スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーGT第6戦では、100号車STANLEY NSX-GTがホームストレートのアウト側の外壁に激突し、大破するという大きなアクシデントが発生。ドライバーの山本尚貴は首にダメージを負ったことで、今季残りレースを欠場する運びとなった。このアクシデントの瞬間は公式中継の映像にも映っておらず、ネット上に投稿された映像によって様々な議論を生むこととなったが、この度プロモーターのGTアソシエイション(GTA)が映像を用いながら説明を行なった。
GTAの服部尚貴レースディレクター(RD)は、集まった報道陣に事故の検証映像を公開した。このアクシデントはホームストレート上で山本が乗る100号車STANLEYと、名取鉄平の乗るGT300クラスの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが接触したことで発生し、後に名取には「危険なドライブ行為」としてペナルティポイントが科されているが、服部RDは56号車側に過失が認められた理由について見解を述べた。
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■事故に関するGTAの見解
まず事故が発生した流れはこうだ。56号車リアライズは、同じくGT300クラスの10号車PONOS GAINER GT-R、GT500クラスの14号車ENEOS X PRIME GR Supra、100号車STANLEYを引き連れて最終コーナーを立ち上がった。56号車はピットインするため、ややイン側のラインから立ち上がったところ、そのさらにイン側(ドライバーから見て右手側)に空いていたスペースから14号車が追い抜いていった。そして後続の100号車も同じくイン側から56号車を追い抜こうとしたが、56号車はピットレーンに進入しようと右にステアリングを切ったため、2台は接触することになった。motorsport.comがチームに取材したところによると、名取は14号車のすぐ後ろから100号車も追い抜こうとしていることに気付かず、ステアリングを切ってしまったようだ。
このアクシデントについて服部RDは、過失割合を「9:1。どちらも動いているから10:0にはならない」と表現して、基本的に100号車側には非がなかったとの見解を示した。彼はネット上で出回っている映像では100号車が急激に56号車のイン側に進路変更したように見えるが、様々な映像を照らし合わせるとその動きが「危険回避」の動きであったと説明した。
まず服部RD曰く、最終コーナーをイン側寄りで立ち上がった56号車からは、ピットインの意思を示すウインカーは出ていなかったという。このため後続のGT500車両からは、前を行くGT300車両の攻防の中で、10号車GAINERの前に立つ56号車が1コーナーに向けたディフェンスのためにイン側に寄っているだけに見えたはずだとのことだ。
そんな中、14号車ENEOSがイン側を通っていったことで、56号車にとってはピットインのタイミングを逃しそうになっていた。ピットレーン入口の白線が近付く中、56号車はブレーキをかけて減速した。これにより他の車両とは大きな速度差が生まれることとなり、56号車の直後にいた100号車は追突を避けるためにイン側に緊急回避するしかなかったと服部RDは言う。
アウト側(左側)には10号車GAINERがいたが、服部RDはドライバーの考えとして、レース中に順位を争っている中でブレーキを踏んで10号車の方に回避するというのはまず考えられないとして、100号車の行き場はイン側しかなかったと述べた。また56号車はあのシチュエーションでどうするべきだったのかという質問に対しては「無理に入ろうとせず、もう1周するしかなかっただろう」と答えた。
■GTAはスピード抑制含め、早期の対応目指す
ただGTA側も「これ以上加害者側を責めることはしたくない」と語り、再発防止のための動きに移っている。服部RDは「ウインカーさえ出していれば、このような事故は起きなかったのでは」と語る一方で、GTAの坂東正明代表は、GT3車両やGT500車両はウインカーのスイッチがドライバーから遠いことに触れ、「今後に向けてウインカーをきちんと使っていく上で、安全のためにスイッチの移動も必要だと思っている」と述べた。また、オートポリス戦の練習走行では、服部RDからウインカーの出ていない車両に都度指摘をするなど、意識の向上にも取り組んでいるという。
さらに事故直後から上がっていたのが、ピットレーン入り口の白線を手前側(最終コーナー側)に延長できないのかという意見。ピットレーンへのエントリー地点が手前になれば、車両も自ずと最終コーナーを“インベタ”で立ち上がらざるを得なくなる。
これについて坂東代表は、「今芝生になっている部分をアスファルトにして、白線のある部分をもう少し広げられないか、伸ばせないかSUGOに提案している」と話した。
またGTAレース事業部の担当者は次のように語り、安全性向上のために来季のスポーティングレギュレーションのテコ入れする予定であると明かした。
「皆様のご指摘の通り、『速すぎて危ない』という部分は認識しています。コーナーリングスピードの抑制という点に対し、規則を決めていくスポーツ部会、テクニカル部会の中で、安全性第一でこれから何ができるか議論しています」
「すぐにできるもの、中長期的に見ないといけないもの、その位置付けをしっかり持ち、日々議論をしています。一番早いところでは、来年のスポーティングレギュレーションに安全性を重視したレギュレーションを盛り込もうということで話が進んでいます」
まずは競技面で対策が講じられることになるが、テクニカル面においても、大きな変更は車両更新の時期になるだろうとしつつも、「そうも言っていられない状況なので、臨機応変に、できることをやっていく」とした。
特にスーパーGTでは、今や世界でも珍しいタイヤ開発競争が繰り広げられており、マシンのパフォーマンスの大半をタイヤが司っているという話もよく聞かれる。GTAではスポーツ部会の下に「タイヤワーキング」を置き、タイヤメーカーと安全性向上について協議しているようだが、坂東代表はタイヤの作動領域を広くする、いわゆる“ワイドレンジ化”がコーナリングスピードの抑制に繋がるという意見がメーカーから出ているとして、環境面、安全面の両方を考えても、タイヤの持ち込みセット数を減らしてワイドレンジ化をさらに進めていきたいと語った。
■GT500、GT300の混走がないのは「スーパーGTじゃない」
また、SUGOで起きたクラッシュ以外にも、ここ1年半で大きな事故がいくつか発生したが、それらはいずれもGT500車両とGT300車両が絡んでのものだった。そのため、これら両クラスの混走に関して否定的な意見もSNS上などで散見されたが、坂東代表は自身が“異種格闘技”と表現する2クラス混走は続けていくとの意向を強く示した。
「GT500、GT300と車速の違うものを走らせるガチンコの異種格闘技、我々はそれを極めようとしている。大きな事故に対して、スプリントレースにするとか、500と300を別々に走らせる……それはスーパーGTではない」
「我々が求めているのは、1994年から続くGT500とGT300を継続、発展させ、認められるような世界を作っていくことです」
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みんなのコメント
もう一つは、レーサーの資質と技術力の低下の問題です。
最高峰のレースならではの高次元の攻防をして貰いたい!
この裁定通りに考えると、もし後続の500がイン側に入るそぶりをしたらもう一周回れと言う事になります。
これはおかしい。
どこを走るかの権利はあくまで前走車にある訳で、山下さんはピットロード付近でイン側を走っている車両に対しての危機感が全くなかった点に問題があったと思います。
なんか500に忖度した裁定だなって印象です
山本さんが全損クラッシュし、映像がないからって競技中に全て名取さんが悪いって決めつけちゃったからその帳尻合わせにしか聞こえないかな