過走行のプリウスを買うということ
きっかけは、走行距離62万7000kmのトヨタ・プリウス(2011年式の60REG 1.8 VVT-h T Spirit)だった。
【画像】人の移動を支え続けるハイブリッドのパイオニア【トヨタ・プリウスを写真でじっくり見る】 全92枚
英国に住む筆者の友人がクラシファイド広告で見つけてきて、3150ポンド(約50万円)で、12か月の故障補償付きなら一見の価値あり、と言ってきたのだ。
個人的には、友人はディーラーが昔から使っている手口に惹かれたのだろうと思う。「First to see will buy」、つまり「最初に見た人が買ってしまうかも」という宣伝の常套句だ。それでも、筆者はディーラーに電話をかけることにした。結果、宣伝文句の通りになったというわけだ。
過走行のプリウスについて考えさせられた。その数は実に多い。もちろん、フォード・モンデオやフォルクスワーゲン・パサートにも、走行距離の長い中古車がたくさんある。しかし、小さな広告に出続けるのはプリウスだ。その主な理由は、プライベートハイヤー(PHV)のドライバーやオペレーターの間で人気があるためだ。
友人の見つけたプリウスは一晩で売れたわけだが、同等の中古車を見つけるのは簡単だった。
不思議に思われるかもしれないが、25万~30万km程度のプリウスよりも、このような過走行のプリウスの方が「信用」できるのである。筆者はディーラーを訪ね、他のクルマはないのか、走行距離が長いとプリウスはどうなるのか、などを確かめてみた。
老朽化にメーター改ざん…… メリットはある?
筆者は以前、クルマの走行距離に関する特集で、29万kmを走ったと主張する2010年式プリウスを紹介したことがある。しかし、MOT(英国の車検)の記録をチェックし、さらに走行距離の専門家に相談したところ、実際には64万kmを走行しているとのことだった。
過走行のプリウスについて、いや、どんな過走行車についても言えることは、それを販売するディーラーが営業時間を守ったり、スマートな店舗を構えたり、歓迎のコーヒーを淹れてくれたり、といったサービスはあまり期待しないほうがいいということだ。過走行車の利益からは、そんな余裕は生まれにくい(あくまで英国の話)。
筆者は午前10時ちょうどにディーラーのプレハブ店舗に着いて、30分ほど待ったが、一向に人が来る気配はなかった。
暇を持て余し、展示されているプリウスを見て回ることにした。2004年式の1.5T Spritで27万km、3995ポンド(約64万円)とある。車検の記録を見ると、2011年から2012年の間に、38万3000kmから17万3800kmに「調整」されていることがわかった。つまり、実際には48万km走ったことになる。
クルマをひと目見て納得した。淡いベロアの内装は黒く汚れ、ステアリングはテカテカに光り、コラムカバーには皮膚細胞やさまざまなゴミが付着している。プラスチック製のカウルカバーは脆くひび割れ、アルミホイールは腐食が進んでいた。
このディーラーはもう十分見たので、広告に載っていた別のプリウスを探しに出る。お目当ては2014年式の1.8 T3で、走行距離は37万km。プライベートハイヤーのライセンスがまだ1年残っている9000ポンド(約146万円)の個体は珍しいものだったが、悲しいかな、そのクルマもディーラーもどこにも見当たらなかった。
気を取り直して、次。ワンオーナーの2011年式1.8 T4、走行距離26万2000km、価格は6795ポンド(約110万円)である。今回は、ディーラーが立ち会ってくれたので試乗することができた。
走行距離が伸びてもクルマが良くなるわけではないが、試乗してわかったのは、それをうまく誤魔化しているものもあるということだ。26万2000kmのプリウスはガタガタと音を立てながら走っていたが、ブレーキの効きは強く、エンジンは単調だが適度に回り、CVTも文句を言わずスルスルと動いていた。
シートも意外に快適で、汚れやシワなどはそれほどひどくない。しかし、初期のプリウスはプラスチッキーで味気なく、家族よりも運賃を運ぶのに向いていることを思い知らされた。
デメリットも踏まえた上で乗れば幸せになれるかも
そういえば、配車サービスのUberが「パートナードライバー」たちにプリウスを捨てて完全EVを選ぶよう奨励している(同社は2025年までにロンドン市内で排ガスゼロを目指す)ので、今後このハイブリッド車のパイオニアがクラシファイド広告に載ることが多くなるだろうと予想される。
地方当局のプライベートハイヤー・ライセンスの更新切れも、乗り換えを促進する要因の1つだ。
最近の発表では、申請日から5年以上前に新車登録された車両については、通常、新しいライセンスは交付されないという。さらに、初めてライセンスを取得する車両は、ユーロ6の排ガス規制を満たさなければならない。そして、10年以上前に登録された車両は、ライセンスが更新されない。
この規定はロンドンにも適用されている。ロンドン市内には約8万台のプライベートハイヤーが走っているが、そのうち3万台以上がプリウスと、圧倒的な支持を得ている。
このほかにも、ホンダのインサイトが1200台、レクサスのCTが1000台など、面白そうなハイブリッド車が首都圏を駆け回っている。これらを中古で手に入れるなら、過走行の可能性があるため、車検証や整備記録を確認すべきである。
過走行車を買うのは良いアイデアか?
過走行車について特別なことは何もない。ほとんどのクルマは、手入れをすれば30万km以上走ることができる。過走行車を熱烈に支持している人たちは、コストパフォーマンスが高く、製造時に発生したCO2から最大限の価値を引き出し、地球を救うのに役立つと主張する(もちろん、経年劣化による排出量の増加は無視される)。
しかし、ボルボやメルセデス・ベンツでない限り、衝突安全性が低い、古いクルマであることが一般的だ。古いということは、新しいクルマよりも遅く、汚く、快適でないということでもある。とはいえ、走行距離の長いクルマを上手に走らせると、この世の中のシステムに勝ったような気分になるのは間違いないだろう。
過走行車の購入時に注意すべきこと
どんなクルマでも、道路を走る以上、走行距離は記録される。英国では「GOV.UK」というサイトで、MOT(車検)の記録をチェックすることができる。
個人から購入する際は、前の所有者にいろいろ質問するといいだろう。
「定期的に整備を受けてきた」などの主張は一旦無視し、すべての書類を精査して、定期点検や主要な整備を行った「証拠」を確認しよう。
エンジンやトランスミッションの不吉な音に耳を傾け、温度計をチェックし、油煙に注意しながら、冷間始動から徐々に温まっていく過程を観察しよう。
できるだけ長時間のテストドライブを行い、その性能を確認しよう。
豪華な仕様のクルマは、後々トラブルを招くだけなので、注意が必要だ。
トレーラーなどの牽引に使われていたクルマの場合、サスペンションやクラッチに問題がないか確認すること。
ボディの凹みや擦り傷にこだわらず、最も重要な錆びに注目しよう。
内装の傷みが激しいクルマは、交換にお金がかかるし、乗っていて気が滅入るので避けたほうが賢明だ。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント