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日産「スカイラインニスモ」にホームベースGTバッジが復活! 国産最強セダンとなった現代版「羊の皮を被った狼」に初試乗

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日産「スカイラインニスモ」にホームベースGTバッジが復活! 国産最強セダンとなった現代版「羊の皮を被った狼」に初試乗

1000台限定が惜しまれる高性能セダンが誕生

日産を代表する名車「スカイライン」。現行型はスポーティセダンとして注目を集めており、性能を高めたパワフルなV6ツインターボを搭載するグレード「400R」も用意されている。そのスカイラインの頂点といえるグレードとして、新たに「ニスモ」が設定された。1000台限定で販売されるスポーツセダンに、木下隆之さんが試乗しました。

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国内にライバル不在といえる状況でさらに自らを鍛えた

「国内最強セダンは?」

そんな疑問に対して、日産が回答を示した。この夏に発表した「スカイラインNISMO」は、これまで405psだったV型6気筒3Lツインターボの最高出力を420pまで引き上げる同時に、最大トルクを475Nmから550Nmまで増強。これによってセダンとしては、国内最強スペックを誇ることになった。レクサスから「IS F」や「GS F」が消えてしまったいまとなっては、スペック的には一人勝ちである。

そう、そのスペックから想像できるように、ベースはスカイライン400Rであり、それをニスモが徹底して性能アップさせたモデルなのだ。そもそもスカイライン400Rは、すでに最速セダンの座に君臨していた。その性能をさらに磨きをかけたのだから、もはや無敵に等しい。

激しい電動化の潮流によって、動力性能に優れたハイブリッドも登場している。トヨタは「クラウン」に、ツインブーストと呼ばれるターボハイブリッドのパワーユニットを積み込んだ。、モーターの助けを借りることで、かなり刺激的な加速を披露する。そのクラウンが最速セダン候補として名乗りを挙げたことに刺激を受けたわけではなかろうが、日産は自らを鍛え込んだのだ。

こちらは、電気モーターとは無縁の純粋なガソリンエンジンである。限定1000台。さらに限定100台の「スカイラインNISMO Limited」を2024年末に控えているという。

エンジン性能以外にも手を加えた

スカイラインNISMOの魅力は、単純にエンジンパワーを引き上げただけではない。走りのための基本性能を磨き込んでいることに驚かされる。

アスリートで言うところの体幹も鍛え上げられている。フロントとリアのウインドウガラスの接着剤を高剛性タイプに変えた。最近は、ボディパネルとパネルの接合部のスポット増しに加え、接着剤を多用することでボディ剛性を引き上げるといった手法が珍しくはないものの、ガラスの接着剤で骨格を強固にする手法は珍しい。それによって、動的剛性が9倍になるというからこれから採用する車種は増えるだろう。

実際に走り込んでも、強化されたボディの恩恵を味合うことができた。体幹がしっかりしている上に、サスペンションがしなやかなのだ。軽快なフットワークを披露する。

最速セダンとはいえ、足まわりを荒々しく堅めている素振りは巧みに抑えられている。大きなギャップに乗り上げると強い衝撃が伝わったくるのは、これがスポーティセダンであるため想像通りとはいえ、路面の安定した場所では、驚くほど滑らかなあたりなのだ。

専用セッティングのサスペンションやダンパーは、大きなロールを頑固に拒絶するが、それでいてまったくガチガチではない。しっとりとした湿度感のある感覚に驚かされた。テストドライパーの鋭敏なセンスが想像できる。

実はタイヤサイズが400Rより太くなっているのも特徴だ。フロントタイヤは245/40R19で共通だが、リアタイヤは245/40RF19から265/35R19と幅広になったことで、圧倒的なトラクション性能を得ている。トルクと馬力が増えたことによるグリップ不足を補っているというわけだ。

それでもパワーは強烈だから、トラクションコントロールの機能をカットすれば、派手なドリフトを楽しむことができるものの、基本的なコーナリング特性は安定傾向にある。スタビリティアップは歓迎できるのだ。

ブレーキパッドは耐摩耗性に優れた素材に変更している。さらにABSのリセッティングにもトライしている。安直にパワーユニットのコントロールマップに手を加えただけではなく、走りのレベルをも引き上げているのだ。これを1000台限定にすることを残念に感じたほどである。

まさに現代版「羊の皮を被った狼」

なぜ日産が、スカイラインにここまでテコ入れするのか……。

そんな疑問も湧き上がる。日産はEVへのシフトを明確にしており、量産EVメーカーとしてブランドを育て上げようとしている。リーフ、アリア、サクラといったEVの評判がいい。ゴリゴリの内燃機関に見切りをつける可能性も低くはなかった。

しかも、セダン人気低迷の時代。セダンよりもミニバンやSUVが人気である。もはやセダンはごく一部のニッチな偏執狂に愛されるだけのクルマになってしまった感も捨てきれない。先にセダンの雄として例を出したクラウンも、いまや正式にはクロスオーバーでありSUVともいえる。だというのに、スカイラインNISMOを鍛え上げたのは、日産開発陣の意地だと思う。

かつて「1990年代までに走りの性能で世界一を目指す」とした、熱いプロジェクトがあった。日本車の走りはダメと言われ続けたエンジニアの、執念にも似たリボーンなのである。まるでプロジェクトXの題材になりえそうな。中島みゆきの「地上の星」が耳の奥で響くようである。

思い返してみると、日産はこれまで数々の高性能セダンを生み出してきた。スカイラインとしては2代目となるS54系では、積極的にサーキットレースに参戦、グロリアの直列6気筒エンジンを搭載したスカイラインが、わずか一瞬だったとはいえポルシェ904を抜いた。それがスカGの名とともに伝説になっているのだ。スカイラインNISMOの開発は、あの伝統の復活劇である。

それが証拠に、スカイラインNISMOのコンセプトは「蘇る・羊の皮を被った狼」とされている。そしてスカイラインNISMOのフロントフェンダーには、赤と白に塗り分けられたホームベース「GT」エンブレムが光っている。スカGと呼ばれ親しまれた、あの伝説のエンブレムである。

●NISSAN SKYLINE NISMO ニッサン スカイライン ニスモ (RECAROシート+カーボン製フィニッシャー装着車) ・車両価格(消費税込):847万円 ・全長:4835mm ・全幅:1820mm ・全高:1440mm ・ホイールベース:2850mm ・車両重量:1740kg ・エンジン形式:V型6気筒DOHCツインターボ ・排気量:2997cc ・エンジン配置:フロントミッドシップ ・駆動方式:後輪駆動 ・変速機:7速AT ・最高出力:420ps/6400rpm ・最大トルク:550Nm/2800-4400rpm ・燃料タンク容量:80L ・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式 ・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク ・タイヤ:(前)245/40R19、(後)265/35R19

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みんなのコメント

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  • しかし、ここって、相変わらず頭の悪そうなコメが多いけど、みんな小学校の低学年か?
  • いくら足掻いても
    文句タラタラでルマンに負けたトヨタには作れないクルマ
    チー牛は86 乗ってろ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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