2021年のホンダ「レジェンド」生産終了によって、再び同社のフラグシップモデルとなった「アコード」。1976年の初代登場以降、120以上の国と地域で販売されてきたアコードは、これまでに2000万台以上が販売されてきた、ホンダを代表する世界戦略車だ。現行型は2020年(日本。北米では2017年発売開始)に登場した10代目。そして11代目となるアコードが2022年11月、北米で発表され、2023年年初にも発売開始となるという。
新型が登場したのだから当然日本でも発売される…と思いたいところなのだが、近年のアコードの販売台数は、月間平均200台を下回るなど、見るも無残な状況。レジェンド同様にアコードもモデル消滅となるのでは…と危惧されている。
国内ホンダの意地を見せてくれ!! 名門アコード存亡の危機に次期型は日本へ来る? 来ない??
はたして新型アコードは、無事に日本デビューすることができるのか!?? アコードの今後の展望について考察しよう。
文:吉川賢一
写真:HONDA
70mmも全長を伸ばし、5m弱の大型セダンへと成長してしまった
2022年11月に北米ホンダが発表した11世代目の新型アコードは、先代アコード(日本市場では現行モデル)と同じく、ファストバックルーフのラインが魅力的なミドルサイズセダンだ。「ミドルクラス」とはいうが、全長は4970(+70)mm、全幅1860(±0)mm、前高1450(±0)mm、ホイールベース2830(±0)mmという立派なボディサイズ(カッコ内は先代アコードに対する差分)。フードを伸ばして5m弱にまで成長した全長や、低いベルトラインとロングノーズ、直線的な造形のフロントグリル、バンパーなどが特徴だが、全長の割に短いホイールベースはバランスが悪くみえる。
インテリアは、ダッシュボードやインパネ、センターコンソールなどの直線デザインが特徴的で、10.2インチサイズのドライバインフォモニターは標準搭載。12.3インチHDカラータッチスクリーンも採用(標準グレードは7インチ)し、最上級のTouringには、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Play機能を含むGoogleがビルトインされている。これといって目新しいアイテムや豪華さは見当たらなく、ギアシフターがシフトノブ式となっているのが気になる(現行アコードはスイッチ式)。
パワートレインは、1.5L直4のガソリンターボ+CVTか、2.0L直4の2モーター式ハイブリッドだ。どちらも改良されているとはいえ、現行モデルと同じパワートレインのラインアップとなる。
以上のように、フルモデルチェンジではあるものの、大変更やチャレンジングな変更は行わず、スキンチェンジに近い内容。新型アコードは、毎月2万台以上も売れる主要マーケットである北米市場で、現地の顧客の声を取り入れて、より大きく、よりパワフルに改良したといったところだろう。国内ホンダが、日本仕向けのアコードをどのようにするのかは現時点わからないが、筆者は、国内登場するとすれば、現行アコードと同じく、モノグレードで勝負するのではないだろうか、と予想している。
全長を70mmも伸ばし、4970mmにまで成長してしまった、新型アコード
リアウィンドウの傾斜が強く、ファストバックルーフのラインが特徴的
直線的なデザインを取り込んだ新型アコードのインテリア。メッシュタイプのダッシュボードのデザインは、シビックとも共通となる
売る気があるのであれば、「自動運転レベル3」の搭載を!!
半導体をはじめとした部品や原材料の調達が困難を極める昨今の状況では、販売台数は人気のバロメーターとはならないが、月販200台を切るという現状と、モノグレード販売(税込465万円のe:HEV EXのみ)を続けている状況をみると、国内ホンダはアコードを売る気があるようには思えない。新型アコードがどれだけ魅力的なクルマであるかに関わらず、新型アコードを欲しがる方にひと通り行き渡ったあとは、国内販売が尻すぼみになることは容易に想像がつく。
アコードは、米国で日本の何十倍も売れているので、日本市場で売れなくても商売には関係ないという面もあり、国内ホンダは「それでも良い」と考えているのかもしれないが、レジェンドが生産終了となったいまは、アコードこそがホンダのフラグシップモデルだ。
ならば、世界で唯一の自動運転レベル3技術搭載車としての「栄冠」も引き継がせるべきであり、ホンダがこの新型アコードを日本市場で戦わせる気があるならば、是非とも、自動運転レベル3をアコードに搭載し、販売するくらいのサプライズは欲しいところ。もちろん、それがものすごく大変なことであることは(筆者もメーカーエンジニア出身であるから)重々承知しているが、レジェンドでやってのけたホンダならば、やれなくはないはずだ。
現行アコードは税込465万円のe:HEV EXのみモノグレード販売を続けている。ホンダセンシング標準装備、本革シート、電動サンルーフ、アダプティブダンパーなど、フル装備の状態ではあるのだが
国内ホンダの意地を見せてほしい
ホンダは2022年12月、新しいホンダセンシング「ホンダセンシング360(サンロクマル)」(以下360)を、中国市場向け新型CR-Vへの採用を皮切りに、グローバルに展開すると発表している。360は、交差点での車両や歩行者、二輪の検知、カーブ減速支援などが追加された、全方位安全支援技術だ。
高速道路上でハンズオフができる走行支援、ハンズオフのままレーンチェンジ(以下自動LC)ができる機能、コーナー手前で自動減速する機能など、新たなシステムを含む360は、メディア向けの体験試乗会が行われている(筆者も試乗させていただいた)。2020年代後半には、高級車以外のモデルにも、適用されるという。
ホンダは、「2030年にホンダ車による交通事故死者を2020年比で半減」という途方もない目標を掲げ、社運をかけて自動運転技術の開発に取り組んでいる。ならばまずは、この新型アコードで、市販車の自動運転レベル3を復活させることで「先進運転支援ならばホンダ」と国内に周知させるべきではないだろうか。この新型アコードで、国内ホンダの意地を見せてほしいと思う。
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みんなのコメント
既にアコードとカムリがアメリカ製を駆逐してしまったけど。同時に北米以外には大きすぎる。
シビックですら大きすぎるんだから、必要無いでしょう。高級車としてのマーケットもないし。