素っ気なくなったインテリア
筆者はランドローバー・レンジローバー・イヴォークが好きだ。ところが、今回のフェイスリフトには疑問を抱かざるを得ない。
【画像】「らしい見た目」はそのまま レンジローバー・イヴォーク 競合クラスのSUVと比較 全156枚
初代をブラッシュアップさせた、2代目レンジローバー・イヴォークが登場したのは2018年。モダンなスタイリングは、これまで大きなリフレッシュを必要としてこなかった。今回の小改良でも、違いは非常に限定的だ。
マトリックスLEDヘッドライトのデザインが変わり、ウインカーと一体に。テールライトの点灯パターンも新しくなっている。目立つ内容としては、その程度。
反面、インテリアの変化度は大きい。センターコンソールのデザインは無駄を排除し、高品質な素材の内装で、実用性の高い空間へ仕立てたと、ランドローバーは主張する。
実際は、エアコンと、四輪駆動のテレインレスポンスやハイブリッドのモードなどのインターフェイスが、1面のタッチモニターへ集約。便利なショートカットキーも消えてしまった。センターコンソールは、プラスティック製パネルで覆われている。
初めて見た時は、その素っ気なさに少し驚いたほど。四角いシフトセレクターが、広大なサテンシルバーのパネルから突き出ているだけ。余白に小物入れを用意できそうに思える。プラスティック製のカップホルダーは、もっと頑丈そうな設計でもいいだろう。
レンジローバーらしい雰囲気はそのまま
ジャガー・ランドローバーのインフォテインメント・システムは、基本的に使いやすい。だが、新しい機能を後付けした感じが拭えない。メニューのデザインは、項目が小さく触れにくい。システム自体の反応も、少し遅くなったように思う。
サンルーフのプラスティックは上質さに欠け、製造品質が及ばない部分も。クヴァドラ社製のテキスタイル・オプションは、グレードダウンされた様子。人工皮革は不自然にソフトで、化学製品的な匂いも残っていた。
とはいえ、それ以外は、これまで通り魅力的なレンジローバー・イヴォーク。シートは座り心地に優れ、調整範囲が広い。体型に応じて、理想的なドライビングポジションを探しやすい。
シャープなスタイリングは、まだまだカッコいい。小さなレンジローバーらしい雰囲気が、若々しく表現されている。
欧州では2024年7月から、速度警告機能が義務付けられることになっており、レンジローバー・イヴォークにも追加された。必要なければ、運転支援システムのメニューで設定し、ステアリングホイール上のボタンでオン/オフを切り替えられる。
この運転支援システムで気に入っている制御方法が、アダプティブ・クルーズコントロール。先行車との車間距離を縮めていくと、通常のクルーズコントロールへ切り替わり、長くすると先行車へ追従するアダプティブへ自動的に回復してくれるのだ。
充電されている限りスムーズでパワフル
走行中の車内は静か。コンパクトSUVとしては、感心するほど軽快にコーナーを巡っていける。
細かい凹凸の処理など、乗り心地にはもう少しの洗練性が欲しい。19インチ・ホイールを履く試乗車の場合、サスペンションはかなり引き締められた設定のように感じた。
2021年に、英国編集部ではプラグイン・ハイブリッドのP300eへ試乗している。そのクルマは20インチ・ホイールを履き、全体的にしなやかな乗り心地だったとレポートしているのだが。
パワートレイン自体に変更はない。駆動用バッテリーの容量は12.2kWhで、充電されている限りスムーズでパワフル。駆動用モーターが効果的に働いてくれる。
充電が切れると、1.5L 3気筒ターボエンジンの荒っぽいノイズが目立つようになる。その場合、燃費は12.0km/L程度へ悪化してしまう。
エンジンを始動させず電気だけで走れる距離は、満充電で61km。数年前までは競争力が高かったものの、BMW X1やアルファ・ロメオ・トナーレなど、65km以上走れる新しいライバルも登場している。
一般的にモデル中期のフェイスリフトは、新参のライバルへ水準を合わせる狙いがある。しかし、今回のランドローバーは低価格化へ軸足をおいた様子。高級感が薄れたことは否定できない。コストを割くべき部分が、別にあったのではないだろうか。
◯:走行時の上質さ 市街地で優れた能力を発揮するハイブリッド・システム 軽快な操縦性と不満ない動力性能
△:駆動用バッテリーの充電が切れた時の走りと燃費 質感の落ちたインテリア 硬めの乗り心地
ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク P300E ダイナミックHSE(英国仕様)のスペック
英国価格:5万6080ポンド(約1037万円)
全長:4371mm
全幅:1904mm
全高:1649mm
最高速度:212km/h
0-100km/h加速:6.4秒
燃費:65.3km/L
CO2排出量:33g/km
車両重量:2082kg
パワートレイン:直列3気筒1497cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:12.2kWh
最高出力:308ps/5500rpm(システム総合)
最大トルク:54.9kg-m/2000-2500rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
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みんなのコメント
今こそ先代のポップアップダイヤルじゃないですか?ここにコスト掛けてほしかったです。
上下分割パネルも以外と使いやすいけど視線移動考えるとやはりワンパネルですかね?
買いもしない口だけライターの言ってることがなんか滑稽というか虚しい。