコーナリングラインをコントロールするのはスポーツドラテクの基本でもあり、操る楽しみでも重要だ。

ただし、前後どちらかのグリップが抜けてアンダーステア/オーバーステアの振れ幅が大きかったり、加減速にヨーが過剰反応するのは論外である。

これら要点を前提にスープラの走りを見ると、実に上手くまとまっている。

FRスポーツドライビングのセオリー通りに反応するが、前後輪ともに粘りのグリップで神経質あるいは過剰な反応を排除。これらが適度な緊張感と高揚感を生み出し、それは確かな動的性能の上で成立したFRスポーツの醍醐味でもある。

FRスポーツで選ぶなら…

価格レンジは500~700万円。レクサスならRCと被る価格帯。姉妹車のZ4はM40i以外が被ってくる。果たして何がベストなのか?とはならないのである。

RCが大人のツーリングクーペ、Z4はオープン2シーターの爽快感が特徴であり、いずれも価格相応の魅力を備えているが、嗜好と志向の面で別系統。そして「FRスポーツの醍醐味」を最優先する限り、同価格帯のベストな選択のひとつがスープラなのは間違いない。

設定3仕様の各グレード間価格差は100万円。スープラで何を選ぶかはかなり悩ましい問題。資金潤沢ならRZ狙いだが、コスパでは4気筒系も捨て難い。結局は無理のない予算で選ぶのがベストチョイスなのである。

新型スープラのスペック

トヨタ・スープラRZ

■価格 690万円
■全長×全幅×全高 4380×1865×1290mm
■ホイールベース 2470mm
■トレッド(前/後) 1595/1590mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費(WLTCモード) 12.2km/ℓ
■車両重量 1520kg
■エンジン 直列6気筒2997ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 340ps/5000rpm
■最大トルク 51.0kg-m/1600-4500rpm
■ギアボックス 8速オートマティック





トヨタ・スープラSZ-R(RZとの差分のみ)

■価格 590万円
■全長×全幅×全高 4380×1865×1295mm
■燃費(WLTCモード) 12.7km/ℓ
■車両重量 1450kg
■エンジン 直列4気筒1998ccターボ
■最高出力 258ps/5000rpm
■最大トルク 40.8kg-m/1550-4400rpm





トヨタ・スープラSZ(RZとの差分のみ)

■価格 490万円
■全長×全幅×全高 4380×1865×1295mm
■トレッド(前/後) 1610/1615mm
■燃費(WLTCモード) 13.1km/ℓ
■車両重量 1410kg
■エンジン 直列4気筒1998ccターボ
■最高出力 197ps/4500rpm
■最大トルク 32.6kg-m/1450-4200rpm



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