メルセデスAMGカスタマーレーシング部門責任者のステファン・ウェンドルは、ラフェエル・マルチェッロが同マニュファクチャラーから離れるという決断について、「我々はそれを完全に受け入れた」と述べた。
今週初めに発表されたように、7年間所属したマルチェッロのメルセデスAMGでの最後のレースは、11月19日にマカオで開催されるFIA GTワールドカップとなる。彼はこれまで、2019年の同レースを制しているほか、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパでのマルチタイトルやADAC GTマスターズのタイトルなどを、メルセデスAMGの下で獲得してきた。
エントリー1台減/マルチェッロはハイパーカーへ?/アジアの強豪が日本に拠点etc.【マカオGTワールドカップ・プレビューTopics】
■ジュンカデラの役割も縮小。新たなワークスドライバー探しへ
「それは、我々全員を悲しくさせる」とウェンドルは語った。
「我々のファミリー全体、チーム、ドライバーにとって大きな損失のように感じる。彼は多くのレースで勝利を収めた、献身的なドライバーだった」
「彼は我々を助けてくれたし、ファミリーの一員だった。そして、これからもずっとそうだろう」
WEC世界耐久選手権でBMWのハイパーカー・プログラムに参加することが濃厚とみられるマルチェッロは、昨年の段階では同メーカーからの離脱を引き延ばすことについて話し合った、とウェンドルは明かす。
「1年半前、彼が『次のステップに進みたい、ル・マンに行きたい、調子も良いのでプロトタイプレースをやりたい』という話を持ちかけたとき、我々はそれを完全に受け入れた」とウェンドルは言う。
「これは、我々が受け入れたことだ。我々は数時間にわたって話し合った。 私たちは彼をここに留めようとしたが、我々は現在のところ、プロトタイプカーを彼に用意することができない。これが、私にとっての限界だった」
「我々にできることは、(マカオでの)彼とのレースを楽しみ、彼の将来の幸運を祈ることだけだ」
一方、今週同じくワークスドライバーのダニエル・ジュンカデラがWECおよびIMSAでコルベット・レーシングに加わるという決定が明らかにされ、これがメルセデスAMGにとっては二重の打撃のように見えたが、ウェンドルによればこのスペイン人ドライバーは引き続き定員が減少することとなるファクトリー・ロスターの一員ではあるという。
Sportscar365は、ジュンカデラとコルベット・レーシングとの取り決めが、今年他のGT3マシンで競合しないレースに出場することを許可されたニッキー・キャツバーグの取り決めと似たものであることを理解している。
「来年も一部のレースでダニ(ジュンカデラ)をコックピットに乗せる予定だ」とウェンドルは認めた。
「ニッキーもバサーストとスパで我々のためにレースをしていたので、彼ら(コルベット)はシートタイムのあるドライバーを探しているのだと思う。これは我々のスケジュールには、よくフィットするものだ」
「だからこそ、ダニを迎えることができてうれしいし、来年ダニがいくつかのイベントに参加できることを誇りに思う」
「彼は今でもパフォーマンス・ドライバーだが、専属ではない。(2024年は)異なる立場となるが、同じステータスのドライバーは他にもいる」
マルチェッロが去り、ジュンカデラの役割が縮小されるため、メルセデスAMGは現在、潜在的な新しいパフォーマンスドライバーに関して「いくつかのオプションをバックグラウンドで」検討しているとウェンドルは語った。
「我々には非常に大規模なカスタマー・レーシングプログラムがあり、世界中に多くのチームがあり、新しいドライバーを検討し、若いドライバーと協力しているため、次のパフォーマンスドライバーを自分たちで育成するという選択肢を考えている」とウェンドルは説明する。
「とはいえ、一部のイベントでは1台あたりのドライバーの数が非常に多いので、ラインアップを強化するために、過去と同様に外部ドライバーをロスターに追加することを常に検討するつもりだ。ニュルブルクリンク、バサースト、そしてスパもそうなるかもしれない」
メルセデスAMGは先週末、スペインのバレンシアで若手ドライバーテストを実施し、来月のガルフ12時間レースに追加参戦するグループM・メルセデスAMG GT3 Evoにおいてルーカス・アウアーに加わるドライバーとして、フランク・バードとロレンツォ・フェラーリを選出した。
「彼らはまだレロ(マルチェッロ)ではないが、それは誰にも分からない」とウェンドルは言う。
「2016年に彼が我々のカスタマーとして登場してきたときと同じように、我々のAMGドライバーのなかに、次のレロを見つけることになるだろう」
「これがカスタマー・レーシングの成り立ちというものだ。我々はカスタマー・レーシングの下に他の組織やカップ・レースなどを持っていないため、あらゆるアプローチを受け入れることができる。まずは最優先で、我々のシステムのなかから探していく」
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