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ほぼ初体験のサルト・サーキットも「目標は優勝」。強力な体制を得て小泉洋史がル・マンに挑む

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ほぼ初体験のサルト・サーキットも「目標は優勝」。強力な体制を得て小泉洋史がル・マンに挑む

 6月12~16日、フランスのサルト・サーキットで行われている第92回ル・マン24時間耐久レース。LM-GT3クラスには多くの日本人ドライバーが参戦するが、LMGT3の強豪TFスポーツから参戦するのが、今季ル・マン24時間初出場となる小泉洋史だ。決勝を前に、小泉に今季WEC世界耐久選手権参戦に至るまでの経緯と、レースに向けた意気込みを聞いた。

 1969年神奈川県生まれの小泉は、フォーミュラトヨタや全日本F3、スーパーGT GT300クラスなどさまざまなカテゴリーに挑戦。一時はモータースポーツ活動を休止していたが、2022年から活動を再開させると、憧れだったというAFコルセから2023年にミシュラン・ル・マン・カップに参戦した。

好調の新型コルベットZ06 GT3.R、ル・マンにも自信「非常に速いので、優勝を狙える」

 そんな小泉は2024年に向けシボレー・コルベットZ06 GT3.Rを投入しWECに参戦しているTFスポーツのドライバーに抜擢され、ダニエル・ジュンカデラとセバスチャン・バウドというふたりとともに今季WECに参戦している。迎えるは小泉にとって初めてのル・マン24時間だ。

「今回、ル・マン24時間に初めて出場させていただいていますが、昨年のロード・トゥ・ル・マンとはまったく雰囲気が違いますね。歴史もありますし、無駄がなくよく考えられているスケジュールだと思います」と小泉は語った。

 今季、小泉はTFスポーツに加入するにあたり、「実はいろんな話がありました」という。もともと2023年の挑戦開始から、ル・マンが最終目標であったわけではなく、“世界で戦うこと”を目標としていた。その目的を果たすために「本来であればAFコルセでWECに乗りたいとも思っていましたが、あちらにもさまざまな事情がありました。そこでいろんな話が表れては消えていきましたが、残ったのがTFスポーツの話でした」と今季の体制で参戦するにあたっての経緯を語った。

 WEC参戦を決め、第1戦のカタールからレースを戦っているが、WECは「規模の大きさ含め、カタールのときのテストデーなどは『場違いなところに来ちゃったかな』とも思いました(笑)」と世界戦の規模に面食らったという。しかし「個人的な性格や考え方もあるかもしれませんが、ある程度図々しくないといけないと思いました。自分もやることをやってきたつもりですし、足りない部分は最短で補うしかない」と気持ちを切り替え、今季ここまで戦ってきた。

「まだ結果がともなっていない中で言うのもなんですが、まったく歯が立たないというより『なんとかなる』という気持ちでここまで戦ってきました」

■強力なチームとチームメイトを得て「目標は優勝」
 そんな小泉がドライブするのが、コルベットZ06 GT3.R。日本では1台も走っていないレーシングカーだが、これについて「すごく良いクルマです。もしフェラーリとコルベットを選べと言われたら、コルベットを選んでしまうかもしれないくらいです。懐が深いクルマですね」と好感触を抱く。

 またチームとの関係も良好で「TFスポーツはチーム代表のトム・フェリエをはじめ、皆さん人柄も良くて、大好きなチームです。チームメイトのダニ(ダニエル・ジュンカデラ)もセブ(セバスチャン・バウド)とも仲良くやらせてもらっています」と笑顔で語った。

 シリーズの開幕3戦を経て迎えるは難攻不落のル・マン。公道部分があり、多くの日本人ブロンズドライバーが参戦当初は苦戦してきた。その点では、小泉は2023年にミシュラン・ル・マン・カップを戦っているメリットがあるはずだが、実は「昨年はレーシングスピードで走ったことがなかったんです」という。

 昨年、フリープラクティスではチームメイトのケイ・コッツォリーノが出走したもののトラブルに見舞われ走れず、予選では赤旗中断もあり、いきなりぶっつけ本番の1周のみ。しかも黄旗が出ていて、すべて全開にはできていなかった。さらに決勝もアクシデントが多く、「私のスティントではずっとセーフティカーでした」ことから、レーシングスピードでは今季がほぼ初体験。しかしここまでのテストデーやフリープラクティスなどで、少しずつ経験を重ねてきた。

「もちろん歴史があるレースですし、世界三大レースでもありますが、やはり走るとすごく良いサーキットだと思いますし、より良いタイムで走れるように改善していきたいという思いに駆られるコースですね」と小泉はサルト・サーキットの感想を語った。

 クオリファイ・プラクティスでは3番手につけ、ハイパーポール進出も果たしているTFスポーツ。小泉にレースに向けて意気込みを聞くと「もちろんレースなので、目標は優勝です」と力強く語った。

「控えめに完走を目指すとおっしゃる方も多いですが、幸い私には強力なチーム、そしてダニエル、セブというチームメイトがいますので、自分が任せられたスティントで役割をきちんと果たすことができれば、自ずと結果が出てくると思っています」

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