■ヨーロッパ車に多いカテゴリーだが日本車でも存在
電動ハードトップオープンカーとは、スイッチひとつで開閉するルーフ(屋根)を持つクルマのことをいいます。ソフトトップ(幌)と違い、アルミやスチールでできたルーフを持っているのが特徴です。
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ルーフを電動で開閉することができるので、気軽にオープンエア走行を楽しめます。電動のソフトトップを持つモデルもありますが、電動ハードトップオープンカーの場合は、ルーフを閉めると普通のクーペモデルと同様の快適性を得ることができるのもメリットです。
電動ハードトップオープンカーの始まりは、日本車では1989年に500台の限定車として登場したトヨタ「ソアラ エアロキャビン」が最初です。後席を廃止し2シーターとしていました。
現在、新車で購入できる国産車の電動ハードトップオープンカーは、ダイハツ「コペン」とマツダ「ロードスターRF」があります。
今回は、絶版となったものの、中古車で購入できる電動ハードトップオープンカーを5台集めました。
●ホンダ「CR-Xデルソル」
ホンダ「CR-Xデルソル」は、1992年3月に発売された2シーターオープンモデルです。
電動オープントップ「トランストップ」仕様車が設定された2シータースポーツモデルで、ほかにマニュアル式のオープンルーフ仕様がありました。
トランストップは、車内にあるスイッチを引くと、まずトランクリッドが真上に上昇、そこからアームが伸びてルーフ部分をキャッチ、そのままトランクリッド下にルーフを引き入れて、最後はそのままトランクリッドが元に収まる、という不思議なメカニズムを採用したところが特徴です。
CR-Xは、1983年に登場した初代「バラードスポーツ」CR-X、1987年登場の2代目「サイバー」CR-Xともに3ドアのライトウエイトスポーツクーペで、人気を博していました。
この3代目「CR-Xデルソル」で大きく方向を転換、「誰もが快適にオープンエアクルージングを楽しめるクルマ」として開発されました。ただし、バブル崩壊などもあり人気は低迷、1999年に生産は終了されました。
発売当時の車両価格は137万円から188万円(消費税含まず)。トランストップは最上級グレード「SiR」にのみ設定されていました。
当時は不人気車だったために、現在残っている中古車は多くありません。80万円くらいから、程度の良いものは100万円を超えるものまであります。
●マツダ「ロードスターRHT(3代目・NC型)」
マツダ「ロードスター」に電動ハードトップモデルが登場したのは、先代の3代目となる「NC型」からです。2006年8月に発売された「ロードスターRHT」がそれです。
名前のRHTとは「パワーリトラクタブルハードトップ」のことで、トランクスペースをまったく犠牲にしない電動ルーフシステムを採用、ルーフ開閉操作は、当時の世界最速となる12秒と謳われていました。
トランスミッションは6速MTと6速ATが選択でき、2リッター直列4気筒エンジンは、MTモデルは170馬力/189Nm、ATモデルは166馬力/189Nmを発生しました。
発売当時の車両価格は、240万円から280万円(消費税込み)でした。
NC型ロードスターRHTは、その希少さも手伝って、程度の良いものだと180万円前後で中古車市場に出ています。
●ダイハツ「コペン」(初代)
ダイハツ「コペン」は、2002年6月に登場した、軽自動車の電動ハードトップオープンモデルです。
軽市販車としては初の、油圧機構を採用した電動開閉ルーフ「アクティブトップ」を採用したモデルでした。また着脱できる軽量樹脂ルーフを採用した「デタッチャブルトップ」モデルも用意されていました。
車体色に、5層コート(ホワイトは4層コート)を採用して深みのある艶やかな輝きを実現、さらにダイハツの社内技能認定制度により認定された高技能者が働く、専用工場のエキスパートセンターで生産されるという、特別なクルマでした。
トランスミッションは5速MTと4速AT。2012年まで11年も販売されたロングセラーモデルでした。発売当時の車両価格は、アクティブトップ/デタッチャブルトップ、5速AT/4速AT問わず149万8000円(消費税は含まず)です。
2014年に現行2代目が登場、「ドレスフォーメーション」と呼ばれる着せ替え機能が、ほかのクルマにはない個性となっています。
初代コペンは中古車市場でも根強い人気があります。個体は豊富で、車両価格が30万円くらいから選ぶことができますが、程度が良く走行距離の少ないモデルだと80万円を超えるものもあります。
■おしゃれなフレンチコンパクト電動オープンカー2台
●ルノー「ウインド」
ルノー「ウインド」は、2011年に日本で発売が開始された、全長3835mmとコンパクトな2シーター電動オープントップモデルです。
ウインドは、ルノーのスポーツカーやレーシングカーを手がける「ルノー・スポール」が開発したモデルで、134馬力を発生する1.6リッターエンジンに5速MTが組み合わされました。
採用された電動回転格納式ハードトップは、重量が21.8kgと軽量で、わずか12秒で開閉が可能です。
パーキングブレーキをかけ、ルーフに取り付けられた手動ハンドルでロックを解除、センターコンソール上のスイッチを押すと、ルーフはBピラーを中心に回転し、トランクリッド内に格納される仕組みです。
ルーフの格納スペースは荷室とは独立したスペースのため、荷室の荷物を気にすることなくハードトップの開け閉めができる優れものです。荷室容量は270リッターと、2シーターモデルとしてはほどほどにあります。
登場当時の車両価格は255万円(限定30台の『ウインド コレクション』は268万円)でした。2012年にはゴルディーニ仕様も登場しています(279万円)。
走って楽しいモデルでしたが、日本ではあまり人気が出ませんでした。中古車市場にもほとんど個体はなく、程度の良いものだと100万円以上で取引されているようです。
●プジョー「207CC」
プジョー「207CC」は、2007年6月に日本での販売が開始されたモデルです。
プジョーは伝統的にCC(クーペ・カブリオレ)モデルをラインナップするメーカーで、2000年に発表された207CCの先代モデル「206CC」は全世界で大人気となり、約36万台が生産されました。この206CCは、日本では300万円を切る戦略的な価格で登場したこともあり、ヒットしました。そのため206CCは、現在も中古車市場では多くの台数から選ぶことができます。
207CCは全長4050mmとBセグメントモデルになりますが、狭いながらも後席を用意、乗車定員は4名でした。
約25秒で開閉可能なフルオート電動リトラクタブルルーフを持ち、全高が1395mmと、207ハッチバックよりも75mm低いクーペスタイリングを持った、その名のとおり「クーペ・カブリオレ」でした。
先代の206CCは5ナンバーサイズでしたが、207CCは全幅が1750mmと拡大し3ナンバーサイズとなりました。また、押し出しの強い顔になったことも影響したのか、先代ほど日本ではヒットしませんでした。
発売当時の車両価格は、309万円から344万円(消費税込み)。中古車では30万円前後から用意されているようです。
※ ※ ※
中古で電動ハードトップオープンカーを選ぶときには、開閉するためのモーターの調子を確かめてから購入するのが良い方法です。またオープンカーの場合、経年によりパッキンが傷んでいると雨漏りがすることもあるので、対策を怠らないようにしましょう。
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